第926話 意外な真実
最後にお風呂に入って寝るのが遅かったため、起きるのも一番遅くなってしまった。と言っても、朝食の時間には起きたので、遅いというほど遅いわけでは無い。
食堂に向かう途中に年少組がお風呂から上がって来た様子で、髪を乾かしてはいるが少し濡れている感じが見える。朝食に間に合うように出てきて、乾かし切れなかったのだろうか?
まぁ昨日はお風呂に入る前に寝てしまったから、朝食の前に入ったんだろうな。
食堂に着くとシエルから念話が飛んできた。
『朝食の前にすいません。昨日の夜ですが、特に魔物が近付いてくる様子が無かったそうです。緊張していたようですが、肩透かしにあった気分みたいな事を言っていましたね』
「あ~みんな、ありがとね。でも、水の中の安全は俺たちじゃできないから、頑張ってもらいたいんだけどな。シエルからも言っといてくれよ」
『あ~そこら辺は問題ないですよ。食事が美味しいとみんなやる気がみなぎっていますからね』
すでに亀たちは、シルキーたちの食事に陥落していたようだ。ただ、アーマータートル! お前たちは、ディストピアの農家さん達に媚びるべきだと思う! その野菜、シルキーたちは何も調理してないからな! いうならドリアードにも媚びるべきだと思う!
アーマータートルたちは、今度畑エリアに連れていくべきだな。他の亀たちはシルキーの調理した料理を食べて陥落しているのでどうしようもないけど、あいつらは農家さんの方に行ってほしい!
「さて、チビ神からはヴローツマインの南の海上にあるとしか聞いてないから、どれだけ南に行かなきゃいけないかも分かってないんだよね。
一応、新しく街を作っている所にマーカーを置いてきたんで、この魔導具でそのマーカーまでの方向と距離が分かるから、それを見ながら視認した範囲のおおよその部分だけでも地図を埋めていこうか」
昨日はあそこから真南に進んだから、それにこの星が地球と同じサイズだと仮定した場合船の上から、水平線までの距離は、遠くても5キロメートル位かな? その部分には島は見えていないっと。
「って陸地までの距離って、もう100キロメートル以上離れてるんだな……ん? 俺さ、今すごい事を思いついたんだけど、この星が地球と同じサイズだったら、俺たちが住んでいる大陸だけじゃないよな? 他の大陸には何があるんだ?」
俺の質問に答えられる人は誰もいなかった。それもそうだろう。海に魔物がいるんだから、地球みたいにこの星を1周できる人なんていないもんな。俺らのいる大陸だけって事はないよな? 日本人からしたら、あの大陸も結構でかいけど、オーストラリアの半分も無いんじゃないか?
『ふっふっふ、とうとうその事に気付いてしまったわね!』
あ~もうお腹いっぱいなんで帰ってもらっていいですか?
『あなた、最近本当にすぐに帰そうとするわね。でも私は負けない! 強引に聞いてもらうんだから!』
そうだよな。俺にはこれを本当に拒否する事はできないんだよな。
『ふふ~んっ! 分かればいいのよ! あなたの考えている事は概ねあっているわ。でもね、間違ってもいるのよ! あの大陸以外にもいくつも島や大陸はあるけど、ほとんど人は住んでいないわ。この世界だけに限らず9割位の世界は、一部の大陸しか開拓されていないのよ! 管理が面倒だからね!』
え……それでも数万って数の星があるんじゃなかったっけ? 単純に1つの星に10個分の星を詰め込めば管理が楽になるんじゃないのか?
『それは違うわ。同じ星の違う大陸に人がたくさん住んでいたら、大きな戦争になるわ。海の魔物も活発になって面倒な事になるのよ! 管理という面では、1つの世界にたいして人の住んでいる大陸は1つ、多くても2つまでって所でしょうね』
大陸間戦争が行われるのは望ましくない? 神共の都合でそうなってるのか、質が悪いな。
『なんとでも言いなさい! それに他にも理由があるのよ、さっき話した残りの1割の星はね。もう滅びに向かっているのよ。リソースが足りなくなって、地球で言う世界大戦が数百年単位で続いているバカげた世界よ』
リソース? 魔物が湧くには、そのリソースとやらが必要なのか?
『ん~詳しい事は言えないけど、リソース不足になると魔物が産まれなくなって、作物が育たなくなるのよ! だから、一度でもそうなると回復に時間がかかって、回復する前に人々が死んでしまうのよ』
って言う事は、俺もこのまま他の島や大陸を開拓したらリソース不足になるって事か?
『あ~あなたの星だけは特別になったわよ。神のダンジョンを攻略したでしょ? あそこのリソースは使いきれるような物じゃないから、地球みたいに人が増えても問題ないけど。おそらくは大して開拓はできないわよ』
俺たちの能力があれば問題なく出来るだろ? それともやらない方がいいって話か?
『違うわ。本当に無理なの。星は実験的に人が住む大陸以外は、フィールドダンジョンになっていて、制御を奪えないようになっているから、人が住めるような環境にすること自体が困難なのよ。ってか、これ以上言うのは面白くないから、自分で試行錯誤するのがいいわ』
ん~まぁ気が向いたらやろっか。人のダンジョンの中に街を作るのは相当大変だからな。
とりあえず、星じゃなくて、世界って言っているのが気になるな。今は問題なさそうだから気にせずに楽しもう。
「……人様! ご主人様!」
「んぁ? あ~ごめんごめん。ちょうどチビ神から連絡がきてちょっと話してた」
「黙り込む前の話の内容でしたら、他の大陸についてですか?」
「そうそう、他の大陸は一応あるみたいなんだけど、人間が住めるような場所じゃないみたいだね。簡単に説明すれば、俺が支配していないダンジョンの中で街を造るようなイメージだね」
「ふみゅ? フィールドダンジョンとかに街を造るですか? シェリルたちにならできるよ?」
「そうだね。俺たちからすればたいした事じゃないかもしれないけど、普通の人たちにとっては、街以外に住まずに魔物や盗賊に一生襲われない確率より、フィールドダンジョンで生き残る確率の方が低いんだよ。
ほぼ無理と言ってもおかしくないんだよ。まぁ俺たちが手伝って色々すれば問題ないけど、そこまでする必要はないでしょ」
「う~ん、住めるところが増えるのは良くないですか?」
「ネルはそう思うかもしれないけど、よく考えてみて。そんな大変な環境じゃなくても、今の大陸にまだまだ住める場所がたくさんあるんだよ? 苦労してフィールドダンジョンに街を作る意味があると思うかな?」
俺の説明で首をかしげていた他の妻たちも頷いてくれた。
「まぁ、気にしても意味がない事が分かっただけでも良しとしよう。話がそれちゃったけど、俺たちの目的は朱雀の住む島を探す事だからな。と言っても、気張る必要はないからね。楽しくいこう!」
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