-22- 「シミ女」

 古いお寺の倫寓寺の塀は、漆喰で出来ている。


 その塀に、人型の大きなシミが出来ていると学校で話題になっていた。


 放課後見に行くと、古いけど白い漆喰の壁に、確かに人型の大きなシミが出来ていた。


 ボヤけていてハッキリしないけど、髪の長い女の人の形に見える。


 両目の部分だけ白いままで、こちらをジイっと見ている様に見える。


 ただのシミなのに、何だか生きている様に見えて、僕もその顔をジイっと見つめ返した。


 しばらくシミと睨めっこの様に見合っていると、相手がスッと目を逸らした。

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