第144話 静かな叫び

第144話 静かな叫び

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ジャンヌ:騎士団長

フィスト:近衛兵長

サリー:魔法使い

マリン:海の冒険者

ブラド:吸血鬼の姫

ローズ:貴族令嬢

キャッツ:トレジャーハンター

マリア:シスター

リーフ:エルフ

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フィスト「やめてほしかったら、まわりで見てる動物たちにやめさせるのね」


ヌシが周りを見渡すと、そこかしこに森の動物たちがいました。

鳥、蛇、兎、狐やモグラ。さらには猪、鹿、熊など、大型の動物もいます。


ヌシ『お、お前たち……』


動物たちは、遠巻きに9人の少女とヌシのやり取りを見ています。


ヌシ『な、何をしている……こいつらを止めろ……』


動物たちは互いに目を見合わせたり、ヌシから目をそらしたり、世界樹を見上げたり、反応は様々ですが、誰もそこから動こうとはしませんでした。


9人の少女とヌシは、動物たちを見つめます。


ヌシ『お前たち!!どうしたというのだ!?』


ジャンヌとフィストが武器を携えたまま、歩きながら言います。


ジャンヌ「どうしたのかしらね」


フィスト「言っとくけど動物たちにはサリーの術はかけてないわよ」


サリー「かけられないんだけどね。ヌシさんの体おっきくて、それだけで限界だから」


キャッツ「つまり、この動物たちは自分たちの意志で動かないってことよ」


ヌシ『くっ……だったらなおのこと!動け!お前たち!この愚かなよそ者どもを止めろ!』


動物たちは、何も言いません。


ヌシ『お前たちは……この世界樹が大切ではないのか!!』


動物たちは、何も言いません。


ヌシ『……そうか』


ヌシがぽつりと言います。

その体を動かそうともがくこともやめました。


ヌシ『大切ではないのだな……お前たちにとっては……私だけがこの世界樹を、大切に』


リーフ「それは違います!」


ヌシ『……何が違うというのだ』


マリア「聞こえませんか?動物たちの、この無言の叫びが……彼らは世界樹を大切ではないと考えているわけではありません。世界樹よりも大切なものを見つめているんです」


ヌシ『世界樹よりも……大切なもの……?』


マリア「今この瞬間から先の、未来です」


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