第921話 お供え物?

 俺は、チビ神からもらった情報をみんなに伝えに行こうと思ったが、よく考えたらまだ昼過ぎじゃん! とりあえず、シルキーの所に行って、食事やスイーツ、お菓子等をお願いしてこよう。


「スカーレット! いるか~」


「はぃはぃ、どうなさいましたか?」


「今、チビ神から連絡があって、有益な情報をもらえたからお返しをしようと思ってな。聞いたら、スイーツやお菓子が食べたいって言ってたんだわ。後、バランスが悪くならないように、普通の食事も準備してあげようと思って、みんなに頼みに来たんだ」


 一応、あんな奴でも神だから、お供え物とかになるのかな?


「了解いたしました。そうすると、1食毎に別けられていた方がよろしいですか? 保存に関してはどうなのでしょうか?」


「あ~、1食毎にバランスよく準備するって面倒じゃないか? 保存に関しては、収納の腕輪みたいな能力があるから大丈夫みたいだぞ」


「色々試作もしていますし、それを盛り付けるだけですから、特に面倒ではありませんよ? 容器をどうするかが問題ですが」


「そうなのか? じゃぁ、この位のケースに1食分ずつ入れるのはどうだ?」


「なるほど、お弁当形式ですね? では、お菓子やスイーツは、1食分ずつにしますか?」


「さすがにそれは面倒だろ。ホールだったら自分で切る楽しみもあるし、大きい箱に何種類も入ってたら選ぶ楽しさもあるだろうから、そっちはある程度まとまった量を入れておいてよ。すぐじゃなくていいから、そうだな、これくらいの収納の腕輪に入るくらいの量をお願いするよ」


 そういって、6畳分の部屋位の収納スペースのある収納の腕輪をスカーレットに渡す。仕事が増えたのに、めっちゃ笑顔になってる。家事仕事限定だろうけど、仕事が増えて嬉しいっていうのはどうなんだろうか? 頼んでる俺が言えたことじゃないけどな。


 それにしても海か……海の中で対応できるのって、シエルだけで大丈夫かな? 念のためリバイアサンにも来てもらった方がいいか?


 前の時、魚人にあった時は気にしなかったけど、サメやシャチみたいな魔物がいるっていうし、他にも大きい魔物がいるって話なんだよな。シードラゴンやシーワームみたいな巨大なのがいるんだよね。


 リバイアサンって長期間巣を離れたがらないから、無理な気がするな。それなら、バッハを連れてくか? もし船が壊されても一面氷にしてからでも、バッハに乗って帰れば大丈夫だよな? シエルの援護があれば問題ない?


 ん~、一応シエル以外の護衛も考えた方がいいか。水中を泳げる魔物か。何か召喚できるようになってないかな?


「水中で活動できる魔物っと、ん~ちょっと増えてるみたいだけど、完全に水中型だと利用用途が限られちゃうんだよな。さて、どうしたものか……」


 召喚リストの検索で出てきた魔物をながめていると、NEWのマークがついた魔物の中に面白い物を発見した。


 それは、今までに召喚リストにほとんど載っていなかった、亀に属する魔物たちだ。


「ふむ、これはあれか? シエルを従魔にしたから出てきた魔物かな? とはいえ、水中でも陸上でも問題なく活動できる亀は、悪くない選択かな? 陸上ではシエルほどの動きはできないと思うけど、製塩所の近くに放置して護衛させれば、結構な戦力になるんじゃないか?」


 それにしてもいろんな亀が出てきたな。こいつらだけで1つのパーティーを組んでも、問題なさそうな種類がいそうだ。うん、その発想は悪くなさそうだ。


 パーティーの基本。タンク・アタッカー・遠距離攻撃・ヒーラーって所かな? あ、斥候も必要だな。


 えっと、タンクはさっき良さそうなのがあったよな。いたいた。アーマータートル、動きは遅めだが防御力に優れた亀。


「それにしても、アタッカーや斥候になるような亀なんているのかな?」


 名前を見ても分からない物が多いのだが、その中でアーマータートルと同じで、そのまんまの名前の亀を発見した。


「ヒールタートル……まんまだな!」


 その近くに今度は、ニンジャタートル。これっていろんな意味で危ない気がするけど、大丈夫か?


 まぁこの世界でこんなこと気にしてもしょうがないな! 次を探そう次を!


 後は、動きの速そうなジェットタートルがアタッカーになりえるだろうか? 遠距離攻撃の亀、何か撃ち出すような奴がいればいいんだけどな。甲羅の部分が噴火するようなってそれはまずい。もし海の中でそれやったら、水蒸気爆発するもんな。


 何かいないかな~


【デッドリータートル】


 おいおい、物騒な名前の亀がいるじゃねえか! 何だってんだ? とりあえず、召喚してみるか? 念のためシエルも連れてって、ダンジョン農園の海エリアでいいか?


 シエルを発見したので小脇に抱えて拉致をする。手足をバタバタさせるが小さい体では何の意味もなしていない。俺の後には、シエルの近くで休んでいたダマもついて来ている。何をするのか気になったみたいで、一緒に来ると主張してきたので、シエルとは反対の小脇に抱えて連れていく事にした。


 ダマは、シエルがジタバタしてるのを見て楽しそうと思ったのか、真似をするためちょっと危ないからやめてほしい。


 今のシエルが太った猫位のサイズに対して、ダマは中型犬でも大きい部類に入るくらいのサイズなので、その大きさの違いで結構な力があるのだ。


 ちなみに、シエルの姿は、スッポンみたいに平べったい形ではなく、リクガメのような真ん丸い形をしているので、抱えてあるくのには便利な形だ。甲羅の縁も外側でなく、下に向かって伸びているため、抱えても脇腹に刺さらない形なのだ。


「よっし、そろそろ始めるか」


『そろそろ色々教えていただきたい。何故わらわをここに連れてきたのですか?』


「あれ? 言ってなかったっけ? 実は、かくかくしかじか、うまうま……なんだよ」


『そうですか、って分かるわけないでしょ! しっかりとした言葉で教えてください!』


「あれ? 漫画とかアニメだとこれで通じるのにな、おかしい!」


『あれは、マンガやアニメだからです! 現実でそれができるモノがいたら、リーディングみたいなスキルの持ち主だけですから!』


「うんうん、いい感じに染まってきてるね! お前と話しているとなんだか楽しいよ! でだ。シエルを連れてきたのは、新しい魔物を召喚しようと思って念のため一緒に来てもらっただけだ。もしかしたらお前さんの知識が役に立つかもしれないからな! まぁダマは、ついてきたからついでだ!」


 そう2匹に説明して、ピックアップした亀を召喚していく。

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