第789話 面倒な事が起きた

「グリエル、ちょっといいか?」


『はいはい、どうなさいましたか? 今から攻撃でもするのでしょうか?』


「いや、マップ先生見たらわかると思うけど、もう終わった。それで相談なんだけど、どうやらこの国って帝国と同盟を結んでたみたいで、同盟憲章的にも問題があるみたいだから、この国は俺の物になったっぽいから、管理できる人間と、手の空いてる暇なドワーフとか派遣できる?」


『え? シュウ様、分かってて皇帝に連絡をとらせたんじゃないのですか? それに、国を治める事になると思っていましたので、管理する人間の準備はできてますよ。ドワーフは何のために呼ばれますか?』


「城の改築? リフォームってところだね。これから、グリエルの管理になるから、部下が使いやすいように改造した方がいいだろ? 金は、俺の商会から出しておいてくれ。


 全部DPでもやっていいんだけどさ。せっかくお金を消費できるいい機会だから、存分に使ってもらいたいところなんだよね。別にドワーフだけじゃなくて、管理してる街の大工を集めてもいいぞ」


『そういう事ですか……下働きとかはどういたしますか?』


「連れてきてもいいけど、こっちの人間を教育してもいいんじゃねえかな? 国内には樹海ほど魔物は多くないから、食料生産とかは安定してるし、無茶な改革は必要ないだろうし、多少の支援をしてやれば食糧増産とかできるだろ?


 それより、ここの王族はあまり質が良くなさそうだから、多分貴族も私腹を肥やしてる可能性が高いから、かなりの人数を入れ替える必要があると思うけど、人員的には大丈夫か心配だわ」


『そうですね。管理する側がしっかりとしてれば問題ないと思うので、王城に5人、3つの街に3人ずつの14人もいれば、上の管理は問題ないでしょう。後は、こちらから連れていく人員を配置するれば、大丈夫でしょう』


「連絡もすぐ取れるし、不正をしにくい体制はつくれるからいけるか。そこらへんは後で決めよう。ゼニスにも連絡しといてくれ。俺の国になるから、できれば支店を出しておいてほしい。他の街でやってる、孤児院や治療院も併設のあれね。少なくとも4支店は作ってもらう予定だから、準備を進めさせておいてくれ」


『了解しました。準備させておきます。移動はいつも通りで大丈夫ですか?』


「もう少し落ち着いたら、経路を確認して作る予定だ。位置的にも、ダギアとかを経由する形になるんじゃないかな?」


『そういえば、気になったのですが、そこの王子は国に帰った後に地下牢に捕らえられてませんでしたっけ?』


「そういえば、前に見た時はそんな感じだったよな? それに、国の人間が謝罪しに来た覚えがあるな? 女を連れてきて、なんか言ってたな。婚姻関係でも結んで援助してもらうつもりだったのかね? ってなんでこいつが牢屋から出てんだろうな? 聞いてみるか、そっちで準備始めておいてくれ」


『了解いたしました』


 この国について頑張って思い出すが、思い出せず……インペリアルガードの所に行って、この国の王と話をさせてもらえるようにお願いした。


「1つ聞き忘れたが、お前らの国から俺の国に謝罪に来たの憶えてるか?」


「なんで私がお前らの国なんかに謝罪しに行かなければならんのだ! 今からでも遅くない、私を解放しろ!」


 ん? 話が通じてないな?


「あそこに転がってる、バカ王子が俺の国で何をしたか忘れたのか?」


「覚えておるわ。急に護衛の兵士を殺されて、犯罪者としてとらえられそうになり、解放されたはいいが無一文で放置されて、命からがら国に帰ってわ!」


 話が通じているようで通じてない……何だろなこれ?


「どうやって話を聞いているか分からんが、俺の国で犯罪をしたのに見逃してやったんだから、感謝されても憎まれる覚えはないぞ」


「ふざけるな! 王族が他の国に行って、色々と融通してもらうのは当たり前だろうが!」


「他の国ではそうかもしれないが、うちの国にそんなルールはない! それに入る前にきちんと説明している。ルールを守れなかったあいつが悪い。まぁいいわ、お前に話すことはもう何もない。邪魔したな」


 何だろな? 話が食い違ってるところと、あってるところとちぐはぐだったな。嫌な感じがするけど、何が原因か分からんな。


「3人とも、話聞いて違和感なかったか?」


 一緒に行動していた、カエデ、ミリー、リンドに聞いてみると。3人とも違和感を感じていた。記憶が混乱しているとかではなく、本当に知らないという感じだった。


 実際マップ先生で確認した時には、バカ王子が地下牢にいた気がするし、瀕死だったはずなのに、そんな事していないみたいな感じだったな。謝罪にも来たはずなのに……


「記憶の改ざんかな? でもいったい誰が? 人間にそんなことできんのか? これは、ツィード君に聞いてみるべきか?」


 3人とも賛成したので、連絡をとってみると、最悪な事態が発生したことが分かった。


「ツィード君、もう1回確認するけど、記憶の書き換えは君にも不可能なんだよね?」


『そうだよ~記憶の消去は可能だけど、記憶の書き換えは無理だね~といっても、記憶の消去も結構難しい部類なんだけどね』


 との事なのだ。今回のこの国の王族が記憶の消去だけならいいのだが、本当に記憶の書き換えがあったとなると、また神の介入を疑わないといけなくなるんだが……この国に勇者はいないし、ダンジョンマスターか?


 嫌な予感がしたので、この国の全体を掌握すると掌握できないエリアが存在した。しかも、王都から徒歩10分位の位置ではないだろうか? そこにエリア掌握できない場所が存在したのだ。この結果わかる事は、ダンジョンがあるって事だよな。


「問題は、誰がダンジョンマスターかって事なんだよな。おそらく今回の件で、チビ神は協力してくれないと思うから、自力で探し出すしかないな。ただ王族とダンマスが関わってるんだったら、おそらく王族の誰か……あれ? そういえば、第一王子は?」


「そういえば、いなかったわね。確か、あのバカ王子って第一じゃなかったもんね」


 カエデも覚えてたように、第一王子はあのバカ王子じゃなかったもんな、あいつがダンマスか?


『あら、見つかっちゃったのね。あなたが思っているように、新しいダンジョンマスターがそこにいるわよ。誰かは教えないけど、あなたに関連して女神の1人が権能を使って、現地の人間をダンジョンマスターにしたのよ』


 俺に関連してって事は、ダンマスになって俺より時間が経ってない……あれ? それって全然強くなくね?


『それがね、創造神様があなたが相手じゃ、生半可じゃ相手にならないからって、結構な援助をしたって話よ』


 あのクソ爺神が! 面倒なことしやがって……でも、現地の人間だよな? なら何とでもなるか?


 チビ神からの情報を妻たちに伝え、ダンジョンをどうするか検討をする事になった。

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