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「書きました」

「んー」


返事までスローな明城みょうじょう先輩に氏名を書いた紙を渡す。

半分寝てるのかな、と思ったけど、受け取った紙、僕の名前を見る目はとても鋭く、メガネがキラリンと光ったようにも見えた。


「岡本、かず」

一行イチギョー!? お前イチギョーっての!?」


ぬっ、と沸いて出た赤いメガネの目が輝いている。

面白いことは逃さない嗅覚でも備わってるんだろうか。


「いや、かず」

「二行でもイチギョー! 一本でもニンジンみたいなあれか!? やるなお前!」


明城先輩の訂正もまるで聞こえていない赤いめがねが親指を立ててこちらにウインク。


「ま、そんなのはどうでもいいか! よろしくなイチギョー!」


今度は高笑う、一人でまとめやがった赤いメガネ。

ころころ変わる感情。他人を物ともしない性格。

まるで嵐を伴う太陽だ。


元気とは何か、と問われたら

今日からの僕は"赤いメガネ"と答えるだろう。

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