第253話 運営! 手抜きじゃないのか?

 魔物が切り替わるのがどうやら五階毎だったので、中継点は十五階に作成していた。


 ダンジョンに潜って二日目。


 昨日捕らえたのは、三十二人。こいつらの持っている情報が正しければ三割程捕らえた事になるのかな? 追加で入ってくる奴らもいなかったので、地下通路の方で待っているディストピアの冒険者たちに三十二人の護送を頼んでいる。


 全員薬で眠らせてはいるがいつ起きるかわからないので、スタティックロープ(軽いけど頑丈なロープ)で手足を縛っている。ツィード君謹製の奴隷の首輪をつけているとはいえ油断はしない。


 護送に使う馬車の馬はお馴染みのウォーホースだが、馬車は俺たちの馬車の劣化版を貸している。護送につく人数は二十六人。念には念をいれて同数で運ぼうとしたが、パーティーの人数上二十六人で護送してもらう事になった。


 ついでにヴローツマインでお使いを頼んでいる。神の雫の商品を受け取って戻ってきたら、冒険者のみんなで食べてもらうための食材だ。もちろん羽目を外さない程度にお酒も持ち込んでいるので、ゆっくり休んでほしいものだ。


 さて、十六階からは予想通りといっていいだろう。オークの強化種が出てきた。だけどオークナイトはどう見ても騎士には見えないし、オークビショップは豚がローブをかぶっているだけにしか見えなかった。こいつらも違和感だらけだったのだが、オークシーフとオークアーチャーだ。


 この世界のオークは、例えるなら相撲取りのような体系をしている。分厚い筋肉の上に脂肪が乗っているそんな感じの体系だ。だからシーフとアーチャーは違和感しかなかった。ただ一つだけ、オークソルジャーは筋肉ダルマの戦士そのまんまだった。顔さえ見なければ……だが。


 この世界ってちょくちょく手抜きっぽいところがあるよな。種族というか魔物の種類の水増しに○○ナイトとか職業をとってつけたものが数多くいる。


 人型モンスターならわからなくもないが、昆虫系にも多く名前の後に職業がついている者がちょくちょく出てくるのだ。昔のRPGの色だけ変えた使いまわし感が半端ない。まぁチビ神共が娯楽のために作ったんだから、なんかテンプレがあってそこから引用したんだろうな。


『…………』


 また無言を伝えてきやがった、やはり図星だったか。どうせ楽しむなら作った後の流れを楽しむんじゃなくて、作ってる最中、その過程も楽しめばいいのにな。シム〇ティやA〇車みたいにな。


 十六から二十階には魔物以外いなかった。二十一階にはいると予想通り出てくる魔物が変わっていた。またゴブリンが出てきた。


 まぁゴブリンといっても今度は、上位種のゴブリンジェネラルが出てきたのだ。ランクにするとゴブリンジェネラルはDランクの魔物になる。ゴブリンに関してはGランクで、ゴブリンの強化種がFランク、オークがE、オークの強化種がDになる。


 ゴブリンジェネラルとオークの強化種だと圧倒的にジェネラルに軍配が上がる。ランクの中の強さもピンキリなのだ。ランクが高くなればなるほどランク内の上下が激しくなるようだ。


 ちなみにオークジェネラルはCランクで、ゴブリンの上位種で強化種もCランクでオークジェネラルの方が微妙に強いらしい。ゴブリンキングとオークの上位種で強化種がBランクで、オークキングはAランクになるそうだ。


 二十二階で戦闘音が確認されたらしい。また鬼人たちが音もなく情報収集に走っていた。今回も十六人の中隊規模で、パーティーの構成も攻撃三回復一の四人一組のようだ。やはりここで経験値を稼いでいるだけあって、それなりに強くなっているみたいだ。


 ちなみにレベルは大体八十前後のようだ。これが適正値なのかは俺には判らないが、実力はそこそこあるのは間違いないようだ。レベルが三倍近くあって身体能力の高い鬼人には、敵が奇襲をかけてきたとしてもかなうわけはないけどな。


 異変を感じ取ってからの行動が前のやつらに比べて早くなっている。だが鬼人達の我慢強さの前には行動が早くても大した意味はない。だが様子をうかがいあう時間は長く一時間三十分も粘っていた。が、やはり鬼人たちの手の中から逃れる事は出来なかったようで、小隊で動いたところを狙われて捕らえられていた。


 相変わらず参考にならねえな。俺たちはいままでマップ先生に頼った奇襲と、力押しだったからな。それができる強さがあったのが一番大きいかな?


 さぁ中継地点に送り出してサクサク潜っていきますかね。俺が先導するわけじゃないけどな!


 二十五階までは他に人はいなかった。二十六階にはいるとゴブリンジェネラルの強化種が出てきた。名前をみたら無性に腹が立ってきた。


 ゴブリンジェネラルナイトってなんだよ! ゴブリンジェネラルビショップってなんだよ! ゴブリンジェネラルソルジャーってなんだよ! 将軍かなんなのかはっきりしやがれ! って感じだった。


 ゴブリンなんちゃらって中に、ナイトやビショップにジェネラルがいると思ってたのにな。俺の中でなんちゃらが強さを決める物差しみたいだと思っていたのに、ゴブリンジェネラルなんちゃらってのがいるとは思ってなかったわ!


 ゴブリンジェネラルっていう種族がいて、その中でナイトやビショップってことなんだろうな。でも頭痛が痛いみたいな同じこと二回言ってるかんじがして腹立たしい!


 ただ腹立たしさとは別で職業を持っているからか、普通のジェネラルよりやはり動きがいい。いろんな職業で連携をとるからさらに相手にするのは面倒になってきている感じがする。まぁ人間がいろんな役割について連携するのと同じだよな~ダンジョンの部屋で戦える数ならちょうどいい対人訓練みたいなものだな。


 あ! そうだ! 今度、ダンジョンINダンジョンに隔離領域作って、亜人の魔物を人の街みたいなところに住ませてみるか。職業で役割に合わせた動きができるんだから、環境が人っぽくなったら文化をはぐくんでもおかしくないよな?


 ある程度の数召喚して日本語の宝珠でも使わせてみるかな~実験って面白いよね! 成功とか失敗とかに関わらずその過程が楽しいんだよな! わかるかチビ神!


『…………』


 だから無言はやめろ! あと俺の事みすぎプライバシーって言葉の意味知ってるか!


『プライバシーの意味位知ってるわよ、バカにしないで! だけどそれを神様である私が守る必要はないのよ!』


 すがすがしいまでに言い切りやがった! くそ……これが片付いたら一日中肉欲にまみれてやる! チビ神には縁のないことかもしれないけどな。チラチラ。


『こっちみんな! 私だってこんな体型に生まれたくて生まれたわけじゃないのよ! 他の女性型の女神にボンキュッボンのやつだっているし、私みたいに小さいのに妙に色っぽい奴とかさ! もうやんなっちゃう!』


 へー神もそういうことするんだ。誰かは違うみたいだけどな。


 変なこと考えているうちに三十階に到着していた。そういえば十階毎に作る予定だったのに進み過ぎたな。連行していったメンバーに二十六階あたりに中継点作ってもらおう。

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