第185話 185.トレノア城塞都市領主の苛立ち

◇◇ 城塞都市トレノアの領主ジョージ・アディソン ◇◇


ダナン城塞都市が奪還された頃、トレノアの城塞都市の領主館では

領主のジョージが

「ヘッドリー、家令のヘッドリーはおらんのか?」


と不機嫌に怒鳴り散らしていた。

そんな家令のヘッドリーはハンカチで吹き出る汗を拭きながら駆け足でやって来て


「ジョージ様どうかなされましたか?」

と平静を装うが何を言われるかと気が気でない

領主のジョージは我儘が服を着て歩いているような物だったのだから・・

ダナンの城塞都市を攻略し大怪我を負って再起不能の重傷を負っていあ頃は寝たっきりでおとなしかったものを・・

『出来ればあのまま再起不能で動けないままで居て欲しかったのだが』

と嘆くこの頃である。


そんな事とはつゆ知らず

「エデンの地に送り出した兵士達と騎馬合わせて2500を送り出したのにその後連絡がないのだが、一体どうしたのだヘッドリーは何か聞いていないか?」


「はいあれから送り出した兵からは何も報告は入っておりませぬが・・・」


と言葉の歯切れが悪くなるヘッドリー

「なんだ言いにくそうだな!!良いから行ってみろ」


ジョージに何時までも隠し立て出来るはずも無く

「実はエデンを経由してトレノアに来た商隊の人間が、何処かの兵と騎馬合わせて2500程がエデンに攻め入ろうとしてエデンのメイド達に全員殲滅されたという話をしていたという報告がありました」


「何だと~~メイドにトレノアの精鋭部隊が全滅させられただと~!!」

「あくまでも、エデンに滞在していた商隊の人間が見たと言っているだけですので本当かどうかは解りませぬ」


家令のヘッドリーは十中八九エデンのメイド達に殺されたのだと確信していた。

あのエデンの場所は過去幾多の城塞都市が数万単位の軍隊を送り出し誰一人帰って来なかった『帰らずの秘境』と呼ばれていた場所なのだから!!


そんな場所を統一出来るエデンの領地を治める者だ

何千何万という軍隊を殲滅出来ても不思議ではないのだ


『だのにうちの領主は何故それが解らぬのだ!!』


「くそ~忌々しいエデンの住人たちよの!!おお~そうじゃ!!よい事を思いついたぞ!!滅ぼしたダナンの地の奴隷達を投入しよう。アイツラであれば何千何万人死のうが居たくも痒くも無いわ。わはははは」


と領主のジョージは思いついた方策に高笑いをするのだった。


つづく・・・

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