第215話 初ダンジョン攻略

 BOSS戦が終わりそのまんま睡眠をとることになった。もちろん交代でだが。今回は大型のゴーレムだったため従魔たちが俺たちの代わりに初めの三時間の夜番を担当してくれた。


 あまり活躍できなかった事を悔しく思ったのだろう、ニコたちスライムは全力でプルプル震えてから俺たちに任せろみたいな訴えだろうか、触手のようなものを伸ばしておそらく自分の胸を叩いていた。可愛いなこいつら。


 全員の睡眠もとり終わり朝食という名のお昼が始まる。戦闘後や夜番中に軽く食べてはいたが、とにかくみんなおなかがすいていたのだ。いつもの五割増しで食事をしていた。唯一食事量が変わってなかったのはシュリだけだろう。まぁ朝食の量が同じだっただけで、かなりの量の間食をしているんだけどな。


「さてさて、この階のBOSSを倒したんだけど、もうちょい先があるんだよな。もしかしたらダンジョンコアルーム的な何かかな? 他のダンジョンもこういったつくりなのかな?


 【これでYOUもダンジョンマニア】って本にもそういう風に作るみたいなこと書いてあるけど、実はそういったしばりはないんだけどな。見つかりにくくするために中途半端な階に隠し通路作って、罠を仕掛けてBOSSおいておけばおそらく問題ないと思うんだけどな……


 液体なら問題なかったから地底湖の底でも問題ないはずだし。実際魚人のダンジョンに設置しようとしたら問題なくできたしね。まぁこんなことは今はどうだっていい、ダンジョンコアを探しましょうか」


 出発の準備をして一〇一階へ降りていく。そこには一切の敵はおらず、コアが台座にポツンとおいてある。


「予想してたとおりの台座にセットされてるな。めっちゃ無防備だ。修復するだけでダンジョンの壁だって壊れないわけじゃないからな~壁ぶち抜いたりできるわけだし。あいつら何がしたいんだろうな。それに比べて俺のダンジョンコアは、まず見つけられないだろうしな。よしさっそく奪取してみましょうかね」


 台座に置かれていたダンジョンコアに触れて、ダンマスのスキルを発動する。このスキルは初めて使ったのでよくわからないが、すごい勢いでDPが消費されているのがわかる。


 自分で作るよりDPは少なくて済むとは書いてあったが、どう考えてもこのサイズのダンジョンだ相当なDPが必要なのだろう。奪取できないと考えていないあたり、DPがあふれて困っているシュウらしい。


 三分位DPを吸い続けられていると急にその感覚がなくなった。どうやら完全掌握できたらしい。ダンジョン内の情報が一斉に入ってくる。スキルを使って情報を整えていく。娘たちにもタブレットを使って一緒に処理するように頼む。


 情報をまとめ終わったので、掌握エリアをくっつけてここにあったダンジョンコアを外してみると、問題なくダンジョンが維持されていた。そしてDPを確認すると減っておらずむしろ増えていた。数百年ためていたDPをゲットしたんだからそれは当たり前か? これ以上増えてもな~何に使おうかね?


「よっし、みんなお疲れ。ダンジョンコアを外しても問題なくなったから、ここにはダミーコアと呼ばれる大きい魔石を設置しておこう。もしここまでこれる人がいたらプレゼントという形でいいと思うんだ。


 でだ、歩いて帰るのは正直だるいので地上からここまで馬車で通れる傾斜の道ひいちゃうから、誰かヴローツマインにいるブラウニーたちに裏の倉庫に馬車を準備するように連絡してくれ」


 ぽちぽちといじっていると、違和感があるけどよくわからないから放置した。うん、問題なく道はできたね、後は到着を待てばいいか。そういえば奪取すると何かあるって言ってたけど何があるんだろうな。スキルが増えたりは……してた。


 還元か、召喚したアイテムや自作したアイテム、自分の物をDPに還元できるスキルなようだな。自分で作ったり金で買ったものを、DPに変えて稼げるってことなのかな? おれの作ったアダマンタイト製の剣とかも還元できるんだろうか?


 試しに死蔵していた試作で作った剣試してみるか……DP五〇〇〇万DPに還元できる様だ。たしかこのアダマンタイトって、五〇〇DPで召喚した分で作成したんじゃなかったっけな?


 十万倍の価値に跳ね上がってるし、還元ってことは召喚すると基本的に数倍かかったりするよな? う~~む。クリエイトゴーレムさえなければ、ここまで大それたDP錬金なんてできないだろうけどな。なんかさらにイージーモード突入だな。


 三十分足らずで馬車が到着した。みんなで乗り込んで、ヴローツマインの我が家へ帰ることになった。


「リンド、これで安心できたか?」


「シュウ、本当にありがとう。これで一安心だよ。攻略して思ったけど、シュウたち以外じゃおそらく攻略はかなり困難だったと思うけど安心したよ。ただシングル以上の冒険者が複数名いれば何とかなった可能性は高いから感謝だよ。


 それに魔物の討伐ランクだけを考えたら、ビックミスリルゴーレムとビックオリハルコンゴーレムはきっとAランク相当だっただろうね。


 あれではSランクにはならないはずだ。以前シュウたちが戦ったフェンリルなら、あいつら瞬殺しただろうしね。人間というサイズだから相性もあったけど、根本的な何かが違うしねSランク以上の魔物はね」


 たしかに相性の問題もあるだろうけど、見た瞬間にちょっとした絶望を感じたフェンリルの時とは違ってあいつらは倒せるって思ったもんな。


 それにフェンリルを倒せたのは明らかに実力じゃなくてあのスタングレネードのおかげだし……そういえばレベル三〇〇に到達してから誰も三〇一にあがってないんだよな。シングルの冒険者は三〇〇超えてたのになんか特殊な条件でもあるのだろうか?

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