第298話 スノボー満喫
スノボーのウェアを召喚リストで選んでいると目を引くものを発見した。白黒の全身迷彩柄のウェアだ。白黒を迷彩と言っていいのか謎だが。
中学生の時にサバイバルゲームに興味を持っていたので、迷彩って聞くとちょっと心が躍る自分がいるんだよね。ちなみにシュウは、サバイバルゲームに使うエアソフトガンをかつて所持していた。
今なら腐るほどエアソフトガンをDPで召喚して、メンバーを集めてゲームをできるんだけど、身体能力や動体視力が高すぎてエアソフトガンから射出される弾丸のスピードでは当てるのが難しい。
この世界には銃刀法違反や不法改造はないので何とでもなるのだが、そこまでしてもな、って思って手を出せていないのだ。ちょっと先の話になるがペイント弾をライムが知って、それを打ち出す銃を独自で作ってしまった。
それはさておき、召喚したスノボーのウェアを着てDPで作ったゲレンデに向かった。おっといけねえ、ウェアを召喚したのにボードを召喚するのを忘れてた。ウェアに合わせて模様は白黒の迷彩柄にしておこう。
それにしても元の世界で、こんな格好でスノボーしたら変だと思われるかな? 気にしてもしゃーない、プライベートゲレンデだし何も気にしなくてもいいよな。
俺一人しか今のとこ利用者はいないけど、ダンジョンコアからのエネルギー供給で、リフトがノンストップで動いている。そのリフトを使って頂上まで登っていく。
スノボーやるのは何年ぶりだろうか? こっちに来る前もしばらくやってなかったから大分やってない事になるよな。さて滑れるだろうか?
斜面に向かってボードのエッジを垂直に立てながらゆっくりと滑っていく。思ったより感覚を忘れていなかったことに安心して、少しスピードを上げてカービングターン(板のサイド・カーブを利用した、ずれと減速の少ないターン)をしながら雪を盛大に削りながら滑走していく。
一度目はメインのコースを思うままに滑って途中で見つけたコブでエアを決めてみたり、プレス(板を押しつけることでノーズかテールを浮かせて滑る方法)で自分の体の動きを確認している。
久しぶりにスノボーをしたのに全然ブランクを感じさせない動きができている。むしろ昔より上手く滑れている気がするな。さすが身体能力が高いだけあるな。
メインのコースの一番最後にハーフパイプのコースを準備していたので、シンプルなエアからジャンプトリック中に板をつかむグラブというテクニックを行っていき、フロントサイドをつかんだりバックサイドをつかんでみたりしてみた。
次に、スピントリックをしてみる。ワン・エイティーやスリー・シックス等の半回転や一回転のトリックを決めていく。最後に縦回転のフリップをやってみると、フロントもバックも一発で決める事が出来てしまった。
正直、自分でもここまでできて引いてしまっている。地球にいた時は、シンプルなジャンプもよく失敗するくらいだった俺のスノボーのスキルが、身体能力が上がって素のスノボー上級者くらいは滑れるようになっていたのだ。
それと身体能力が上がったせいか、回転してもしっかりと斜面の位置を把握できるので、合わせる事ができるため失敗することがあまりなくなっているのだ。
あまりに滑れるようになっていたため楽しくなってしまい、五キロメートル程滑ってきたのに疲れる事もなくすぐにリフトに乗って頂上に戻ってしまった。
次はメインのコースではなく途中でいくつも準備したテクニカルなコースにそれてみたり、普通じゃ考えられないくらい高いジャンプをしてみたりしてみた。ジャンプ専門のコースでもないのに高く飛んで見事に着地できるのだから楽しくてしょうがない。
つづら折りになっているコースの下にジャンプする際に木の上を飛び越えてみたりマジで楽しい! でも調子に乗りすぎて頭から雪に突っ込んでしまった。
元の世界でこんな状態になったら確実に首の骨が折れていたり埋まって死んだりしてしまっているが、今の俺の身体能力でこの程度ではケガすることもないし、頭から埋まってもハクに助けてもらえるから何の問題もない。
おそらく俺でなくてもこの世界で言うならレベル五十以上の人間なら、頭から硬めの雪に突っ込んでもで死ぬ事はないだろう。ただ雪に頭から埋まった状態で放置されれば窒息死はしてしまう。
気付いたら六周目を滑り出していた。ただのコースだけじゃなくてテクニカルなサイドコースを作っといて本当によかった。DPでもっと地形変化をさせれば何度でも楽しめるコースができるな。このフロアの天候を色々変更できるようにしておけば、違う楽しみ方もできるだろう! 夢が広がるな。
六周目の最後のハーフパイプに入ると、先の方に妻たちが揃っているのが見えた。
こうなったらカッコいいところを見せようと張り切るのは男として自然の流れだろう。次々にトリックを決めていき、滑りきってから妻たちの前に颯爽と現れる。
妻たちは全員、目を点にして驚いていた。
板っきれですいすい滑っている俺に驚いていたが、それ以上にハーフパイプで見せたトリックに興味津々だったのだ。どうやってあんな風にクルクル回転したりしているのが理解できない様子だったのだ。ただ一緒に来ていたスカーレットだけは様子が違った。
「ご主人様、今何時だと思っているんですか?」
そう言われたので時間を確認すると、ニ十一時を過ぎていた。休憩をはさみ滑っていたとはいえ、六時間くらいぶっ続けで遊んでいたようだ……はっ!
「ごめんなさい」
「ご主人様、食事はみんなで食べるので、時間を守ってくださいって前も言いましたよね? もし来れないようでしたらきちんと連絡するようにもいいましたよね」
「はい、ごめんなさい」
「次から気を付けてください。食事が冷めたりするのは構わないんです。魔法や腕輪で何とでもなるのでどうでもいいんです。それ以上にご主人様に何かあったら困るんです! ご主人様は私たちのマップ先生に表示されないの知っていますか?」
「え!? そうなの?」
「そうなんですよ、ご主人様の近くに誰かを配置するのは、ご主人様の居場所を把握するためでもあるんですよ」
「今度から気をつけます」
「みんなお腹をすかせていますので早く戻りましょう」
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