第27話婚前旅行




トニー領都の邸宅で夜が辛くなった俺は、4人全員を正妻扱いにすることでどうにか勘弁してくれと頼んだ。

そして、異世界で行われる婚前旅行で彼女らを誘うと、彼女らの話題は旅行へと感心がいき俺は解放された。

我が領土の商人が、外国で撮った写真と動画をモニター画面に映し出して、紅茶と菓子でティータイムを楽しんでわいわいと彼女らは話しだした。


「ここの町並みは変わった建物が多そうね、異国情緒があっていいと思うけどどうかな」


「こっちの青い海に砂浜がよさそうよ、ほら泳いでいる男女が楽しんでいるわ。それに砂浜で寝ているけどあれって何か意味があるの」


「商人の報告だと、肌を太陽の日差しに焼いて黒くして、健康の証にする風習だと書かれているけど本当に健康なの」


「わたしは、この火山噴火を近くで見たいな、赤く燃えている土が動いているって」


「そんな危険な所なんて行ける訳がないわよ。危険な所は戦と魔物討伐だけで充分よ」



そして1番に訪れる先が決まったのが、ある商人が道を間違えて入って行った奥地の森。

そこには巨大な遺跡がそびえ立っていて、読めない文字が書かれた神秘な所。


巨木が遺跡を突き抜けて大きく枝をのばし、大きな緑の傘をさすように広がっている。

それが年代を決める手がかりなるかも知れない。

商人は年代を500年前だろうと言っているが、あの巨木を調べたと報告には書かれていない。

確かな証拠もなく感じたまま言ったのだろうと推測される。

動画にも美しい柱が見られ、一番奥に大きな扉が閉じていた。

商人と冒険者が5人で、押したり引いたりしても動かない。

5人係で丸太を勢いをつけて叩きつけてもビクともしない扉。

ナイフで表面を削って金属を調べようとしたが、傷一つも付かない硬さ。

シーフタイプの冒険者は、あっちこっち調べたが何も無かった。


「わたしなら魔法で開けてみせるわ。絶対に自信があるから」


「どうかな、あいつらがただ単に力が弱いだけよ。わたしの強化ですぐに開くわ」


「わたしは、あの文字に興味がわいてきた。絶対に今世紀最大の発見になる筈」


「わたしの勘は鋭いの、あれはもっと古い物に違いないと心の叫びが聞こえてくるの」



2番目に決まったのが、煙を吐き続けている火山の麓に、巨大地下都市バーボ。

そこにはドワーフと言う亜人族が古く2000年前から住み続けている。

ここに何故、彼女らが興味を持ったのか、武器の存在が興味の対象だった。

そこから買取った武器が、彼女らの手に一振りだけあった。


「この剣は、この大きさのわりに扱いやすいわ」


「綺麗に作りこんでいますね。我が領もこれぐらい作れていれば高く売れるのに」


「ドワーフの力は、人間の3倍もあるって書いてます」


「わたしはナイフを2本買いたいな、建屋の接近戦で威力を発揮する筈」



3番目は森深くに住むエルフ。

エルフの民は1000年も生きると言われている伝説の精霊と噂されている。

10年に1度の人間との貿易が近々行なわれる。

その日程に合わせて、俺らは行くみたいで、最大の興味は1年若返る薬。

彼女らのお目当ては薬が欲しいだけ。

俺はもっと、興味があり欲しい物が、項目を見ていて沢山あったが彼女らは薬しか見えていない。


「これは絶対にわたし達が飲むべき薬よ。想像するだけでわたしは若返った気がする」


「向こうの会場でオークションが開催されるみたい。各国も凄い品をこのオークションに出品するみたい」


「すると、通貨は誰が両替すのかな、あ、有ったラーズ卿が古くから仕切っていると書いてる」


「あなたは幾ら持っているの、この宝石買わない。お願い買って」




俺ら一行はあの小型ボートの乗り込んで、ミラー湾岸都市で出航待ちをしている。


「トニーさま、遅くなってすみません。これが今手に入ったデータです」


「ありがとう、これで問題解決になれば良いが?アッキー、出航だ」




出航して1日が経過、穏やかな海を滑るように走っている。


「トニーさま、ソナーに反応がでてます」


「アッキー減速してくれ。こっちのデータだとこれだな、設定をしてくるから確りと見ていてくれ」


設定が終わると、追尾爆雷の発射ボタンを急いで押す。

「ボン」と発射。しばらくして、右舷5メートル先に水柱が立ち赤く染まった。


プクリッと巨大魚が浮かび上がった。

全長8メートルの巨大魚にフックを打ち込む。

頭部に命中して、ロープを引き寄せて近くに巨大魚を引き寄せた。

俺は巨大魚に飛び乗り、バランスを保ちつつ腹をナイフで引き裂いた。


「あった、この魔石は大きいぞ。幾らぐらいするだろう」


強くジャンプしてボートに飛び乗ると、巨大魚は静かに海へと沈んでいった。


海には様々な魔物が居て、航海する船を襲い人を食っている。

我が領の貿易船は、ソナーで魔物を発見すると魔物の深度に合わせて追尾爆雷を発射。

魔物を仕留めるのは稀で、強い衝撃に魔物は驚き逃げてしまう。

しかし逃がしてばかりでは、やはり航海に支障がでてしまう。


異世界から更に詳しいマニュアル本を購入。

1から勉強して追尾爆雷の設定方法をマスター。

ソナーデータをもとに追尾爆雷を最適に設定。


今後はソナーデータでどのように設定すれば、いとも簡単に魔物を討伐出来るようになるだろう。

そうだソナーデータで固有の名をつけて、追尾爆雷にもその名を書いておけば設定る時間が必要ないな。


これで貿易船が安全な航海が出来るだろう。



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