追放された最弱ハンター、最強を目指して本気出す〜実は【伝説の魔獣王】と魔法で【融合】してるので、余裕で無双できました。だからお前らが落ちぶれようが、どうでもいいわ〜
第18話 ギルドの受付嬢から依頼を受けました
第18話 ギルドの受付嬢から依頼を受けました
「リナ、おはよう」
「あ、お、おはよう」
なんだか、気まずい。
なんでもない風を装ってるが、実際はめちゃくちゃ気まずい。そうだ、昨夜リナの前でうっかり大の大人の男が泣いて、グズグスして醜態をさらしたんだ。
正直言おう。穴を掘って入って、さらに掘り進めて埋まるくらい潜りたい。
うお、リナが赤くなってる! なんだ、普通にしてたけど思い出させてしまったのか!?
だけどオレには知らんぷりするしかできないぞ!?
とにかく、いつも通りにするしかない!
「リナ、今日は討伐に行ける?」
「と、討伐? うん、大丈夫! 行きたい!」
急に話しかけたらビクッとして、顔も赤いまんまだけど熱があるわけじゃないよな?
まぁ、もういつも通りに戻ったみたいだし大丈夫か?
「じゃぁ、朝ごはん食べたら行こう」
「うん、了解!」
***
「あのね、君たちの腕を見込んで頼みたいことがあるの」
リナとふたりでギルドの受付に来ると、マリーさんから思わぬ言葉をかけられた。討伐のついでにこなせるものなら、引き受けてもいいかと思う。
「なんですか?」
「魔獣の調査というか、討伐しちゃっていいんだけど……2件あって、どちらもカラカンの森なの頼めるかな?」
そう言って魔獣の情報をマリーさんは渡してきた。
「グレートホーンと一角獣?」
「そうなの、昨日戻ってきたハンターが、魔獣のランクがおかしいって騒いでてね。ディーノさんから、君たちを推薦されたのよ」
え、ディーノさん? ああ、ギルド長と一緒に最終テストしてもらったっけ。オレを推薦とか……意味わからん。
まぁ、パーティーランクFだから普通じゃ受けられない内容だし、リナの訓練にはちょうどいいかな。
「いいですよ。今日はカラカンの森に行ってきます。あ、報酬はもらえるんですよね?」
「本当!? あー、助かるわぁ。もちろん報酬は払うから安心してね!」
「わかりました。行ってきます」
(えーと、これでカイトさんのパーティーランクは一気にDまで上がるわね。ミリオンさんに文句言われてた時に、ディーノさんが助けてくれて本当によかった。もうあの人たちからの魔獣のランク修正はしなくていいわね)
ディーノのお膳立てもあって、カイトの評価は徐々に見直されていく。一方、ミリオンたちはAランクに落ちこともあり嘲笑されるばかりだった。
***
オレたちはのんびりとカラカンの森を目指して歩いていた。リュカオンのおかげで魔獣たちは寄ってこないし、余計な荷物持ちもないので移動はとてもスムーズだ。
「ねぇ、やっぱり魔獣が寄ってこないけど、もしかしてカイトのおかげ?」
「いや、オレっていうか……」
『我の覇気で寄ってこれんのだ』
そう、王者の覇気は魔獣よけの効果があった。弱い魔獣は寄ってこないので、煩わしさがかなり軽減される。
「へぇ〜〜! やっぱりリュカオンはすごいね! さすが王様だね!!」
『ふん、それくらい余裕だ』
多分、黒狼の姿だったら尻尾ブンブンふってんな。あ、ヤバい、想像したら吹きそう。
『カイト、貴様の考えてることは丸わかりだ!』
「ぶふっ!! あー、ごめん。リュカオンのおかげで、本当に助かってるよ」
「あ、あそこがカラカンの森の入口だよね?」
「うん、そう……だけど」
オレの耳があるパーティーの声を拾って、一気に気分が落ち込んだ。できれば会いたくなかった。入口の手前で何やら揉めてるみたいだった。
「うるせぇ! 俺がリーダーなんだから、俺に従えよ!!」
「はぁぁ!? そんな言い方ねぇだろ! ふざけんな!」
「チッ! じゃぁ、ミリオンは何をするんだよ!!」
「私はもう今日は何もしないからね!!」
これは見つかったら面倒だな。リナもいるから変に絡まれるのもイヤだし、どうするか?
『カイト、ここから森の中に入れそうだ』
「お、いいね。リナ、アイツら面倒だからここから森に入ろう。近道にもなりそうだ」
「うん、わかった。あの……あの人たちは……もしかして」
「ああ、元パーティーメンバーだよ。ほら、早く行こう」
それだけいってズンズン森の中へ入っていく。アイツらがどうなろうと、オレにはもうどうでもよかった。リナがいるしな。ただ面倒くさいからオレには関わってほしくない。それだけだ。
いまは信頼できるパーティーメンバーがいる。それだけで充分だった。
***
「じゃぁ、リナ。今日はひとりでやってみて」
「え!? ひ、ひとり……?」
「もちろんフォローもするし、他の魔獣は気にしなくていいよ。魔力のコントロールが上手くなれば、マジックイーターって最強になるからさ」
「魔力のコントロール……」
『そうだ、リナの場合は自身の魔力が高いうえに他者の魔力も取り込み続けるから、コントロールが難しいのだ』
「そう、だから魔力をコントロールする力をつけよう」
「わかった! やってみる!」
『では、我の指示通りに攻撃するのだぞ』
「うん、よろしくね。リュカオン!」
最初に見つけたのがグレートホーンだったので、こいつから討伐することにした。オレはリナが集中できるように、王者の覇気を最大限に発揮する。
これでCランク以下の魔獣は寄ってこない。多少離れてもリュカオンの声はリナに届くみたいなので、周囲をぐるっと回ってみた。うん、問題なさそうだな。
戻ってくるとグレートホーンは倒れていて、リナが討伐証明の部位を回収しているところだった。
「あれ? もう討伐しちゃったのか」
「思わず魔力込めちゃって、一撃だった……」
『魔力を解放するときの力加減が、壊滅的に下手なんだ』
「うぅ……ごめんなさい」
「大丈夫だよ、もっと訓練すれば上手くなるから」
「うん、頑張るね」
リナはショボンとしてたけど、すぐに元気を取り戻す。この切り替えの速さはある意味才能だと思う。
「じゃぁ、次は一角獣だな。……こっちにいる」
素材の回収もすませて、一角獣の匂いを追った。前にも倒したことがあったから匂いは覚えている。
「本当にカイトがパーティーにいるだけで、サクサク討伐進むね」
「そうか?」
「うん、だって下手したら魔獣探して半日とか、長いと2日くらい潰れるよ」
「ふーん、そんなにかかるもんなんだな。あ、だからマリーさんもあんなに驚いてたのか。納得したわ」
「カイトの目標は魔獣の
リナの明るい笑顔に、オレも足取りが軽くなる。
たしかに魔獣を一匹残らず駆逐するのも目標だけど、リナと組むこのパーティーも大切にしたいと思っていた。
そのあと一角獣も討伐したオレたちは、ギルドへと報告に戻ったのだった。
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