第746話 恥ずかしいっ!

「汚物は消毒じゃぁぁぁぁぁ!!!」


 俺は火炎放射器をもって、一度言ってみたかったセリフを大声で叫んだ!


「「「「えっ!!」」」」


 俺の持った火炎放射器から放たれた炎が、10メートル位直進したがそこで火の勢いが止まってしまった。俺はその場で両手両膝をついてガックリしてしまった。


 考えればわかる事だったのに、妻たちも今の光景を見て唖然とした表情をしている。意気込んでやってみたのにこの情けない姿、穴があったら入りたい! ダンジョンじゃなかったら、土魔法で穴をあけてやったのに!


 射程が60メートルは無いと使い物にならねえな、欲張るなら150メートルは欲しいところだ。ハエの王、ベルゼブブが大体いる場所が100~150メートル付近だからな。50メートル以内に近付けば、逃げるか攻撃をしてくる。改良しないといけない……


「ちょっと、火炎放射器の改造をするから、その間頼む! 半分ずつに分かれて休憩しながら、長期戦覚悟でやるぞ!」


 現状ではベルゼブブに、あまり効果的な攻撃ができないので、長期戦を覚悟して戦う事にした。特に燃費の良くないシュリの体調管理は大切だ。近接戦をしてるわけでは無いので、槍投げの合間に栄養補給してるので今の所、問題はなさそうだ。


 というか、この光景って非常識にもほどがあるな。オリンピック選手でやり投げってどの位飛ばしてたっけ? 100メートルはいってなかったと思うんだけど、シュリやアリスの投げた槍は、弧を描かずほぼ直線で100メートル先のベルゼブブに突き進んでいく。


 ひらけた所で限界まで遠くに投げさせたら、1キロメートルとか超えそうな予感……


「ご主人様! 改造するんじゃなかったんですか?」


 隣で休憩していたキリエに突っ込まれてしまった。俺が集中できるように、周囲に結界を張ってくれているようだ。結界は維持するのにも魔力を使うから、俺のために結界を張っていたら、休憩にならないんじゃないか? と思わなくも無いが……


「そだね。改造しないといけないんだった。ちょっと独り言が多くなるけど気にしないで。言葉にして、考えをまとめてくからさ。もしその時におかしい点や、何か思いついたら教えてくれ」


 考えをまとめるために、思ったことを口にしていく。


「距離を伸ばすためには、高圧力で燃料を吹き出す? ただ圧力をあげただけじゃ駄目だよな。って事は、魔法的アプローチがいいか? 風魔法を使って遠くまで、燃料と炎を運ぶ? 何か違うか? 他の違うアプローチも考えるか。


 水魔法で燃料に干渉する方法はどうだろうか? 例えるなら、ウォーターカッターみたいに、燃料を圧縮して押し出す感じか? そうすると、燃料が大量に必要か? それならいくらでもDPで召喚できるから、気にする必要はないか」


 思ったことを端から口にして、それに対する問題点や方法などをあげていく。その後もいくつかあげてみたが、先にあげた2つが改造するにあたって、現実的であったので、その方面からアプローチをしていくことにした。


「どっちの方法をとるにしても、大量の燃料が必要なのは間違いないから……灯油の販売車クラスの容量は、最低でもほしいよな。収納の腕輪みたいに中から、自由に取り出せるならいいんだけどな。


 収納の腕輪やカバンは、手に触れられる距離の物を謎機能でしまってくれるんだよな。チューブを繋げたままにできたらいいんだけど、それはできない」


 この火炎放射器の改造の一番のネックは、燃料の保存場所なのだ。魔法でアプローチする部分は簡単に作成ができる予定なので、どっちの方法を取るにしても、問題となる燃料の事について考える事にした。


 ホースをつなげて何とかできないか考えてみたが、イメージできるのが消防士が、消防車から消火ホースを伸ばしている姿だった。流石にあれは現実的じゃないな。


 理想を言えばバックパック位の大きさだといいんだけどな……そうすると収納系のアイテムしか、イメージできないんだよな。腕輪、カバン、箱……あれ? 確か収納の箱は、確か入口の大きさ以上の物は入れられなくて、中に手を入れると何が入ってるかが、頭に直接流れ込んできたんだったよな?


 ホースを出した状態にできるんじゃないか? 問題は箱が結構大きいサイズしか出せなかった気がするんだが、どうだったっけな?


 物は試しだ! 召喚して試せばいいじゃないか!


「収納の箱はっと、あった! これこれ! カスタマイズは……あれ? こんな項目前にあったっけ?」


 圧縮という意味不明な項目があり、サイズを小さくできるようだった。なんと都合のいいシステムだ!


 馬車に積む大きなタイプしか出せなかった収納の箱が、圧縮という項目により、見た目の箱のサイズが小さくできるという、本来ならデメリットでしかない箱の入り口のサイズの縮小化は、俺にとってメリットでしかなかった。


「ここに圧縮した収納の箱があるじゃろ? 何でこんなでっかいビニールパックがあるのか意味不明だけど……ここにあるじゃろ? ビニールパックに管をつけるじゃろ?


 そのまま突っ込んで管だけをだすじゃろ? そこにこの道具を使って水を入れる……おぉ! 予想通り! どんどん中に入っていくぞ! これで燃料タンクの問題は解決だ!」


 たまらず大きな声で叫んでしまった。燃料タンクの問題が片付いたので、今度は魔法的アプローチで火炎放射の炎の射程を伸ばす方法か、水魔法で燃料を高速で押し出す方法で作ってみようか。


 これは魔核を使えば簡単! 火炎放射器にクリエイトゴーレムを使って、ゴーレム火炎放射器にさくっと作り替える。魔核をセットして、試射をする。結界を解いてもらいベルゼブブのいる場所に向かって放射!


「あ~勢いが強すぎて燃料が燃える前に遠くに行ってしまったのか……やっぱり風魔法を使って、炎を遠くに運ぶのがいいのかな? 燃えた後なら火魔法で干渉できる? イメージが大切だったな……【ファイアコントロール】これ面白いな!」


 魔法で火を操れるって、中二心がくすぐられますな……っと、また思考がそれてしまった。


「風魔法で炎を運ぶ風と空気の影響を受け無くするようにして……さらに、火魔法のファイアコントロールで遠くまで炎を運ぶ感じで……クリエイトゴーレム! うっし、魔核完成! 付け替えて……コホン。では、改めて」


 火炎放射器をかまえて、


「汚物は消毒じゃぁぁぁぁぁ!!!」

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