第925話 探索開始

 テトラポットなどの配置が終わり、亀たちも戻ってきた。


『海の中を調べてきました。回遊魚だと中に入ってきにくいと思いますが、そういった魚でなければ問題なく入ってこれそうです! 魔物もちらほらいましたが、陸地に近い所には強い魔物はいませんでした。ですが危険ですので、一応処理しています!』


 戻ってきたシエルが簡単に海の中の様子を説明してくれた。


 脅威になるような魔物はいないのか? 念のため俺の命令に従う魔物を配置しておくべきか? そうすれば、この囲いの中ならかなり安全になるって事だしな。スモールクラーケンとか面白そうなのがいたから、配置しておこう。


 そうそう、このスモールクラーケンってイカ型の魔物じゃなかったんだよね。クラーケンはイカ型っぽいのになんで違うかと思えば、クラーケンよりかなり小さいが似たような足だったので、スモールクラーケンと名付けられたそうだ。


 それでもこれが似たような魔物になるのかね。召喚した2メートル位のタコの魔物を見ながら、これがクラーケン? と首をかしげながら見るしかなかった。


 嫁達や、俺の知識をある程度継承して召喚される魔物達は違いが分かるようだが、一緒に来ていたモーリスとテオは、イカとタコは同じ種類だと思っていたので、この世界ではこういうタイプをまとめてクラーケンって呼ぶのだと理解した。


 でも、モーリスもテオもイカやタコを食っているはずなのに、何で分からないのかと思ったら、生のタコを見た事がないらしい。見た事あるのは茹でられて足がくるんとしているアレしかないのだとか。確かに言われないと、生と茹でたのは同じ物には見えないよな。


 昼飯の準備をしていると、土木組が従魔に乗って戻ってきた。これのおかげでこの子たちの移動速度はかなり早くなってるからな。護衛以外にもしっかり役に立っているようだ。


 食事中に土木組からもいろんな話を聞いた。街に関しては、防壁と下水、区画整理用の道、畑の土壌改良までを請け負っているらしい。それから先は全部、外部から雇った職人たちを使って、建築や道の舗装、その他もろもろを行っていくようだ。


 土木組に全部やらせればとも思うが、それをしてしまうとこの子たちの仕事量がかなり増えてしまう上に、他の人たちの仕事をとってしまうので、これくらいに抑えているようだ。


 ここに関しては2人にまかせる事になっているので、この先は2人の頑張りに期待しよう!


 囲いの外まで移動して、船を呼び出す。10万DPもかかるが、楽しむために使うDPだ! 気にする必要は何もない!


「さてと俺たちは、チビ神が言っていた島を探しに行こうか。空からも探せるようにバッハも連れてきてるし、ハクもいるからそんなに時間はかかんないと思うけど、旅行だと思って楽しんでいこう! 出発!」


 無駄に力を入れても疲れるだけなので、旅行くらいの気分で楽しみながら探す事にしたのだ。


 出航して6時間。空が暗くなってきたので、今日の所はこれで移動は終了だ。暗闇の中移動しても見つかるか分からないしな。


 亀達は交代で番をしてくれるそうなのだが、どこで休むのか疑問に思ってシエルに聞いてみると、いつの間にか亀達が上り下り出来る機構が船に取り付けられていた。


 船尾に亀たちが入れる開閉式の扉がついており、その先に甲板まで出れるエレベーターがいつの間にかつけられていたのだ。俺に覚えがないって事は、綾乃とバザールが造ったのだろう。こういったことができるのは、俺以外にはあいつ等しかいないからな。


 陽がないけど甲板で休んでる姿を見ると、甲羅干しをしているのでは? と思ってしまいそうな光景だ。


 食事は晴れていたので甲板で食べていたから、亀たちの様子を見る事が出来たのだ。食事は何を食べるのか聞いたら、雑食だった。だけどアーマータートルは、野菜を好んでバリボリ食っていた。


 なんだろな。こんな動物をテレビで見た事ある気がするんだけど、思い出せない。まぁ体のサイズ以外は可愛いから問題ないか? さすがに3メートルもあると可愛いというよりは、ただただでかく見えるだけなんだよね。ちょっとした小山だからな。


 シエルが何やら言っているようだが、一番小さいので威厳がないのか亀たちに撫でられたり、物理的に舐められたりしている。あれ~? 10日前はみんなシエルに付いていってた気がするのに、すでにナメられてる……頑張れ!


 そんな光景を見ながらの食事だったので、本当に楽しい食事になった。まぁ一番楽しんでたというか、得していたのは、バッハだと思う。


 手の空いたアマレロから直接、新作の料理の味見をさせてもらっていたのだ。美味いようで、ギャーギャー言いながら、羽根をバサバサして尻尾をフリフリしていたので、間違いないだろう。


 食事後は明かりを全部消して、リクライニングチェアーに座って夜空鑑賞もした。まぁそこまで長い時間は続かず、飽きてしまった年少組がアニメが見たいとおねだりをしてきたので、デスゲームの代名詞の小説から派生した銃を使った世界を舞台にした、フルダイブ型オンラインゲームのアニメを流す事にした。


 地球の知識が無いと楽しめないアニメではあると思うが、俺の布教活動で染まってくれているので、みんな楽しそうに見ている。


 ただ、年長組だけは視点が違っていたのに少しびっくりした。もし自分たちがあのゲームをやっていたらどう動く? みたいな話を始めたためびっくりしてしまったのだ。


 小説を読んでいる人間なら、その小説の世界に入って妄想する事はあると思う。それをアニメを見ながらするのはレベルが高すぎじゃないか? 初見なんだからもっとストーリーを楽しんでよ!


 1クール分なので、5時間ちょっとでアニメは終わるのだが、見始めたのが9時を回っていたので、半分ほど見たあたりで年少組が眠くなってしまったようで、鑑賞会は終わりになった。


 年中組や年長組はそのままお風呂に向かって、俺と姉御組の3人は年少組をベッドに運んでから、また甲板に戻ってきた。


「シュウ、お疲れ」


「ん。特に何もしてないけどな。それより3人は、風呂に行かなくていいのか?」


「後でシュウと一緒に入るから問題ないわ」


「そうね。シュウ君が下の娘に気を使って先にお風呂に入らせたんでしょ? 私たちも付きあうわよ」


 俺たちがお風呂に入れたのは、12時を回ってからの事だった。それより、お風呂で襲うのは止めてくれ。ベッドでは年少組だって寝ているからできないとはいえ、お風呂でヤルのはどうなのだろうか? すること自体は嫌いじゃないんだよ?

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