第23話 絶体絶命!?

皇帝が1人で行動することは有り得ないことくらい分かっている。

けれど、ベルリアの強さは周りも分かっていた。むしろ周りが足でまといになる程、ベルリアは最強で、1人の方が楽だと思っていた。


しかし、そんなベルリアも、数には勝てない。

20人くらいなら余裕だろうが、100人となると確実に死ぬだろう。


残念ながら、今まさに、その場面にあった。


「貴女の命、頂戴いたす!」


次々と襲いかかってくる的。

ざっと見たところ100人は超えている。


こんな山奥でこんな人数。

狭くて動きにくいうえに、逃げ道は全て塞がれ崖まで追い詰められていた。


サスペンスドラマのようだ。


「私が死ねば貴様らの国は滅びへ向かうことになるぞ。」


「貴女のように、平民から多額の税金を騙し取るような人が皇帝では、いずれ滅びる。」


「税金を騙し取る?」


私は首を傾げた。


そういうことは宰相達とノバレンに任せていたはずだ。

ノバレンがそんなことするはずがないし、宰相達もベルリアと親しい人物ばかりだ。

ベルリアの信用を落とすようなことはしないはずだけど…


どういうことだ?


私が考えているとその隙を狙って暗殺者達が襲いかかってきた。


こういう時ってみんなで一斉に来ればいいのに、ドラマとかアニメでは1人ずつ襲いかかって返り討ちにされるんだよね。


まさにこのバカ達もそうで、周りの人は前の人が倒されたのを確認して順番に襲いかかってきた。


身体は覚えているかのように剣を綺麗に振っていた私はこの調子なら余裕だろうと、油断していた。


少し息が上がってきた時、急に身体が重くなり、手にも力が入らず剣を落としてしまった。


「しまっ…」


た、という前に私は胸元を刺されていた。


この綺麗な体に傷をつけるなんて!!


そんなふうに思いながら膝から崩れ落ち地面に突っ伏した。


『おい、何をしている。』


「え、刺されたんですけど?痛いんですけど?」


『そんなことではこの先不安だな。これは自律神経を麻痺させる香だな。なるほど、皆鼻と口を布で覆っているのはそのためか…。』


「そんな呑気に言ってる場合ですかね?」


「何を言っているか聞こえませんね陛下。」


暗殺者の1人が前に出て私の項に剣先を当てた。


「あー、ベルリア、これ、本当にやばいやつ。」


『はぁ、全く。』


「これで、終わりだ、ベルリァアアア!!」


私は思わず目を閉じた。

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