第269話 269.ある商隊の親子

◇◇ フェルマータ商会会頭ダスティン・フェルマータ ◇◇


エデン城塞都市

最近急に名前が出て来た城塞都市だ。

20日程前になる

私が住んで居る城塞都市デノアジュールの街にオーストン商会の会頭ヒューバート・オーストンという男がいて、その男は仕事を兼ね家族を連れノートリアス城塞都市に旅行に行く途中で、シルバーウルフの群れに襲われたが運よくエデン城塞都市の領主に救われたらしい。


その時エデンの領主から色々な魔道具や商品を預かって儲けの半分を払う約束をしたらしい。

見ず知らずの男にから預かった魔道具をオークションに出品

等身大の限りなく美しい鏡:金貨100枚

『ウォーターベッド』金貨100枚

水洗トイレの魔道具 金貨200枚

水道の魔道具    金貨100枚

シャワーの魔道具  金貨100枚

合計金貨600枚の落札金額を得た。

正確に言うと

金貨600枚の1割のオークション代金を引かれた金貨540枚が奴の儲けだが

そのエデンの領主に魔道具の仕入金額は儲けの半分で良いと言われた為仕入金額として金貨270枚をエデンの領主に渡し残りの金貨270枚が奴の懐に残ったそうだ。


「エデンの領主はどうして自分でオークションにその商品を出品しなかったんだ?」

当然おれはそう聞いたさ!!

だってそうだろ?

自分でその魔道具を出品すれば金貨540枚が全部自分の物に出来たんだ!!

エデンの領主はバカなのか?

そう思ったものだが・・・

オーストン商会の会頭ヒューバートは

「その領主もオークションに出品する為にそれら全部を出品するとそのエデンの領主が注目されてしまい、良からぬ輩に目を付けられるから、それを恐れて私にもオークション出品させたんだ」

と聞いた時には俺もビックリしたね~


そりゃそうだな!!

珍しい魔道具を出品したら絶対に目立つ!!そして目を付けられて最悪命を狙われる危険性も有る!!

その話を聞いた俺は、エデンの領主は策略家だと感心したものだ。


因みに

エデンの領主がオークションで出品した商品は

『魔動キックボード』が金貨7000枚

『ミスリルの魔剣』  が金貨50万枚

『冷蔵冷凍庫』の魔道具 金貨10万枚

『ラウンドブリリアントカットのダイヤのネックレス』が金貨100万枚

『マジックポーチ(3メートル×3メート×3メートル)の物を収納』が金貨400万枚

『エリクサー』がは金貨1000万枚


オークション全品の売上が金貨15,607,000枚というとんでもない金額でビックリ

そりゃ~エデンの領主が気にする訳だ。


俺はオーストン商会の会頭ヒューバートがオークション商品以外でも食材を預かっていてそれも後払いになっていた商品でラドス城塞都市の商隊でしか扱っていない塩を見つけた!!

砂糖も有ったが砂糖は嗜好品

贅沢に甘い物が欲しい時には欲しいが、塩は必需品

塩が無ければ死ぬ


だから何処の城塞都市も無理をしてラドスの商人から塩を買っているのだ。

しかしオーストン商会の会頭ヒューバートが持っていた塩はラドスの塩よりも相当に品質が良く真っ白でサラサラ、エグミも全く無い代物だった。


俺はその塩を得るべくエデンに来る事を決意したのだ!!

そうしてエデンに来てビックリした。


何処の城塞都市よりも活気のある自由市場

5000とは言わない商人達が自由市場で取引して、空いた馬車に塩を積んで帰って行く

ラドスの商人から買えば10キロ金貨1枚から2枚はする塩が、このエデンでは大銀貨1枚

ラドスの塩の10分の一から20分の一の値段で売られている。


それにエデンのギルド本部で金貨10万枚はする『冷蔵冷凍庫』の魔道具を契約すると一か月金貨1枚で運用できるようになる。

『冷蔵冷凍庫』の魔道具があれば肉や野菜を新鮮な状態で運べる

今まで不可能だった高級な肉を他の領地で販売できるのだ。


やっと城塞都市デノアジュールの街に帰れると思った所

息子のエルマーが『エデンズガーデン』に泊まりたいと突然言い出してビックリ

城塞都市デノアジュールの街に帰るぞと言ったのだが


「1日だけで良いから『エデンズガーデン』のホテルに泊まりたいんだ」


と言ったので俺と息子と仕事を良くしてくれる使用人2人と共にこの『エデンズガーデン』のホテルに泊まった訳だが・・・


ホテルの宿泊費は1人金貨1枚でめちゃめちゃ高いが

部屋は全部魔道具が設置されていて

お風呂は、シャワーというお湯が出る魔道具が有りボディーソープという物を付けて洗うと天にも上った気持ちになれた物だ!!

ベッドは『ウォーターベッド』と羽根布団が設置してあってあの布団とベッドで寝たらもう他のベッドでは眠れなくなってしまう・・・しっかり買ってしまった・・・

食べ物は今まで見た事も無いような食事が有って凄く美味しく

酒は超~高級品らしく、今まで飲んだ事も無いような素晴らしい味だった

全てが無料


『多分だが・・あの酒だけで金貨10枚はする代物だろう』

だから酒だけでも元を取っている事になる


息子は・・・どうもこのエデンのメイドを物凄く気に入ったみたいだった。

朝方帰ろうとした時に偶然ホテル一階のプールで優雅に遊んでいた物凄くふりるふりの可愛いレースとフリルを一杯使ったドレスを纏った少女を見た瞬間に押さえられなくなったみたいだ。


私が言うのもなんだが・・・

このエデンの女性・・

いや女性でもあの統一されたふりるふりの可愛いレースとフリルを一杯使ったドレスを纏った少女達は他の女性とは違って一線を画す


あの少女達の姿を一度見たら、他の女性はでは満足出来なくなってしまうだろう・・・

私だって妻と子供達が居なくて独身ならば確実にあの少女達をどんな手段を取ってでも手に入れたいと思ってしまっていただろう。


実際にこのホテルに泊まる商会の会頭達は皆あの美少女達狙いだと思われる。

私ももっと若ければ・・・

イヤ!!

そんな事はどうでも良いんだ

息子が突然倒されてついカッ~っとなってしまったが


『少女が言った言葉に付い手を出してしまった息子が悪い!!』


あの美少女が付けていたのは魔道具なのだろうか?

襲ってくる者を一瞬で無力化する魔道具?


多分・・・そうだろう。


噂で聞いた事が有る・・


『災いを齎す者を亡ぼすと言うラドスの聖ドニアス教会の部隊はいかなる敵をも打つ必殺の魔道具を持っている』


このエデンの領主も自分に仕える者達にそんな魔道具を貸し与えているのだろうか?




「うううううう・・・」

「やっと気か付きおったかバカ息子が・・・」


「ううう~体中が痺れて体が思うように動かねぇ~あの女~め~今度会ったら許さ・・・」

「バカ息子がーーーー!!うちの商会を潰すつもりかーーー!!」

「父上潰す気など・・・」

「エルマーよ!!あの少女はこのエデンの領主のお気に入りだ!!そのお気に入りの女性を拉致したらどうなると思ってるんっだーー、今度同じ事をやったら今度はお前を消すとエデンの領主に言われたぞ」


「父上それは単なる脅しですよ」

「そうなら良いがな!!エデンの領主のお気に入りの少女を拉致しようとした商隊の男10人が少し前に捕まったらしいが捕まった男達の顔は二度と見ていないそうだぞ」


「バカらしい。それは噂だけでは?」

「お前が何とかしようとしていた少女だが、エデンとレイアードの間の5万近くの魔獣のスタンピードを殲滅したそうだぞ。そんなエデンの領地にお前は歯向かうつもりか?」


「俺はあの女を絶対にどんな手を使っても手に入れるんだ!!父上が何を言っても俺は引かねえぜ」

「あ~よ~く解った、お前は今後フェルマータ商会の人間ではない。私とお前は赤の他人だ。今後はただの一般人エルマーとして好きに生きるが良い!!ここでお別れだエルマー様」


フェルマータ商会会頭ダスティンはそう言うなり部屋を出て行った。

そうして商隊の馬車を率いて帰りがけ領主に面会を求め

「今日問題を起こしたエルマーは勘当した。よってフェルマータ商会とは一切関係の無い人間となった。そちらに迷惑をかけるかもしれないがその場合、好きに処分して欲しい」


そう言い残して城塞都市デノアジュールの街へと旅立ったのだった。


つづく・・・

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