戒壇巡り

１日目-4

　一本道なんだ、だったら真っ暗闇でも迷うことはない。しかし、卍型なんてどうやって進むんだろう。周りに注意を向けると、みんなしっかりとは聞いていないようだ。殆どの人の心はすでに階段を降りているんだろうな。

　それでも萌乃はしっかりと顔を上げて住職を見ているし、志那なんかメモまで取っている。本当にこういうの好きなんだな。

「必ず守って頂きたい注意が三つほどあります。戒壇巡りは必ず一人ずつで行って下さい。誰かと手を継いだりしたらダメですよ。ご利益が完全に無くなってしまいますのでね。また、先程話したように錠前に触れたら、必ずガチャガチャと鳴らして下さい。これも絶対に三回音を鳴らして下さい。この音で邪気を追い払い、皆様の身を守ります。最後に戒壇巡りの最中は絶対に喋らないで下さい。後は当たり前ですが、スマホなどの電源は必ず切って下さい。よろしくお願いしますね」

　住職からの説明の後、誰から戒壇巡りを行うかをじゃんけんで決めた。

僕

和哉

美優

友美

萌乃

景子

志那

雄介

純

貴俊

　十人でじゃんけんして一発で僕一人だけ負けるという運の無さ。一番は何となく嫌だ。実験台みたくてさ。和哉か純で良かったんじゃないかな、一番手。