青春色の彼岸花

結香

出会い

モノローグ01

*僕*

 朝、目が覚める。

 僕は涙を拭い、狭い社宅を見渡す。

 スマホでニュースを流し読み、黒いスーツに腕を通す。

 玄関のドアを開けると、灰色の都会が広がっている。


 自覚のないまま大人になり、何も変わらない毎日を送っている。今までも、たぶんこれからも。


 時々、ふと、高校時代を思い出して、胸が張り裂けそうになる。

 それはなぜなのか、理由はわからない。

 ただ、昔を懐かしんでいるだけなのかもしれない。


 そうだ、もう一度。

 昔のことをゆっくり思い出してみよう。

 そうすれば、胸が張り裂けそうになる理由がわかるかもしれない。


*私*

 朝、目が覚める。

 私は涙を拭い、小窓のカーテンを開ける。

 ニュース番組を横目に化粧し、白いブラウスに腕を通す。

 玄関の引き戸を開けると、茶色の田舎町が広がっている。


 自覚のないまま大人になり、何も変わらない毎日を過ごしている。今までも、たぶんこれからも。


 時々、ふと、高校時代を思い出して、胸が締め付けられる。

 それはなぜなのか、理由はわからない。

 ただ、過去を振り返って懐かしんでいるだけなのかもしれない。


 そうだ、もう一度。

 昔のことをゆっくり思い出してみよう。

 そうすれば、胸が締め付けられる理由がわかるかもしれない。

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