第51話忙しい日々




あの日から2年目になった。

この羅漢大陸で暮らす様になって、正式にサルトス国と名乗り。

以前から貿易のあった国々に更なる貿易を行なっている。

そして新たに貿易をする国を合わせると、142国に及ぶようになった。

船は帆船でなくなり、マナで動く魔動船と植物から取れる植油で動く油動船で貿易を行なっている。


植物から取れる植油は、この羅漢大陸のみに生息して、この大陸でしか育たない植物だった。

その動力を欲した各国に、その植油をも販売するようになって半年が過ぎようとしている。

各国が使用する目的は、植油発電所であった。

そこから得る電力でモーターを回し、織物を作ったりと電車を走らせるようになった。

第1次産業革命であった。


他の物で燃やして代替で出来ないか試されたが、思った程パワーがでない問題点があった。

金に余裕がない国は、それを用いて電力を作りだしていたが、大気汚染を引き起こしていた。

それは隣の国にも被害を拡大させて、その周辺国の大問題になった。


それに引き換え、植油は大気を余り汚染することは無かった。

そして、その問題は戦争まで発展して、我が国サルトスが仲裁する事になった。


「払いたくても、ない金をどうして払えるのか?」


「あんたの国が引き起こした問題だ。払うのが当り前だ」


「これと言って自慢出来る産業が無い国で、産業革命を見ていればどうしても欲しくなるのは当り前だ」


「それだからと言って、大気を汚していい訳がない」


「どうでしょう、我が国がナライ国に援助と言う形で手助けをしましょう」


「援助ですか?何かやましい考えが有るのでは?」


「疑っても仕方ないが、あなたの国がそれを受入れるしかないと思います」


「・・・よろしくお願いする」


援助と言うことで介入して、真っ当な国にするのに3年も要することになった。

次第に国の争いに、自然と介入する数が増えて信頼も増したが、仕事量も多忙であった。




そんな多忙でも、我が家に帰ってゆっくりしたいが、残った書類に目を通してサインをしていた。


「あなたのパパは忙しいだって、可哀想なナーちゃん」


「目の前で見せ付けなくていいだろう」


「あらパパたんは怒ってるわ。よちよち可愛いナーちゃん」


執務室まで、赤ちゃんを抱えてやってきたララは、必要以上にからかっていた。

こうやって、代わる代わりにやって来る妻は、赤ちゃんを見せに来るのだ。


そんな、なごんでいたのにドアが急に開いた。


「閣下、大変です。ラブラン方面で戦争が勃発したそうです」


「ララ、すまない。行って来る」


俺は急いで部屋を出て行った。



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