第901話 順調順調
日が明け各々が行動を開始する。
「みんな揃ったな! 昨日夜番をしていた1班は、睡眠を! 戦闘に出るのは2~7班。8~12班は午後まで待機、各自自主訓練を行うのは自由だが、動けなくなるような訓練は禁止だ。
午後からは、8~12班と1班が戦闘にはいる。2班は夜番のための睡眠を! 残りの班は待機、各自自主訓練は自由だ。では、行動開始!」
レイリーが兵士たちにそう指示を出した後、俺の方に向かってくる。
「シュウ様、少し時間よろしいでしょうか?」
「ん? 何か問題でもあったか?」
「問題ではありませんが、武器をメンテナンスできる施設がほしい所です。短期でも長期でも、戦闘を行うので専用の場所があると嬉しいです。後、長期になればきちんとした修理のできる人と、鍛冶場も用意してほしい所ですな」
「あ~そっか、俺達は自分たちで修理もできる人間がいるから気にしてなかったな。色々考えると兵士たちの中に、鍛冶能力のある人員がいる方がいいか?」
随時戦争をするわけでは無いので、専属の鍛冶職人のような存在はいらないようだ。ディストピアに帰れば鍛冶能力の高いドワーフたちがいるし、全員が自分の武器を複数所持しているので、本当に長い期間でなければ問題ない様だ。
多少であれば自分でメンテナンスができるので、他の街の兵士や騎士に比べれば継続戦闘能力はかなり高い。だからと言って、武器の修理ができない状況は看過できないのだ。
「どっちにしても、武器のメンテナンスを自分たちで出来る場所があったほうがいいわけか。だったらあれだな。船着き場を造るついでにメンテナンスできる施設を準備しておこう。一応、鍛冶場のできる場所も作っておくか」
レイリーは俺の話を聞いて満足したようだ。後は、兵士たちの後詰めで改装などを手伝えない嫁たちを、待機させてほしいとお願いされたので、快諾しておく。元々その予定だったしな。一応、鑑定スキルで兵士たちのスキルの上がり方を、見ておいてもう予定だ。
全員が行動を開始する。俺はレイリーに頼まれたことをみんなに伝えると、
「あれ? 拠点の1階だか2階に工房作るんじゃなかったっけ?」
「ん? そんなこと言ってた気もするけど、別の所に場所を準備する事にしたから、午前中は少し敷地を広げる作業をしよう。それが終わったら船着き場を造って、その後に兵士たちの使えるメンテナンス場所かな。バッハがいないから重機みたいな魔導具作るから、船着き場に使う建材を加工しておいてくれ」
俺たちも手分けをして作業を開始する。
その日の作業は何の問題もなく終わり、船着き場までは完成した。完成した後に、船をつけてから固定していく。
兵士たちの方は、魔物たちはダンジョンの魔物と同じくらい効率で経験値を持っているようで、兵士たちのレベルが上がっているようだ。魔物のわき具合を考えるとダンジョンよりは効率がいいと思う。
後詰めしていた妻たちも、特に問題なく安定した戦闘だったと評価している。あの中には、妻たちより長く戦闘に携わっている人もいるが、実力的には妻たちの方が上だからな。上から目線も仕方がないのかな?
そんな事言ったら俺なんか、ほとんどがスキル頼りのごり押しに近いから、何も言えなくなってしまうな。
特に大きな事故もなく、1日が過ぎてよかった。明日も頑張らないとな!
メンテナンス工房を造っていると、休憩中のシフトの兵士たちが相談したいことがあると声をかけてきた。
どんな相談事なのかビクビクしていたが、しっかりと訓練するスペースが欲しいとのことだった。即決は出来ないので、善処すると言っておいた。
あれを綾乃たちに聞かれていたら、約束を守らない政治家かよ! みたいな事を言われたかもしれないな。そんな事にならないように、俺はすぐさまレイリーに相談しにいった。
何故レイリーに相談しにいったかと言えば、訓練スペースを何処に作るかというものだ。
上陸地点のフィールドダンジョン内に作るか、拠点の隣に作るかで悩んでいるからだ。
メリットから言えば、絶対にフィールドダンジョン内に作るべきなのだが、ダンジョンの外での訓練もある程度は大切だと考えているからだ。
ダンジョン内だと、スキルやレベルの成長は著しいけど、それを使う肉体や精神はその成長速度に追いつけず、ちぐはぐな形になってしまうからだ。
そんな事を相談しに行くと、
「両方に作ったらいいのでは無いですか?」
と、言われた。確かにその通りだった。別にどっちかにこだわる必要が無いことを思い出し、兵士たちには拠点の近くと、フィールドダンジョン内に訓練スペースを作ると伝えた。めっちゃ喜んでくれているようでうれしい限りだ。
メンテナンス工房に関しては、俺がいなくても建てるのに問題が無かったので、俺はサクッとフィールドダンジョン内に訓練スペースを作りにいく事にした。
訓練スペースを平らにするのは、兵士たちの後詰めでいるライムたち魔法組に手伝ってもらえば、整地は楽に出来るだろう。
せっせと訓練スペースに柵を建てていると、
「ご主人様、何でフィールドダンジョンは、洞窟のダンジョンと違って地面に干渉できるの? クリエイトゴーレムでもいじれなかったよね?」
隣でダマとシエルとじゃれていた、3人の内ネルから疑問を投げかけられた。
「あれ、何でだろ? 何となく出来ると思ったからやってたけど、ダンジョンなら干渉できないよな? フィールドダンジョンは別なのかな? 上陸する橋をかける所が残ってるから、当たり前だと思ってたけど、何でだろうな?」
訓練スペースを作りながら、近くにいた妻たちを巻き込んで考えてみたが、答えは出なかった。解明されてない事柄をいくら考えても分からないので放置することにした。チビ神に聞く機会があったら聞いてみよう!
今は、干渉できるという事が分かっているだけで十分だからな!
「とりあえず、分からない事を考えてもしょうがない、野郎共! 訓練スペースを完成させるぞ!」
ノリで野郎共と言ったら、協力してくれていた妻たちに言葉の袋叩きにあった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます