第112話

第112話 若き王の苦悩

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ジャンヌ:騎士団長

フィスト:近衛兵長

サリー:魔法使い

マリン:海の冒険者

ブラド:吸血鬼の姫

ローズ:貴族令嬢

キャッツ:トレジャーハンター

マリア:シスター

リーフ:エルフ

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キャッツ「っつーことでさ、あんたたち、こんなところに引きこもってる場合じゃないの!」


9人が年老いた大臣と若き国王を見ます。


キャッツ「ほら?どうすんの?」


国王は少女たちの視線を受け、口を開きました。


ホーク「アウルよ……僕は、怖い」


誰の顔も見ず、国王は言います。


ホーク「鳥人たちが昔のように自由に空を飛ぶようになっても、僕は王として、彼らをまとめられるだろうか……彼らは広い世界を見ることで、僕に王の資格なしと思わないだろうか……」


アウル「陛下」


ホーク「父上はどうだった?僕が小さいころに死んだ父上のことを、お前は僕よりも知っているんだろう?そうさ、父上の為政を見てきた者たちは、きっとこの国から飛び立ったら、二度と帰ってこないだろう。僕みたいな臆病者が治める国になど」


キャッツ「その心配はないわよ。だって鳥人たちはこの国に、今いるんでしょ?」


ホーク「そうだが、それは僕が国王としてそう命令しているからだ」


キャッツ「違うわね。この国を見限るつもりなら、国王の命令なんか聞かずにさっさと出ていくわよ。二度と戻るつもりなんかないなら、ね。そうでしょ?大臣さん」


アウル「陛下」


大臣が国王を見て言います。

とても穏やかな口調です。


アウル「国王は陛下ひとりです。ですが、この国を背負うのは陛下ひとりではありません」


ブラド「え、やだちょっと素敵」


アウル「陛下を含む鳥人の若者たちがこの国を背負っているのです……悔しいのでしょう?ドワーフたちに後れを取っていることが」


ホークはアウルの顔を見つめます。

アウルはそれをまっすぐ、見つめ返します。


アウル「あなたのお父上の口癖をご存知ですかな?」


ホーク「……いや」


アウル「『鳥人族はこんなものではない』。今、陛下の胸の内にある想いと、同じでしょう。私は、お供しますよ」


ホークはアウルを数秒間みつめ、無言で小さくうなずきました。

そして、9人の少女の方を見て、言います。


ホーク「オーブのところへ案内する。ついてきてくれ」

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