第33話ユーラ大陸




大型ヘリの移動も終わり、小型ボートに乗り換えて出航。

新たな大陸に向かっている。トロスは海に向かって「オエッ」と涙目でげっそりとしている。

俺は反対側で釣りを楽しんでいた。


「お!手応えあった」


引きが強く大物が掛かったみたいだ。

ユナが傍らで網を持って、海上に上がるのを待っている。

ララは相変わらずカメラで撮り続けている。


今ではノートパソコンに画像データを入れ、あれこれ画像修正を施すまでになっている。


「大物だユナ頼むぞ」


「とったどーー」


まるでユナが釣ったように叫んでる。

この大物が今夜のご馳走になるだろう。


退屈な海の旅なので、異世界の料理を多く振舞っている。

トロスには【船酔い薬】を与えるとコロっと治って、ご馳走を旨い旨いと食っている。



やっと見えたユーラ大陸のシグ国の港と入港。

サルトス商館で商人相手に聞き取り調査をすませて、サルトス商館の屋上から大型ヘリで飛び立った。

向かう先はユーラ大陸の大いなる森の手前の小国。


ラーラ国でラーズ卿がエルフのオークションを仕切っている。

他国が攻めないのも、うしろにエルフの存在があるからと言われている。

商人から聞き出した情報では、開催10日前だと聞いた。

どうもサルトス国からの商人は、オークションに参加出来ないでいる。

新たにオークション参加するには、オークションに出品する品が必要で高級な商品ではダメだった。

一品物で驚愕きょうがくするような品でないと、ラーズ卿が認めないらしい。



遠くから見える大いなる森に、更に遠くに大きな木が立っていた。

一瞬、世界樹かと思ったが違っていた。

世界樹に漂うマナが見えなかった。


「あの空き地なら下りられるか?」


「やってみるわ」


高度を徐々に下げて着地に成功。急いで大型ヘリを収納。


96式装輪装甲車を出す。異世界通販で新たに購入した。

価 格 約1億2000万円

全 長  6.84m

全 幅  2.48m

全 高  1.85m

全備重量 約14.5t

最高速度 100km/h

航続距離 500Km以上

乗 員  10名 (操縦手1名・車長1名・後部乗員8名)

搭載機関 三菱6D40 水冷直列6気筒ターボチャージドディーゼル

出 力  360PS/2200rpm

武 装  96式40mm自動擲弾銃×1

開 発  小松製作所

製 造  小松製作所


中古でなく新品での購入。

前の軽装甲機動車は乗員4名なので、今の6名だと2台で行く羽目になるので購入した。

皆は車体後方から乗り込んでゆく。


「アッキーばかり運転しているから、今度はわたしが運転するわ」


「ならわたしが横で見てあげる。下手な運転すると交代よララ」


「わたしの方が、96式装輪装甲車に乗っている時間が長い事忘れないで」


「おしゃべりより、はやく出発してよ」


快適に飛ばして走るが、アッキーよりスピードを出さないが丁寧な運転だ。


途中から広い道に合流、道行く馬車や人がガン見してくる。

どうやらラーラ国へ行く人達のようで、ラーラ国から来る人や馬車は見当たらない。


天井のハッチを開けて外を見ていたトロスが「正門が見えたぞ」と叫んだ。


「道のかたわらに止めてくれ」


全員を降ろすと96式装輪装甲車を収納して、人が並ぶ列の最後尾につく。

2時間後に何も揉め事もなく正門を通過。

やはり宿屋は予約でいっぱいで泊まれそうにない。

宿屋の主人は馬車の中で泊まる人がいると聞き、有料で空き地を提供しているらしい。



その空き地提供者と交渉して空き地を確保。


そこに中古の大型キャンピングカーを出した。

値段は140万円で走行距離は100,000キロ手前の3Lディーゼル。

注意書きに「車検がない為しばらく放置しておりましたがエンジン一発始動です」


運転席上にはどうにか3人で寝てもらい。

あとの3人は長いすに寝ることなる。


外を見ると、覗き込む人も居て、窓のカーテンは閉める羽目になる。

夜になるともれる明かりが更に、この大型キャンピングカーを周囲から目立ちだした。

食事の最中でも声が聞こえてくる。


「もう嫌になる、わたし達、見世物じゃなくてよ」


「アッキー気にしすぎだよ、まだ10日もあるんだ。すぐに見飽きるよ」


アッキーは気を静める為に、異世界の癒しの音楽をヘッドホンで聞いて、いつしか寝てしまっていた。

俺が毛布を掛けてやると、他のメンバーもやれやれと思っている。

1人だけトロスが強い酒を飲み過ぎて、床に寝込んでいる。

そのトロスにも毛布を掛けてやる。



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