第902話 予定変更
島に作り始めた訓練スペースは、余計な事をしていないので、すぐに完成した。完成したことを休息中の兵士達に教えると、8割位の兵士達が武器を持って訓練スペースに向かってしまった。
そんな様子を見送ってから、俺は拠点の中に作る訓練スペースの事を考えていた。
「どの位の広さにするべきかな?多少無茶しても大丈夫なように、強化と修復は付与しておくけど、広さが問題だよな」
現在、拠点の広さは、だいたい縦75メートル、横55メートルになっている。縦が広くなっているのは、メンテナンス工房と鍛冶工房を造るために増設した部分だ。因みにここには船着き場はカウントされていない。
縦の先の部分には、島側に橋、反対側に船着き場があるので、そちら側に広げることは出来ないから、横に100メートル程広げるか? 明日、バッハにくるように言っておけば作業がはかどるな。
メンテナンス工房はほとんど完成していた。まだ夕食まで時間があるので、明日の準備をしておくか。
シエルを呼んで、海に潜り土台の整備を行う。そのまま柱を立てる穴を掘っていく。息継ぎしに上に戻るのはしんどいな。前回だけとか思ってたけど、そういうわけには行かないようなので、酸素ボンベを召喚して使う事にした。
ダイビングなんてしたこと無かったけど、息継ぎを考えて水面まで戻らずに潜り続けれるって、いいことだな! ここにきて何度も潜っているが、落ち着いて周りを見ていなかったのが、悔やまれる位には景色がキレイだった。
必要数の穴をあけてから拠点に戻るが、夕食までまだまだ時間があった。風呂に入りながらのんびりしておこう。あっ! 最近小説やマンガ、アニメなんかのチェックしてなかったから、ちょうどいい機会だな。
先日、愛船に増設した小さめのサウナに入ってリストをながめる。
サウナの温度は、低めの60度で湿度を高めにしている。からっとして熱いサウナも好きだが、ちょっとじめっとしたサウナも好きである。ただ、個人的にはスチームサウナは余り好きではない。特に理由は無いのだが、あえて言うなら息苦しく感じるのが好きじゃないからかな?
最近は、気になっている小説やマンガ、アニメしか調べてなかったから、いろんなジャンルをまとめて検索している。
小説は、チェックしているつもりだが、アニメから小説を見始めるケースが多い俺としては、アニメより先に開拓したい気持ちも大きいのだ。
まぁもともと小説を読んでいなかったのだが、ネットの月額制の動画サイトを親が見てないときに使わせてもらったのが始まりだったな。
読み始めたきっかけは確か、荒廃した大地に汚染物質がまき散らされた世界で、その汚染物質から住人を守る移動型居住施設がいくつもあり、そこで産まれる者のなかで特殊な力を授かり、外にいる異形の敵を倒す勇敢な者たちを中心に、話が進んでいく小説だったな。
その世界で最も武芸に優れた都市で、犯罪を犯した最強の剣の担い手だった少年が、学園都市と呼ばれる場所に入学するとこらから始まる小説だ。
あの小説がアニメ化されていなかったら、小説を読み始めなかったかもしれないな。俺にとって思い入れの強い小説なんだよな。
1時間程、サウナと水風呂の往復をしながら色々探してみた。
「ん~、やっぱり見覚えのない小説が増えてるな。アニメも見たいのが増えてたし、今度まとまった時間をとって1話を流し見でもしようかな? それでビビッと来たのを全話そろえればいいよな。
見ないのを集めてもな。あ~でも、妻たちやブラウニーに土木組も見るかな。それなら、あの部屋に目につくもの全部召喚しておいとけばいいか。おっと、そろそろチビ神にもデータ送っといてやるか」
今はまだサウナにいるので、チビ神に渡すデータを準備するか。DPで魔改造されたブッ君に対応したマイクロSDカードを召喚する。その中に収められる情報量は、10の15乗、ペタと呼ばれるキロ⇒メガ⇒ギガ⇒テラの次の単位だ。
何故そんなバカげた容量のマイクロSDを準備したかといえば、色々精査して情報を渡すのが面倒なので、端から全部突っ込んでチビ神自身に読みたいのを選ばせるためだ。DPには困っていないので、初めからそうすればよかったぜ。
ついでにゲームの方のデータも、端から突っ込んだ物を準備して、送り付けた。
『やっと新しいデータを送ってきたわね! 催促するとあなたの機嫌を損ねるかと思って遠慮してたから、本当に遅いわよ! むっほー! 何この小説の量! えっ! ゲームのソフトもたくさん! あなた、やっと私を敬う心が出てきたのね。うんうん、苦しゅうない!』
え? 何言ってんの? お前を敬うわけないじゃん。小説もゲームも選ぶのが面倒だから、端から全部突っ込んだだけだぞ。だからどうでもいい小説もあるから注意しろよ!
『やっぱり、あんたはあんただったのね。まぁそれでもいいわ、神界は娯楽が少ないからこれは本当に助かるのよね! 感謝するわ。これでまたあの馬鹿神共に自慢してやるんだから!』
そんな事を言って声が途切れた。やりすぎて恨みを買っても知らないからな! そこはまぁ、自己責任だろ。
貢物も終わったし、自分の分を出してブッ君にインストールしておく。本とかは家に帰ってからまとめて出そう。見た感じ1人だと本棚に収めるのに時間がかかるんだか分らん位たくさんあったからな、手の空いてるメンバーに手伝ってもらわないとえらいことになるな。
夕食の後は特にする事もなく、いくつかのアニメの1話をみんなと見て、自分に合ったアニメを話し合った。俺はやっぱり、バトル系と頭脳系が好きだと改めて感じた。
嫁達の好みは、年齢で偏っている感じだな。姉御組は話の内容が濃いもの、年長組はシリアスな内容、年中組は恋愛もの、年少組は俺と同じバトルもの……見てわかりやすい感じのものが好きなようだ。
アニメのデータもあの部屋に召喚しておくか。データで準備しておけば、見たい人が自分の端末を使ってみればいいだけだしな。自分専用が欲しければ、俺に言ってくるからな。
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