第79話

**********

第79話 ドワーフの長


???「ロックスよ。そうベラベラとしゃべるもんじゃない」


声は後ろから聞こえました。

ロックスを含む全員が慌てて振り向きます。


ロックス「ボ、ボルカノ様」


ロックスがボルカノと呼んだドワーフは、ほかのドワーフよりもひとまわり体が大きく、髭には白いものも混じっていました。


マリンが小さな声で問います。


マリン「偉い人?」


ロックス「ああ、ドワーフの長だ」


ジャンヌ「あの、私たちは」


ジャンヌの言葉をボルカノは手のひらを前に出すことで止めました。


ボルカノ「いや、いいんだよ、お嬢さんがた。立ち話もなんだから、館に来てくれ」


そう言うと返事も待たずに歩きだしてしまいました。


キャッツ「……な、なんなのよ、えらく一方的ね」


リーフ「ねえ、館って、あれ?」


リーフの指さす方を見もせず、ロックスが答えます。


ロックス「ああ」


ブラド「城やん」


ローズ「ほんと!おっきいねー」


ロックス「……」


ジャンヌ「ロックスさん、どうかした?」


マリン「顔、怖いよ。いっそう」


ロックス「……」


マリア「もしかして、私たちを里に入れたことで、怒られたりする?」


サリー「え!?そんなのダメ!ロックスさんは私たちを見かねて助けてくれたんだから!」


マリン「うん、そうだよ。ちゃんと私たちに説明させてもらわなきゃ」


ロックス「ありがとな、お嬢ちゃんたち……でも、そういうわけじゃない」


フィスト「?そうなの?」


ロックス「ああ、里によそ者を入れることで咎められることはないんだ。珍しいことではあるが、そうすることになってる」


ジャンヌ「だったら、何でそんなに浮かない顔してるの?」


ロックス「長が館によそ者を呼ぶことが、今までなかったんだ」


9人は顔を見合わせました。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る