第3話 落ちた先で・・・


「あいたたた...」


躓いて穴にダイブした私。幸い、緩やかな傾斜になっていたようなので昔話のおむすびころりんのおむすびみたいにコロコロ転がっただけで怪我はしなかった。・・・土まみれにはなったが。


「けほっ、けほっ。あー、口の中にも土が。最悪だー!何なのこの穴。」


私はあたりを見渡す。なぜか分からないが、穴の中は暗くなく、それどころか外と同じくらいに明るかった。しかもただの穴だと思っていたのに中は少し広く、ゲームで見るような遺跡のような様相をしていた。


「こんな住宅が立ち並ぶ場所の地下に遺跡?なんで?!ありえないでしょ!!」


住宅街といっても私の家は少しだけ高い高台の上にある。だから家の下は上下水道などのライフラインもあるはずだ。少なくともこんな立派な遺跡があるはずがない。


「本当に何でなんだろ。あ、向こうに何かある。」


私が見た場所にはバレーボールくらいのものが浮かんでいた。それは正八面体の形をしていて深紅の光を放っていた。


「へー、なんで浮いてるか分からないけど奇麗だなー。」


それに近づく私。そんな私はまたしてもやらかす。


「近くで見ると本当にきれっっ!ひゃあっ!」


お分かりになったと思うが私はこけた。先ほど転んだばかりなのに全く注意していなかったのだ。


私の手が浮かんでいた物体に当たる。怪我をするかと思いきや、物体は手に当たると斜め下の床に勢いよく落ち、あっさりと砕け散った。


「あわわ!壊れちゃった!」


めちゃくちゃ私は焦った。その時、脳内に声が響く。


『特殊ダンジョンのコア破壊を確認。討伐者に経験値が付与されます。条件を満たしたので職業の選択が可能です。特定の条件を満たしました。選択可能職業に“ダンジョンマスター”が追加されます。種族レベルが一定以上に達しました。進化可能です。これより、ダンジョンの各権限が討伐者に譲渡されます。また、初のダンジョン攻略、ソロによる討伐等を確認、称号が付与されます。』


「はぇ?!」


突然脳内に無機質な声が響き驚いて私は変な声を出してしまった。


「え?!何この声?!ここってダンジョンだったの?確かに家の下にこんな空間あるなんて変だとおもったけど・・・なんでダンジョンがあるの??」


ゲームやラノベによく出てくるダンジョン。それが存在していることに私は混乱した。確かにダンジョンは基本的に別空間につながっているという設定が多く、このダンジョンも私がいた世界と別空間につながっているなら納得できる。でも何で突然庭に現れたのだろう?

私は知らなかった。私が寝ている間に世界中に魔物が現れ、世界が大変なことになっていたことを。・・・いつもの何気ない日常がもう訪れないことを。

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