第780話 お休み

 休日の土日をのんびり過ごして、月曜日になったので何かをしようとしたが、妻たちに全力で止められた。何故かと思えば、神のダンジョン攻略からずっと働き詰めだと言われたのだ。


 そう考えると、妻たちもみんな同じじゃないかと思ったが、みんなが俺は全体を気にして行動してきたから負担が違う! それに街のためにも一生懸命だったのだから、もっとゆっくりすべきだ! と言われてしまった。


 俺以上にみんなの方が大変だったんじゃないかと思うんだけどな。こうなったら、梃子でも動かないからみんなのいう事を聞いておこう。基本的に俺がする事なんて無いから、休みにされても問題はないんだけどな。そうなると、何をしようかと考えてしまうのも事実で……


 そんな事で悩んでいると、三幼女から学校へ行こう、とのお誘いがあった。土木組の子たちも仕事が無いから、今日は学校に来るんだよ! と言っていたのだ……あれ? あの子たちは別に勉強をしてるんじゃなかったっけ? って、思ったら勉強が学校の子たちに追いついたので、今は一緒に勉強をしているらしい。


 あの子たちの方が勉強進んでたと思ってたのは間違いで、あの子たちは土木に関して先に勉強しており、学校のような勉強は後回しだったらしい。なんというブラックな環境なんだろうか……


 それにしても、学校か……自分が作ったとはいえ、学校に行くのは久しぶりだな。学校にはあんまり思い出がないか? 最近、望郷の念にかられることがたまにあるのに、昔の事を思い出せない事もあるんだよな。この世界になじんできたのかな?


 色々考えても仕方がないので、学校へ行くか。


「3人は、学校へ行くのは楽しいか?」


「うん! 楽しいよ! 友達もいっぱいいるし、いろんなことを教えてくれるからおもしろいよ!」


 そう言ったのはネルだ。シェリルとイリアも一緒のようで、ウンウンと頷いている。この世界では勉強ができるのは、裕福な商人の子どもや貴族の子弟だけなのだ。街の中に住んでいるとはいえ、子供たちは親について仕事をする事が多いのだ。他にも兄弟の面倒を見たりと、勉強する余裕などない家庭も多いそうだ。


 ディストピアでは、学校に行かせるのが親の義務なのだ。それにディストピアでは、子供を働かせなくても問題ないので、親たちは勉強をさせるようになったのだ。


 親たちも夜を使って勉強をする人が増えており、認字率が高くなっている。なので、新聞のような物も作って街の情報や、他の街の情報を記事にして読めるようにしている。


「そっか、他の子たちも楽しんでると思うか?」


「みんな毎日楽しそうにしてるよ? 給食もおいしいから、お昼の時間は戦争みたいに、残りの給食を争ってるね。ああいうのも楽しそうだよ!」


 イリアがそんな事を言っている。俺も中学校の時とか、焼きそばやカレーの時は余る事が多かったから、よくおかわりしてたな。牛乳は嫌いな子がいて余ったりするからもらってたな。昼休みにバスケとかして遊んだ後に、給食室のおばちゃんに余った牛乳を友達ともらいに行ってたっけな?


「給食に牛乳はついてるか?」


 俺は給食の内容をある程度把握しているが、一応3人に聞いてみる。


「もちろんついてるよ! 牛乳瓶に入ったやつ! みんなも好きで、特に男の子は余った牛乳があるとじゃんけんして争奪戦するんだよ! 一気飲み大会みたいな事もするから、よく先生に注意されるんだけどね!」


 給食の時は、日本もこの世界も変わらないな。というか、俺が日本人だから俺の影響が大きくてこうなってる気がするな。


 3人と色々な話をしながら学校まで歩いていく。1階が冒険者ギルドになっているが、子供たちが登校してくる時には、大体落ち着いており静かな物だ。


「あ、シュウ様。おはようございます!」


「「「「おはようございます!」」」」


 ギルド職員の1人が俺の事に気付いて挨拶すると、対応していない職員が全員で挨拶をしてくる。


「みんな、公務でもないのに、いちいち俺に挨拶しなくてもいいよ」


 これも恒例のやり取りなんだけど、冒険者ギルドの職員に聞き入れてもらえる様子は無いんだけどね。ミリーが何かしてたりしないよな?


 俺は、3人に連れられるように学校のある上の階に移動していると、グリエルと遭遇した。


「シュウ様、良い所に。ちょっとお話があるのですがいいですか?」


「ダメなの! 今日はお仕事はしない日だって、お姉ちゃんたちが言ってたから、シェリルたちと一緒に学校へ来てるんだからね!」


 おっと、俺が答える前にシェリルが答えてしまった……今すぐじゃないとまずいなら、シェリルを落ち着かせないとな。


「グリエル、急ぎか?」


「いえ、緊急の用事ではないので、後でも問題ありません。シェリル様、申し訳ありませんでした。後日改めてうかがわせていただきます」


「わかればいいの!」


 なにやらシェリルは、グリエルに上位の人間と認識されているようだ。俺の妻って意味では、領主の配偶者なので、確かに上位の人間ではあるのか?


  といってもシェリルは、姉たちの言いつけを守っているだけだから、グリエルに命令してるわけじゃないし、グリエルもそれが分かっているから、こういう対応なのだろう。


 あまりにも度が過ぎると、シェリルたちが怒るかもしれないからな。怒りだしたら、自分ではおさえきれないのも理解してるからの対応だと思うけどね。


「じゃぁ、報告したい事があったらまとめておいてくれ。時間が空いた時に確認するからよろしく。もし急ぎの用事があるなら、家の方に回しておいてくれ」


 グリエルにそういって俺は、シェリルたちと一緒に教室へ向かう。


 教室に入ると、俺の事を知っている子供たちは、ビンゴ大会や花火大会のお礼を言ってくる。楽しんでくれて何よりだな。教師がくるまで俺はみんなにもみくちゃにされた。学校の勉強は、基本的に国語と算数と理科が中心だ。


 国語は、認字率のためだ。算数は、お金の計算などに苦労しないように勉強させている。理科に関しては、覚えておくと便利な事が多いので勉強させている。他の内容については、子どもたちに任せている。義務なのは昼食までで、昼食後は自由となるが9割以上の子供たちが勉強をしている。勉強熱心だな。


 夕方まで一緒に勉強をして、三幼女と一緒に家に帰った。こんな日もあってもいいよな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る