第6話 冒険者ギルド

 「さあ、着いたぞ! ユウト」


 窓から身を乗り出し進行方向を見ると、白いお城と高い城壁が見えた。

 ファジール王国王都。

 この世界の首都である。

 『始まりの大国』とも呼ばれている。


 馬車に描かれた公爵家の紋章の力なのか、王都へ入る為の門を素通りして馬車は進む。


 そのまま城の方へ真っ直ぐ進み、鉄製の門を例のごとく、素通り。


 「この門を通った先が、貴族たちの住居なのだ」


 オルストンさんの説明に、「なるほど」と相槌を打つ。 平民エリア、貴族エリアと別れているわけか。


 綺麗で立派な屋敷が建ち並ぶ通りを抜けて、やがて馬車は大きな屋敷の前に到着。

 門番たちが、重そうな扉をゆっくりと左右に開く。

 屋敷の玄関前に馬車が停車し、屋敷の扉が内側に開かれた。


 「お帰りなさいませ!」


 ズラッと並んだメイドさんたちが一斉に頭を下げる。


 二十人はいるだろうか、しかし浮遊城のメイド型オートマタの方がまだ十人程多い。


 人知れず心の中でガッツポーズをする。




 「なるほど、君は冒険者ギルドに登録の為、王都へ向かっていたのか」


 庭に面した二階の応接室で僕はオルストン公爵を前に座り、雑談という話をした。





 その後オルストンさんたちと挨拶をして、貴族門を通り冒険者ギルドへ町の様子を見ながら歩いていった。


 冒険者ギルドがあるのは外壁近くとなっている。

 理由としては倒した魔物が大型の場合、運ぶのに苦労するという点と、素材を王都の中まで運ばれては困るので外壁付近となっていると、ゼダンが言っていた。


 店や屋台が並んでおり賑やかな通りを抜けていく。

 肉が焼け、食欲を誘う良い匂いがしてくるが誘惑に負けず、盾に剣をクロスさせた看板が目印の冒険者ギルドの扉を開き足を踏み入れた。


 依頼を勝ち取り出ていった為か、ギルド内に冒険者の姿はあまり無い。

 正面には受付があり、右側には依頼用掲示板、左側には待合スペースと酒場みたいなところがある。

 まだ朝なのに、飲酒している冒険者たちもいる。

そのまま受け付けまで進む。



 「すいません。 冒険者登録に来ました」


 猫耳の獣人の受付嬢が、顔を上げ笑顔で答えてくる。


 「はい、冒険者登録ですね。 ではこの用紙に必要事項をお書きください」


 子供に対しても、しっかりと対応をしてくれる受付嬢だ。



 『冒険者登録用紙』


 名前、ユウト・サトウ


 年齢、十三歳

 性別、男


 職業、魔法剣士


 得意魔法、風魔法


 使用武器、剣



 最低限しか記入しなくても良いようだ。


 「出来ました」


 「はい、大丈夫です。 それでは、この水晶に手を置いてもらえますか? そうすると魔力がカードに登録されます」


 ユウトは言われた通りに水晶に手を置く。 

 一瞬眩しく光った後、水晶の下の装置からカードが出てきた。


 「これがギルドカードになります。 登録者が、魔力を込めると登録者の名前とランクが浮き上がる仕組みになってます。 ランクが上がることによって、カードの素材も変わります。 最初はF級からのスタートとなります。 冒険者についての説明は必要ですか?」


 「ランクだけ、お願いします」


 「冒険者にはランクがあり、E級からのスタートになります。 そこから最後はSSS級までがランクになります。 SSS級は、今までで一人もおりません。 五百年程前にこのファジール王国の初代国王であるザムート国王がSS級に昇格したのが最高ランクになります。 E級~D級ランクはブロンズカード、C級~B級ランクはシルバーカード、A級ランクはゴールドカード、S級からは白金ミスリルカードになります。SSS級ランクはブラックカードと伝えられています。 昇格はギルド独自で判断しておりますので公表はしておりません」


 「ありがとうございます。 お姉さん」


 「名乗っていませんでしたね、王都本部で受付嬢をしています、ミリアと言います。 よろしくお願いします」


 受付嬢のミリアさんは微笑んで挨拶をした。



 僕は念願の、冒険者という身分を手に入れた。






 良かったあ……ステータス表示がなくて……こんなの気軽に見せれないな

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