転生したら一妻多夫制だったので悪役辞めて楽しんでもいいですか?
橋倉 輝
第1話 好きな本
「はぁー、何回読んでも面白過ぎ。てか推しが尊いっ!」
家に帰って直ぐに自室に篭もる。これはもう日課だった。本を読み始めて3時間。
私はベッドの上で本を広げ、枕を顔に当て叫んだ。
私が今読んでいる本は『愛されお姫様は選べない』
という小説で内容は題名のまま。
「誰か一人なんて選べなぁい。」
と言う主人公。
結局は皆で仲良く結婚、一妻多夫になりましたとさ。という話だ。
正直私は、この主人公のお姫様が嫌いだ。
じゃあ何故この本をそんなに何回も読んでしまうのか。
それは悪役である皇帝(女)のベルリア、通称ベルが大好きだからだ。
女なのにたくましく、強く、綺麗で、本当は優しい人。
という設定。
ベルにも夫が10人居た。
そのほとんどが奴隷商から救った男だった。
しかし主人公のお姫様は何を勘違いしたのか、ベルリアを、奴隷を買いその人たちを日々いたぶった挙句殺している、残虐な悪者だと思っていた。
それは後に、ベルリアを陥れるために誰かが流したデマだった事が分かり疑いが晴れるが、時すでに遅し。
ベルリアは殺されてしまう。
ベルリア自身も女皇帝というのがあり、威厳を保つ為に、悪い噂も時には役に立つと、あまり訂正しようとはしていなかった。
しかしそれが裏目に出て、訂正しようと思った時、もう誰も聞く耳を持たなかった。
死に方もあまりに酷かった。
主人公のお姫様の兄の一人がベルリアの夫だったが、その男はベルリアを庇い死ぬ。
それを見たお姫様は悲しみ狂い、さらにそれを見た周りの鬱陶しい、あ、間違えた。
お姫様のことが大好きな男共が「あいつを悲しませるなんて、許さねぇ!」みたいな感じで、ベルリアに拷問のような痛みを与え、ゆっくりと殺した。
のくせにあのお姫様勘違いってわかった瞬間、「良かった。」なんて言うんだよ!
よくねーわ!ベルリア死んでるわ!
ベルリアは死ぬ直前まで皇帝らしく、弱音は吐かず、許しを乞うこともせず、凛々しかった。
私はベルリアのこのかっこいい姿を好きになった。
まぁ文字だけだから多少想像も混ざってるけど。
私は読み終わった本を閉じ携帯を開く。
すると下からものすごい爆発音が聞こえたと同時に意識が無くなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます