第四章 戦士の国
第88話 依頼と再開
戦力確認をした次の日、俺はエドワードに連れられて王城へと来ていた。
なんでも、国王が冒険者としての俺に依頼をしたいらしく、その説明の為に朝早くに迎えが来た。
正直めちゃくちゃ面倒くさいが、エドワードからも頼まれたので仕方ない。
王城にある謁見の間にて、俺とエドワードは国王の前で膝をつくと、代表してエドワードが挨拶をする。
「国王陛下、第一師団団長『剣聖』エドワード・アル・エディアス並びに冒険者ケイタ、召喚に応じ参上いたしました」
すると国王は、いつもエドワードに話しかける時とは違い厳格な口調で話し始める。
「ご苦労であるエドワードよ、そしてよく来てくれたケイタよ。此度お主を呼んだのは他でも無い、『雷光』を倒したお主の実力を見込んで頼があるのじゃ」
普段のギャップに戸惑いながらも、俺はなるべく平静を装って答える。
「そのように評価して頂き誠にありがとうございます。この依頼、謹んでお受けいたします」
と言うより
(つーか、国王からの依頼とか普通に断れるわけがないだろ!!)
断って死刑とか言われたら最悪だし……
国王の依頼を受けた俺は続いて依頼内容を聞く。
「して陛下、その内容はどう言ったものでしょうか?」
「うむ。ケイタよ、お主には此度の事件で捉えたヴェルダン帝国第三皇子ライナー・フォン・ヴェルダンを帝国との国境まで護送する騎士団の護衛と、ある者を帝国まで護衛して貰いたのじゃ」
「騎士団の護衛ですか?」
「そうじゃ。此度の件で帝国から
「なる程……騎士団護衛の件に関しましては了承いたしましたが、そのある者とは一体どなたなのでしょうか?」
俺が護衛対象の事を聞くと、国王が話し出そうとしたその瞬間、
「それは——「それは私よ!!」!!?」
謁見の間に、聞き覚えのある女性の声が響き渡った。
「「「??!!」」」
俺は恐る恐る声のする方へと視線を向けると、そこにはテッサリアの街でお世話(?)になったメリッサさんが両手を腰に当てて胸を張りながらドヤ顔で立っていた。
「な、なんでいるんですかメリッサさん!?ここ王城ですよ!」
メリッサさんの予想外の登場に、俺は思わず大声を出してしまった。
「ふふふ、そんなに驚いた声をだして相変わらずですねケイタさん」
メリッサは微笑みながらケイタの近くまで歩いていく。
「そんな事より、護衛対象ってメリッサさんなんですか?」
「ええそうよケイタさん。ちょっと事情があって帝国に帰らないと行けなくなっちゃったのよ!でも1人だと大変だから
「それに?」
「いいえ、なんでも無いわ!」
「そうですか?……まぁ理由は分かりましたが、それより国王陛下やエドワードはメリッサさんの事を知っているんですか?」
俺は国王やエドワード達を見渡しながらメリッサさんに聞く。するとメリッサさんは腕を組みながら
「ええ、もちろん知ってるわよ。だって陛下は私の弟子の1人だしエドワードの母親であるミーナは私にとって妹の様な子だしね!あれ?言って無いのエド?」
と、衝撃の事実を話す。
俺はエドワードを睨みながら声を荒らげる
「おいエドワード!!そう言う大事な事は早く言えよ!!」
するとエドワードは頭に手を置きながら苦笑いを浮かべて
「あはは、ごめんねケイタ。マオさんからの手紙にケイタとメリッサさんが知り合いだって書いてなかったからさ」
「だとしてもお前……はぁ、これ以上は俺が疲れるだけか……」
ここ数日、エドワードと一緒に過ごしていたのでコイツに若干抜けている部分がある事は確認済みなので、これ以上エドワードを責めても時間の無駄だと分かった俺は、視線をエドワードから再びメリッサさんの方へと移す。
「取り敢えずメリッサさんが護衛相手だと分かりましたが、俺は貴女をどこまで護衛すれば宜しいんですか?」
「私の目的地は帝都ウルガにある天傾城よ」
「天傾城ですか?」
「ええ、そこに皇帝である私の父が住んでいるわ」
「なる程、分かりました。それで出発はいつ頃ですか?」
俺が質問するとメリッサさんでは無く、国王が答える。
「予定では出発は明後日の10時。護衛は第一騎士団、つまりエドワードの師団が受け持つ事になっておる」
「了解致しました国王陛下。では自分は旅の準備がございますので失礼致します」
そう言って俺は、国王とメリッサさんに一礼してから謁見の間を後にした。
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