第26話 もち米と友好
「ふははは!!」
「出来た、出来たぞ!」
「ユウトさん何が出来たんですか?」
「ふふふ、ゼダン。 例のブツを」
「かしこまりました」
「これで世界は私のモノだ!」
◇
「……こ、これは!!」
「何ですか? ユウトさん」
「わかると思って『これは!』とか言うとるのかと思ったぞ」
「ホントに。 キオって昔はこんな感じじゃなかったのにね」
「皆で刈り取ったもち米を加工し乾燥させて、出来たのが白玉粉という粉です。 その白玉粉を使って、ゴマ団子を作りました。 少し冷ました方が食べやすいんですけど、どうぞ」
「この隣のも、もち米を使った食べもの何ですか?」
「もち米を炊いて十五分程ついて、苺を包んだ、苺大福です」
「っ! 美味い。 なんて優しい甘さだ」
「それにこの、もち米も良いね。 こんなに伸びるんだ~」
「ありがたいことに、もち米は沢山あります。 大体、カフェシエルで二~三年分くらいかな? なので、その間は、田植えや稲刈りはありません」
「含みのある言い方だな」
「え……もしかしてまた、何かするの? マスター?」
ふふふふふふふふふふ
「あら、『田植えや稲刈りは』だから、お米以外があるんじゃない?」
「一つ目は魔法で定期的に収穫する必要がある様にした、赤い色の果物。 甘酸っぱくて美味しい代わりに、沢山の実がつきます。 二つ目は最初の収穫まで最低五年かかるところをこちらも魔法で、定期的に収穫出来るようにします。 甘くて美味しいオレンジ色の果物です」
「マスター、もしかしてなんだけど、その赤い果物って苺?」
「おお! さすがシャーノアくん!」
「シャーノア様、ユウトさんはサラっと『定期的に収穫する』と言ってますよ」
「ま、僕は学園があるからね!」
◇
「テオシウス・トルテ・ファジールの名において、『神の島』と正式に友好を結んだ事を、ここに宣言する!」
「一年の歳月をかけて友好を築き、こちらに敵意がないこと、今後も敵意なく接する事を条件に、友好を結んだ。 『神の島』には神獣様も住まわれている。 先王陛下は既に『神の島』の城の主に許可を貰い、余生を過ごしている。 私が『神の島』で余生を過ごすにはまだ、時がある。 先王陛下が守った国を、民を、私も時が経つまで守っていきたいと思う」
◇
「くそぉぉぉぉ!!」
「ファジールめぇぇ!!!」
激高し手近の物を勢いよく投げつける。
「わしの、わしの、島が……」
「ドルバ皇帝……落ち着いて下さい」
「黙れぇ!」
「わしの島が奪われたのだぞ!」
「元々はドルバ皇帝の物ではなく神の物です。 正確にはドルバ皇帝が手中に収めるハズだった島です」
「貴様! わしに歯向かう気か」
「事実を述べただけです」
「奪われたのではなく、手中に収めるハズだった島を横取りされたのです」
「何が言いたい、リヴィア」
「お暇を頂きたく……」
◇
「父上の功績を横取りした気分だ……」
「失礼します。 トルパーダでございます。 先王陛下より言伝を預かってきました」
「父上か!」
『たまには休んだらどうだ?』
「………たまには休暇を取るのも悪くない……か」
「宰相、休暇は取れるか?」
「再来月までは埋まってます」
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