開いた扉を通って、おいで下さい

ヘイ

高校生発案、オカルト遊戯

「オカルト的な儀式ってのは確立するのは簡単らしいんだ」

 

 例えばひとりかくれんぼ。

 或いは占いに近いテーブル・ターニング系列の儀式。俗に言うこっくりさんやらエンジェル様など。

 

「正直、これらの多くは時代とともに変化しているから、源流はあやふやだし。だからこそ、比較的新しい物と取れる」

 

 例えば。

 

「そこらに居る野良の幽霊に名前と役割を与えて、ゲーム……まあ、ルールを与える事でお手軽なスリルを味わえるってわけだ」

 

 だからこっくりさんや、ひとりかくれんぼなどと言う遊びができたのだとも考えられる。

 

「例えば、簡単な小さな扉を自作して、その前に人形を置いて」

 

 少しだけ、間を置いた。

 

「家の扉、窓を全部閉めて明かりを消す。これで開いた道は一つだけ。蝋燭に火をつけて、人形を照らしながら『開いた扉から、どうぞ。◯◯さん』と唱えて、蝋燭の火を消す」

 

 後は。

 

「ルール、だね。ルールは紙に書いておこう。あとは……髪の毛を一本だけ抜いて、人形の体と自分の指に結んで鋏で切る」

 

 とは言え。

 

「これは比較的に危なくないし、って言うか僕が思いつきで考えただけのゲーム。取り敢えず、どうしたら勝ちか、どうしたら負けかは決めた方がいいんじゃない? ひとりかくれんぼ宜しく、塩水をかけるってのが君の勝ちってのが分かりやすいかな? 後はどうやって遊ぶか、とか」

 

 理論は無いし、問題もないだろう。

 

「まあ、これで何か起きても責任は取らないよ? 負けがただの負けって結果に収まるなら良いと思うけど。取り敢えず使った人形は焼いて処理した方がいいと思うよ。まあ、自己責任でね」

 

 オカルトが好きな道園みちぞのはこうやって適当な話をして人を怖がらせるのも楽しみの一つだと、笑うような奴だ。

 

「なあ、道園」

「どうしたの?」

「それってやっても、本当に問題ないのか?」

「……どうせ、何も起こんないと思うけどね」

 

 オカルトは好きだが、人と話す為の手段の一つ。話のタネにでもなれば良いと言う物。

 

「気になるならやってみれば良いさ。何処かで聞いた事ある様なのをごちゃ混ぜにしただけなんだから」

「……お前の話なら、それでも幽霊が出るんだろ?」

「そりゃあ、よくある説さ。幽霊が出るって思い込むから幽霊を引き寄せるんだ」

 

 そもそもで信じてさえなければ幽霊は現れない、と。心の何処かで存在を信じてしまっているから。

 

「じゃ、やってみる?」

「安全かは確かめなきゃな」

たき、ゲームデバッガーにでもなれば良いんじゃないかな……」

 

 ホラ吹きの道園も少しばかり呆れる。

 

「お前もやるんだよ」

「え〜……はあ、分かったよ。身をもって証明しないとね。完璧なホラ吹きだって事」

 

 こうやって嘘を吐きながら皆を楽しませるのなら、安全が確実に保証された物でなければならない。もし、適当な考えであったとしても何かがあってはならないのだ。

 

「ルール委ねるとスリル上げようとする奴もいるだろ?」

「……何かあったら変えれば良いだけだろ」

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開いた扉を通って、おいで下さい ヘイ @Hei767

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