2日目-2

「美優、どこに行っちゃたんだろう」


 窓からは運動部の掛け声が聞こえてくる放課後の教室で、一日中不安そうな表情を浮かべ、授業中にも何度もスマホを確認していた友美が涙目になりながら呟いた。


「本当だね、早く出てきて安心させて欲しいよな」


「うん」


 こんな時、何の根拠もなく、きっと大丈夫だよ、なんて形ばかりの言葉はかえって友美を傷つけてしまうだろう。雄介にもたれかかりながら、俯いている友美をみると、やはり二人は付き合っているのかななんて思えてしまう。


「友美と雄介は付き合ってるのかな」


 ふと聞こえた声に振り返ると、そこにはじっと二人を見ている萌乃がいた。


「こんな時に頼れる彼氏がいるっていいな」


 萌乃の気持ちも分かる。僕が友美と同じような立場だったら、僕も誰かに寄り添ってもらいたい。とても一人では立っていられないだろう。


 クラスメートが部活に行ったり、帰宅した教室には僕と雄介、友美、萌乃、志那が残っていた。別に何を話すわけではないのだが、やはり昨日一緒に遊んだ美優が行方不明になったことでみんな何となく一人になりたくなかったのだと思う。そんな中、僕にだけ聞こえるような小さな声でされた志那の問い掛けに、僕の心臓は止まりそうになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る