第297話 遊び場を増やした
あれ? パーティーっていつ終わったんだっけ? 目が覚めて周りを見ると、パーティー会場になったダンジョン農園の一角で、ソファーや誰かが準備したエアーマットに妻たちが思い思いに寝ていた。
三幼女はやっぱり一緒に寝ていたが、大人ニ人掛けのソファーに三人……苦しくないのかお前たち? そういえばピーチがシュリと寄り添って寝ているな、あのニ人は妻たちを引っ張ってる存在だから、他の面子の面倒を看てその流れで寝る事が多いから、こういった時に一緒に寝てる事は今回が初めてじゃないかな?
今日は俺の周りに誰もいないな。俺臭かったりしたか? 服や脇の近くを嗅いでみたが、自分の臭いって思っている以上に分からない事が多いんだよな。
しばらくあちこち臭いを嗅いでいると、誰かが近くに寄ってきて嗅いでいる姿を見られてしまった。振り向くとマリーと目が合って、お淑やかな笑顔でこちらを見ていた。
「ご主人様、何してるのですか?」
「あ~、今日は近くで誰も寝てなかったから俺が臭かったのかなって確認してたんだけど、自分の臭いって分からないからさ」
「あ~その事ですか、今日はご主人様が余りにも気持ちよさそうだったので邪魔をしない事になったんですよ。それにご主人様の寝ていた所は、添い寝するのにも難しかったですからね。それでもご主人様の許可があれば、どうにかして添い寝しましたけどね」
マリーにそう言われて自分の寝ていた場所を見た。大きめの一人用リクライニング式のソファーといえばいいのだろうか? そういった感じのソファーで寝ていたのだ、そりゃここで添い寝をしようと思えば、結構窮屈になるから気持ちよさそうに寝ていたら邪魔できんわな。
「そういう事か、まず自分の寝てるところ確認しないで臭いを確認するってバカっぽいな。でも近くで誰も寝ていない理由が分かってよかったよ。さて、もうひと眠りするかな」
「ごゆっくり」
ソファーに横になるとマリーが毛布を掛けてくれたのでそのまま二度寝をする。
急に寝苦しくなって目が覚める。理由を考える前に原因が目の前にいたので考える必要すらなかった。
「三人ともどうかしたのか?」
シェリル・イリア・ネルの三幼女が俺の足やお腹、胸の上に乗っかっていたのだ、そりゃ息苦しくも感じるわな。
「そろそろお昼だから、起こしてくるように言われたの!」
「お? もうそんな時間なのか、じゃぁ起きないといけないな」
一人ずつ片腕で抱いて一人は肩車をして三人を食堂まで運んでいく。
「それじゃあ、出発!」
三人は何かがよかったのかキャーキャー騒いで嬉しそうだった。食堂に到着すると、胃に良さそうな食事からガッツリ食べれるメニューまで色々と準備されたビュッフェが準備されていた。
お昼にこの形式の食事って久しぶりな気がするな。毎朝食べきれなかった食事がどうなるか心配だったが、パンに挟んだりアレンジして携帯食みたいにして、砦の一角でシルキーの手作り料理として売り出している。
手作りは手作りだけど微妙に詐欺臭いな。だけどこの携帯食は人気が高くすぐに売り切れてしまうそうなのだ。俺や妻たちが食べる食事だけあってそれなり以上の品質の食材を使っているため値段が高いのに売り切れるのだから、シルキーの料理には脱帽だな。
昨日はかなり暴飲暴食したから胃がつかれているので、七草がゆや卵スープが嬉しいな。でも食事の量とすると微妙に少ないので、ゆし豆腐を食べる事にした。
ゆし豆腐というのは初めて食べたが、沖縄の郷土料理で豆乳ににがりを入れて枠に入れて固める前の、柔らかいおぼろ状の豆腐がゆし豆腐というのだ。今回はカツオ出汁にお醤油をたらした、オーソドックスな食べ方をしている。
ゆし豆腐が沖縄料理と聞いて他にも食べてみたくなったので、夕食は沖縄料理をリクエストした。やっぱり食べたいものをリクエストするとシルキーもブラウニーもかなりやる気に満ちた顔をしている。
さて、お昼を食べたけどこれからすることが無いので何をしようかな? あれ? ちょっと前にも同じような事なかったっけ? まぁ気にしたら負けだよな! 楽しむことにしよう!
何かスポーツをしたいけどよく考えたら、そういったものができるところってほとんどないよな。サッカーや野球も無いから団体スポーツなようなものも無いんだよな。
一人でもできるスポーツか、ぱっと思いつくのは水泳やスキー、スノボーくらいしか思いつかないな。サイクリングとかもスポーツだっけ?
海水の湖でたまに泳いだりしているから、水泳はあれだな。ならスノボーがしたいな! 確かダンジョンの中はフロアごとに季節とか気温をDPで変える事ができるから、雪が降る山みたいなものを作っていつでもスキーやスノボーができるようにしよう!
「という事で四大精霊よ、ゲレンデ作っても問題ないかな?」
「何が『という事で』なのか分からないけど、雪の上を滑りたいから作りたいって事よね?」
「そういう事!」
「DPはご主人様の物ですし、スキー場の一つやニつ作った所で懐は痛まないですよね?」
「アクアの言うとおりだけど、何となくノリってあるだろ? っていうのは嘘で、スキー場を作りたいんだけど何処に作ろうか悩んでるんだよ。色々ダンジョンを造ったから地味にスペースが怪しいんだよね、だからどこに作るか知恵を貸してほしくてね」
「考える必要なんてなくないですか? 砦の地下通路の下は盛大にあいてるのですからそこに作ればいいと思いますよ?」
「そういえば、あの下って何も作る予定が無かったな。地下通路を作ったからそこから下の事は頭になかった。じゃぁスキー場はっと、九十九折りの全長五キロメートルのコースに縦にいくつものサイドコースをくっつけて、色々な滑り方をできる特殊なつくりにしておこう。
直線で滑ればニキロメートルもないかな? いろんなコースを滑れるようになってるのは悪くないな! 我ながら良い物を作ってしまった」
まだおやつの時間を過ぎたばかりだから、夕食まではまだまだあるな、ってことで初滑りに行こう!
「ハク~どこだ? ちょっと出かけるから、ついてきてくれ~」
俺が呼ぶとどこからともなくハクが飛んできた。お供をつけないでどこかに行くと、妻たちが怒るので従魔を呼んだのだ。今回ニコじゃないのは、スライムだと俺の体にくっついての移動になるから、自由に飛べるハクにしたのだ!
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