1日目-2
「もうちょっとで見えそうだったのに、残念」
隣で雄介が同じような感想を漏らしていた。景子は見た目も目を引く可愛さがあるから、男ならみんなそう思うよね、と自分を正当化してみる。でも、雄介は友美を好きだって噂だけどそれでも他の女の子に興味があるのかな。
「やっと、着いたな、早速、戒壇巡りやろうぜ」
和哉は純と共だって門をくぐって中に入っていく。景子の発言による男の性の侘しさから立ち直った僕は、改めてこの寺のもつ異様な雰囲気に飲まれ始めた。和哉も純もこの嫌な空気を感じていないのかな。僕の隣では、同じように萌乃も手をギュッと握って硬い表情をしている。
「何か、うち、すごく嫌な感じがするんだけれど」
「ああ、なんだろうな。この嫌な感じ」
志那と、同じように男の性の哀しさから立ち直った雄介も不安を口にしている。そうなんだよね、本当に嫌な感じがするんだ。できるなら、やらないで帰りたい。僕の中の何かが激しく警鐘を鳴らしている。行ってみたいなんて言うんじゃなかった、いまさら後悔しても遅いんだけれど。
「まあ、もう何人か行っちゃってるから仕方ない。僕たちも行こう」
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