-56- 「雪夜」

 ある日の夜、外は大雪で、寒いから炬燵に入っていた。


 耳を澄ますと、外から、ぎゅ、ぎゅ、と雪を踏み締める足音が聞こえてきた。


 何気なくその音を聴いていると、どうやら家の周りをぐるぐる回っている様だった。


 悪さをする奴じゃないだろうか、と心配していると、蜜柑を食べていたおじいちゃんが、


「心配せんでええ。雪の無い所には来れん奴じゃから、家の中には入って来れん。外に出なけりゃ問題ないわい」


と言った。


 僕はその足音を聞きながら、いつの間にか眠ってしまった。

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