第18話ドラゴンとシーサーペント




ティラノサウルスを解体した結果。

肉や骨などの素材が大量に取れたので、ダンプ1台で運べない量で、中古の大型ダンプ2台を購入してようやく積み込むことが出来た。

武器に使える骨や牙、そして防具使えるうろこが多く取れたので大満足。

村に帰ると村人が大騒ぎになり、悲鳴が聞こえ何故そんなに興奮してるのだと考えてしまう。


よく聞くと「ドラゴンだ!」と村人達は口々に言って驚いている。

そんなバカな、これはティラノサウルスで間違いない。


ドラゴンは御伽噺おとぎばなしにしか登場しない架空の生き物の筈。

どうも村人の話しは大げさ過ぎる。


しかし見識のある老人から王様には、胆のうと頭と魔石を送るほうがいいと言われたが、頭は破裂、魔石は加算されてないのが現状。

荷馬車に胆のうのケースと足の骨と心臓と肉を適度に乗せて出発。

バーラーの町でジニーに説明して、ロバートと同行してもらうよう頼んだ。

勿論、肉を多目にプレゼントすることで了解を得た。

俺は2人を見送ったあとにバギーに乗って帰った。



村では肉を解体して燻製にする物と、今日食べる物と仕分けの最中。

村人の顔に喜びを見て、何故か感動してしまう自分が居る。


何となくだが今日の夜は村人達に肉を振る舞い楽しく飲み食いがしたい。

異世界通販から飲んだことも無い酒やワインを購入。

香辛料のコショウと岩塩も沢山購入。


夜は薪を燃やして串に刺した肉に、コショウと細かくした岩塩を振って焼いている。

肉からは香ばしく美味しそうな匂いがする。

歌いながら肩を組み合って、喜びながら酒を飲み合う男性陣。

子供に焼いた肉を切って分け与える女性陣。


俺の傍らの彼女らは、ニーナの話しに夢中で笑っては驚き、また笑っている。


俺は焚き火に薪を追加して、枝でつついて人生について考えていた。


一粒の水滴がほほに当たり、焚き火にもポツリポツリと雨が降ってきた。

彼女らは、「雨だわ、はやく家にかえるよ」と言って走り出した。

焼いた肉を掴み家々に帰る村人達。


俺は消えている焚き火に枝をつついて、更に考えていた。

公爵としての自覚を感じ出し、1つの決意の元に立ち上がった。

この人達を不幸にさせる訳には、いかなと強く思った。



次の日から軍隊の戦闘部隊を作る為に人選を行なうことにした。

まずは彼女ら5人を小隊長として部下10人を彼女らに選ばせた。


ララは狙撃専門チームとしての訓練をさせて魔物討伐で実力を付けさせる。


ユナは後方支援型として、魔物回収や様々な対応の出来る部隊に育ててゆく予定。

大型の魔物と出会う確立もあるので、ロケットランチャーを装備。

爆弾を扱えるスペシャリストに育てる為に、爆弾教育と訓練も行なう。


残りの3人には、銃火器の訓練をして魔物討伐も同じくさせる。

この3部隊にもロケットランチャーを装備。



魔の森までの道を完成させたので、飛び地の漁村までの道を作ることにする。

今まで道作りに従事していた50人から30人を選び丸投げして、1人1人が考えて自律を促した。

俺は残りの20人を連れて漁村に急いで向かう。


漁村に大型船を向かわせたと、手紙での連絡があったからだ。


漁村はボロい家が10軒建っていて、全員集めて数えると31人だけの村の数に達していない。

船も2人乗りのボートに近かった。


漁業方法も、釣りで吊り上げるか、漁業用の槍で突き刺すの2つの方法だけだった。


「俺が国王から任命された領主だ。心配しなくていい。取って食ったりしないから」


何事だとキョロキョロする漁民。


「ここで他国との貿易を始める。そのまま漁業をするのも認める。それも安定して獲れるよう援助を約束をしよう」


自然の湾内も大型船が入っても充分な深さも大きさもあった。

結構使えるぞと思いながら、家の建て替えと大型船が接舷せつげんできるように岸壁を整備すぞと妄想にふける。

勿論、漁業が出来るように大きな船も造船する予定だ。


漁村の老人が申し訳なさそうに近づいてきた。


「あの領主さま、大変ありがたいのですが、この沖合いにはシーサーペントが住み着いてます。なのでこの湾内でしか漁はしてません」


「深刻な話しだな、分かった。領主として退治してやる」


早速、湾内に小型ボートを出して、連れてきた5人を乗せると湾内を走らせ運転を教え込んだ。

操作方法は至って簡単なので、1時間も経てば覚えたみたいだ。

ソナー探知機に1人を担当させて、俺も準備を済まして出航。


ナックは前回の海上戦で戦った1人なので、自動擲弾銃じどうてきだんじゅうの扱いを見て知っているので任せた。

この小型ボートは対潜水艦攻撃用に作られた試作品。

採算が取れないと開発中止になった1隻で、安かったので購入。

その為、海に向けて追尾爆雷が設置されている。

わずかな熱源や音で追尾。一定距離で爆発して衝撃で潜水艦を撃破するタイプの爆雷。

いま付いている自動擲弾銃も、俺があとからアーク溶接で取り付けた物。


「この下に200メートルに障害物が見えます」


「ボート停止!」


シーサーペントの情報など一切ない状態で追尾爆雷が追尾出来るか疑問に思った。

単純な深度をセットして、爆雷2発を「ボンボン」と発射。


「エンジン全開で発進しろ!」


しばらく待つと後方で「ドシャードシャー」と水柱が噴出し、ボートが大きく揺れだした。

プクリッとシーサーペントが浮上。

どうも損傷もなく、衝撃で気絶をしているのだろう。


「ナック、頭をよく狙って撃て」


狙いを充分に定めてバッスと頭に命中。

頭に穴が開いた状態で動かないシーサーペントは完全に死んだ。


「シーサーペントを持って帰るぞ、船を近づけろ」


フックを頭近くに引っ掛けて、外れないようにもう1本のフックを掛ける。

そのまま湾内へ向けて小型ボートは動き出した。


湾内に運ばれたシーサーペントを見て驚く大人。


「でかい蛇だ蛇だ」


「あれって食えるのか?」


子供達は無邪気に笑って話している。

このシーサーペントは食べても誰も文句は言わないだろう。


「今日はこれを解体して食うぞーー」


大人達も引き上げを手伝い、ロープを巻いて引き上げている。



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