第227話 搾取しようとしてる

 朝からお風呂でいたしてしまい徹夜で八人を相手にした俺は……さすがに体力の限界で、散らかった大きいベッドの方ではなく個人用のベッドで寝ることにした。もちろんスライムたちを呼んでクッションになってもらっている。年長組とカエデは、何故かツヤツヤになっていた。


 小説でよくあるネタを俺が経験するとは思わなかったよ。それよりなんで娘たち+カエデは元気なんだ。八人相手にした俺は確かに疲れているけど、どちらかというと搾り取られた感じなんだよな。肉食系ってすげえな。


 そんなこと考えられたのも少しの時間だ。さすがに疲れていたので寝てしまったのだ。


 自堕落な生活になるかなと思っていたが、昼間の娘たちはガードが堅かった。仕事をしないといけませんのでと、そういうことはできないですよ! とピシャリと言われてしまった。夜は二から三人交代で夜這いに来るようになり、俺は朝になると疲れるという生活を二週間ほど続けることになった。


 そうすると俺にも変化が出てきた。初めてした日から三・四日程は年長組やカエデを見るとムラムラして自制できなかったが、次第に魅力的ではあるが昼間は息子が反応しなくなってきた。


 ただ俺と年長組とカエデが、そういう関係になったと知った残りのメンバーが『私も!』と迫ってきたが、さすがに俺と対して変わらない年齢の娘やカエデはいいけど、俺の年齢で二・三下の娘たちに手を出す気にはなれないので、もう少し大きくなってからねとごまかすのが大変だった。


 ただこの世界の貴族や大商人などは、世継ぎのために何人もの妻や妾と子供を作るようだ。また良くある設定だな。しかもだ、同じようなタイプの女性を相手にすると萎えてくるらしく、一桁の娘にまで手をだす外道がいるようだ。なので貴族の多くにはロリコンや外道の称号持ちが多いそうだ。


 この世界では犯罪でないので取り締まれないとの事。これには続きの話もあり、貧乏で食べるのにも困る家族が仕方がなく娘をかってもらったり、自分から売りに来る娘もいるらしい。男の子なら力仕事ができるので重宝されるが女の子だと不遇に扱われることが多いようだ。


 家で苦痛な生活を送るよりは、当たり外れはあっても妾や娼婦、貴族の屋敷での下処理係で美味しいご飯を食べられる方がいいと思う娘も多いそうだ。


 十代前半の娼婦ってなんだよ! と思いつつも、元の世界にもそういった娘たちがいたのを思い出した。どこかの国で、そういう娘たちを買って捕まるというニュースもあったな。


 そだ! みんな、さすがにもう奴隷の首輪はつけさせないぞ! 俺とそういう関係になるからには、妻として迎え入れる。これは決定事項なので今回は、絶対に拒否させるつもりはない。他の娘たちもそれを望んでいるようなので、全員一緒に開放する。


 娘たちを全員呼んで奴隷から解放することを宣言した。俺は元から奴隷として扱っていないから不思議な感じではあったが有無を言わさず首輪を外した。ただ、娘たちは俺との繋がりだったためかすごい悲しい顔をしていた。


 が、俺に抜かりはない! まずないと思うが娘たちが囚われて、無理やりに奴隷にされないようにするために、全員分の奴隷・隷属化・精神支配を無効とするネックレス、を作っている。


 チェーンはアダマンタイト製で俺が付けるときにクリエイトゴーレムを使い着け外しできないようにして首回りより少し長いだけ。トップが鎖骨の間に来るような長さだ。


 トップには、シルクちゃんとツィード君謹製の無効化魔道具をアダマンタイトで包んだ、ネームプレート状の物に俺の名前と娘たちの名前を刻んだものをつけている。センスが悪いとかいう奴は言わせておけばいい! 俺は自分のものにしたからには手放すつもりはない!


 娘たちが本当に俺を嫌わない限りは手放すことはしない! 娘たちはみんな喜んでくれているので気にしない! ちなみに俺も同じものをつけているが俺のには全員分の名前を刻み込んでいる。


 ちなみに裏側には『俺の女に手を出す奴は皆殺しにする』という物騒な事を刻み込んでいるが、娘たちには名前よりこっちの方が好評だった。何故だろう? もちろんカエデにも渡している。実はミリーにも……いつの間にかカエデがミリーも連れてきており、ミリーも俺の事を好いていてくれたのだ。


 そうでもなければフレデリクの街を出たりしないよな、遅くなってごめんよ。ちなみにミリーも肉食系女子でした。いつもクールなピーチですら肉食系なのだ、俺の体がもつのだろうか? この世界におしとやかな娘がいないのだろうか? まぁ嫌いではないが……


 人生で初めて男女の行為をいたしてから暫くして俺は、二十六人と婚約したことになる。元の世界では彼女すらできたことない俺に二十六人の妻か。世の中何があるか分からないものだな。


 そういえば、今の段階で子供を作る訳にはいかなかったので、どうしようか悩んでいたところ、チビ神から天の声で珍しく有用な情報をくれたのだ。光系の祝福に子宝の出生操作があり、光の精霊であればその祝福を与えることができるとの事だったので、すぐに祝福を授けてもらった。


 色々落ち着いたら子供を作って育てようとみんなと約束する。最低でも後六年ちょいは無理だろうな。一番年下のシェリルとネルが十六になるまでは。不公平があってはいけないから、作るならこの世界での成人十六歳になってからだろう。


 一応はディストピアの領主である俺の婚約なのでグリエルとガリアが大々的に発表すると、やっと娶る気になったのか、ヘタレがやっと覚悟を決めたのか等と祝福? の言葉をもらった。結婚式はまだ先になるが婚約が決まったので盛大なパーティーも催された。


 一応関係者は全員呼んでディストピアでしか食べられない食事を、食べきれないほど準備して祝ってくれた。残ったものは早めに食べる事を条件に持ち帰りを許可して、持って帰ってもらった程の量だった。


「そうだシュウ殿、これから色々な場所に行かれることがあると思いますが、絶対に貴族たちからの婚約は拒否してくださいね。拒否するのは非礼だとか言われてますが、シュウ様の力をもってすれば国王の直系の婚約ですら問題にはなりませんので遠慮する必要はありません。


 後、押し付けてくるような貴族は基本的に屑ばかりですので相手にするだけ時間の無駄です。どうせ娘をあげるので資金援助をしてほしいとか、技術供与をしてほしいとかそういう類の下心丸出しの貢物ですから」


 グリエルからの忠告を聞いてこの世界もそういうのがあるのか……と辟易する気分になりながら了解した。誰かに会う際は妻たちの誰か一人以上と行動する事を約束させられた。今までも一人になる事はほとんどなかったし変わらないかな?


 後は、装備の見直しをしなくてはいけないな。戦闘メイド服のままというわけにはいかないので、今老ドワーフが加工できる最上級の革である、Aランク最上位のヘルハウンドの毛皮を使ったドレスアーマーや籠手、脚甲を準備している。


 毛の色は黒に近い青色に染めた物だ。今まで着てい戦闘メイド服が黒を基調としたものであり、派手な色は魔物との戦闘に向いていないのでこの色になった。体にフィットするつくりであったため、一応羽織るコートもお揃いで準備している。ペアルックなのは俺の趣味ではなくみんなからの依頼なのであしからず!


 ただ一人カエデだけは袴を元にした着流しを特別に作っている。肌が黒いが少し濃い日本風の顔をしているカエデにはよく似合う装備だった。


 老ドワーフやリンドの弟子たちを総動員しても二十六人分の装備を作るのに一ヶ月の期間が必要だった。過保護と言われようがかまわん!


 戦場に出るなというお願いを聞いてもらえないのだから、男としてこれくらいはやってもおかしくない! ちなみに一着に金貨数千枚はかかっている。高い素材はDPで召喚しているため、技術料として約一〇〇〇枚程支払って作ってもらっている状態だ。


 参考までにこの世界に来て初めて召喚した、高品質の鉄の槍は一〇〇DPで召喚しており値段にするとおよそ金貨一枚。鋼鉄や黒鋼等使用している金属で値段が跳ね上がっていく。ミスリルの片手剣は金貨五〇〇枚から、オリハルコンになると金貨二〇〇〇枚からと破格になっていく。


 加工が難しいうえに、金属の値段も高く失敗も多いためこの値段になってしまうとの事らしい。そう考えると、超一流のシングル以上の冒険者が装備する剣の二から三本分の値段の防具という事になる。


 ただ防御力の面で言えば、戦闘メイド服より多少は高いが、それでも多少しか変わらないのだ。なのでフェンリルクラスの魔物であれば容易に切り裂いてしまうだろう。なので重要な部分や籠手、脚甲には軽量で頑丈なミスリルのプレートにアダマンコーティングを施したもので強化している。


 のんびりと日々を過ごしていると、ミューズにバリス聖国教皇から手紙が届く。


『我らが神バリス様よりお告げがあった。ミューズの先にある土地はもともと我が国の物。我が国の土地を勝手に開拓したことは誠にいかんとしがたいが、ディストピアの街を受け渡すのであれば不問に処す。ディストピアに住む住人は我が国で手厚く保護しよう。


 だが、ディストピアの領主であるシュウと兵士たちには、我が国の司祭達へ対する不法行為をしたとの事だ。許されざる事! お前らには死をもって償ってもらう』


 上記が手紙に書かれていた事を簡単にかみ砕いたものだ。この手紙が俺の下に届いた瞬間から俺を含め娘たちもカエデ、レイリー、リンド、ミリーも俺に近い人間は静かにキレた。


 俺から奪おうというのだ、許すわけにはいかない。神の名を使い人の土地を奪おうとし、みんなを殺そうとしている。完膚なきまでに叩き潰してやる。

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