第920話 貴重な情報ゲット!
湖にあった島の拠点から帰ってきて、2週間が経過した。
俺はその間に、グリエルの執務室に顔を出して領主の仕事をいろいろしたり、各街で起きている問題について耳を傾けた。
ディストピアに物理的に距離が近ければ近いほど、問題は少なくなっているような気がする。なので、一番離れているフレデリクとリーファスは、ちょいちょいといろんなトラブルが起きているようだ。
それでも現地に派遣している人間で対応できる程度の問題なので、あまり問題視はされていない。
そういう意味では、グレッグやミューズ、ジャルジャンからゴーストタウンに来る人間のトラブルの方が、よっぽど面倒だと言っていた。
商人や冒険者は、俺が管理している街の中でトラブルを起こせばどうなるか知っているので、大人しく問題を起こすとしても、酒の飲みすぎで少し暴れるという程度である。2~3日牢屋に放り込まれるだけで済んでいる。
問題なのは、貴族やその関係者の横暴な態度や、自分の国では問題ないと思っている事を、他国……俺が管理している街で行うので、度々処刑せざるを得ない状況になっている。処刑すれば、親族が抗議に来て面倒なのだとか。
中には、国の使者としてこっちに、法外な賠償金を請求してくる奴までいるらしい。まぁ、聖国に関しては無視というか、1度目は街の外に放り出すが2度目は処刑しているとの事だ。王国と帝国に関しては、そんな人材は送らないので、来たら処刑してほしいと言われている。
ディストピアの近くでは貴族のトラブル、離れれば住人のトラブルが増えている感じだ。理由は分からないが、元々中立地域にあった街は、厳しい環境なのでしっかりと守ってくれる、領主についていくのではないだろうか? とグリエルが言っていた。
特に、グレッグやミューズでは乳幼児の死亡率が激減し、食料も飽和する程は無いが食べるのに困る事もない量は供給されている。治療院で安価な治療が受けられるため、仕事で怪我をしても休まずに済んでおり、生活するのに問題ないレベルで稼げている状況だ。
前の領主の場合は、金だけ集めて何もしていないと評判だったとか? そう考えると、ジャルジャンの領主のフェピーは、良い領主だったという事だろうか?
それに対して、国に住んでいる人間に関しては、街のトップにあまり興味を持っていないのではないだろうか? あれ? でもそうするとどこかの国に住んでた方が、上の人間の事が気になるんじゃないか?
まぁ分からない事を考えても意味がない。
他に気になる事と言えば、先日ゴーストタウンで行った武闘大会はかなりの反響があったらしい。大会終了後に冒険者や、商人、騎士団からの問い合わせが多くあったそうだ。
その中でも多かったのは、次回の開催があるのかという物だったとか。次回の開催は考えているが、今の所未定だと伝えているようだ。
「俺的には、みんなの負担がないなら問題ないんだけど、あそこまで大きな規模だと1年に1回でも厳しいよね?
それに、それ以外の時期には客を集めるイベントみたいなのが無いわけで、月1で小さな大会を開いて、そこの優勝者やトップ4とかを年1回の武闘大会に招待する? とかだと毎月コンスタントに人が来ないかな?」
なんて言ってしまったので、そっちの計画が立ち上げられて話が進んでしまったのだ。俺のアイディアという事もあり、具体的にはどういったイメージなのかという事を、根掘り葉掘り聞かれて大変だった。
そのおかげもあり、大枠は出来上がったようだ。毎月行うにしても、ジャンルの違う大会をしてみてはどうか? という案も出ており、品評会みたいな大会も面白いのではないか? という話になった。
そうやって2週間程、領主っぽく活動してみたが、今日はグリエルの執務室へは行っていない。だってさ、「もうする事がなくなったので、しばらく自由にしてていいですよ! 何かあれば連絡しますので!」とか笑顔で言われたら、正直へこむじゃん? 俺、そういわれた後に行く勇気なんてないよ!
なので、今日は家でゆっくりゲームをしていたのだが、
『ふっふ~ん! あなた暇そうだわね!』
あっ! めっちゃ忙しいんで、そういうの後にしてもらえますか?
『ちょっと! どう見ても暇してるじゃない!』
暇そうに見えるだけで、今、めっちゃ考える事がいっぱいあって忙しいんですよ。だから、後にしてもらえます?
『ゲームしてるくせに忙しいってどういう事よ! どう見ても暇してるじゃない! それに、後っていつ頃よ』
ん~10年後くらいっすかね?
『ムッキー! やっぱり私の事バカにしてる!』
ほら、バナナあるぞ!
『サルじゃないんだからいらないわよ! もういいわ、勝手に話すから!』
うわっ! 開き直った上に迷惑極まりない!
『ふんっ! 知らないわよ! あなたが暇そうにしてたから、面白い話を持ってきてあげたのよ! どうよ、感謝しなさい!』
あっ! 3つ目の神のダンジョンの話はいらないです。
『うぐっ……それもあるけど、今回は違うわよ。ヴローツマインより更に南に行くと海があるのは知っているわよね? その先に、大陸と呼べるほど大きくはないけど、あなたが湖で発見した島みたいな、フィールドダンジョンになっている火山帯の島があるのよ。そこに、白虎と玄武の同類である、朱雀が現れたそうよ!』
火山帯か……火の鳥? フェニックスみたいなもんかな?
『フェニックス? あぁ、それね、朱雀の別名よ。昔呼ばれた勇者だかダンジョンマスターが、朱雀を見てフェニックスって言ったのが広まったとか聞いたわね。フェニックスはフェニックスで存在しているんだけど……あれは、精霊で本当に火の中に住んでいるから、人が見る事なんてまずありえないわよ』
なんと! 朱雀の情報も嬉しいけど、それ以上にフェニックスという心躍るモノが存在しているのか!
『どうよ! どうよ! ちょっとはやる気が出たんじゃない? 私、いい情報提供したよね? ちょっとくらい見返りを用意してくれてもいいのよ?』
見返りがほしかったのか……この前、大量に小説やゲームのデータやったろ? その前には映画やドラマのデータだってやったじゃんか! これ以上何がほしいんだよ。
『神界の食事も美味しいんだけど、あなたが前についでとか言って送ってくれた、ケーキが食べたいの! あのシルキーたちが作ってるお菓子なんかも食べてみたいわ! スイーツが食べたいのよ! お菓子が食べたいのよ!』
うん、単なる食いしん坊だったな。そうか、遅れてきた成長期が来たんだな。わかったわかった。俺がいっぱい栄養になるもの送ってやるからな!
『ちょっ! 何勘違いしてるの? 私は今だってめっちゃいい女よ! ただちょっと身長が低いだけなんだから!』
うんうん、分かったよ。そういう事にしておくから。そうだな~お菓子やスイーツ以外にも、成長の手助けになるような、食事を送ってやるからな!
『だ~か~ら~! 違うって言ってるでしょ!?』
んっ? じゃあいらんのか?
『ほしいです……』
了解! 出来次第送るから……って大量に送っても大丈夫なのか?
『問題ないわ。私たちは、収納の腕輪が無くても無制限に収納する事ができるからね!』
便利だな。まぁいいか。情報ありがとな!
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