第127話 第一次開拓終了

 開拓を始めてから十一日目、休日を抜いて十日目。今日で街の中の伐採と城壁、地下下水が完成する予定だ。地下と城壁はそのまま終わりでいいが、伐採の方は木の根の除去作業が残っている。


 ダンマスの力で下げれば木の根も除去できるかなと考えていたが、一度いじった地形は二度目をいじるのにインターバルがあるようだった。魔法と一緒で地形変化は、魔力がきれるまで使えないのだろう。


 まぁ、土魔法で干渉できるみたいだから、掘り起こして引っこ抜けばいいだけだが、それでも相当な時間がかかるだろう。みんなでのんびり頑張ろう。


「さて、今日で地下と城壁と伐採は終わると思います。みんなで頑張りましょう。終わったら今度は木の根の除去になるけどね。みんなにこんな泥臭い事させてごめんね。しばらくはこういったことも多いけど、愛想つかさないでね。じゃぁ仕事開始! スカーレット、食事楽しみにしてるから今日もよろしくね」


 俺の掛け声とともに十日目の作業が開始された。


 お昼も食べ終わり食事後の休憩をみんなで食べた。俺はミリーの従魔の狐たちの尻尾をモフって英気を養っていた。この狐の尻尾は、魔力に比例してモフモフ度が高くなるみたいだ。そのうち尻尾が分かれたりするのかな?


 召喚の時点で二本あったから増えてモフモフ度が高くなればいいな。そういえば、こっちに来て召喚していた猫たちはどうしているのだろう? 食事時は顔を出して餌をもらいに来るが、最近は俺の寝床に侵入してこなくなったのだ。


 娘たちやスカーレットに聞いても「そういえば最近夜は見かけませんね」とのことだった。誰か知らないか聞いてみたら、ミリーが知っていた。「その子たちなら夜になると私の部屋に来て、今のシュウ君みたいにモフモフに包まれてウットリしているわよ」とのことだった。


 猫たちめ! 俺より先にこんないいものに包まれて寝ていただと……俺もこのモフモフ召喚してつつまれて寝たい! 決めた今召喚しよう。


「ご主人様、どうしたのですか?」


 ピーチが俺が何かをいじりだしたと思い声をかけてきた。


「え? 決まってるじゃん、このモフモフを俺のものにするために召喚するのだ! 名前ももう決めてあるしな。前回召喚する時に体毛の色が選べたからな。紅と蒼を召喚するつもりだ。


 コウとソウだ、しばらくはノーマンたちに預けて訓練してもらわないとな。よし、召喚完了。おぉ可愛いのう……お前は、コウだ。そっちはソウだ。よろしくな」


 召喚したばかりの狐たちは、ミリーの狐に比べてモフモフ感が大分少なく感じる。がんばって強くなってくれよ、俺のモフモフのために!


「よし、休憩はこの位にして伐採と城壁、地下下水を完成させよう。明日は根っこ掘りから始められるように頑張ろう。じゃぁ午後も頑張ろう!」


 掛け声をかけると午後の作業が開始される。地下下水に関しては、俺の家のダンジョンINダンジョンもありちょっと変形させて太い支柱っぽくしてその中を階段にしてある。他にも地下に潜る人に不自然に思われない様に支柱っぽい物を作り工夫してある。


 まぁダンジョンマスターだとばれない様にちょっとした細工だ。俺が作る街だし、他の国に干渉されない樹海の中だから、バレたところで大したことはないだろう。


 正直、召喚された勇者以外からはダンジョンマスターは、倒すべき敵ではないからだ。やり過ぎれば痛いしっぺ返しをくらうが、基本的には資源を生み出す有用な場所だから利用できる物としている。


 さて、キリキリ仕事しますか。俺の仕事は地下のゴーレム化だけなんだよね。メンテナンスの面を考えて魔核を埋め込んで自動修復機能を組み込む作業は俺にしかできないからね。支柱に関しては、通常より頑丈にしてある。


 さすがにアダマンタイトを使うと魔力がもたないので今回は使用していない。そのかわりに鋼鉄を召喚して、ダンジョンの壁⇒鋼鉄⇒石⇒土の順でクリエイトゴーレムを使って層を作って、各素材ごとに魔核で自動修復機能をつけてある。


 娘たちが土を運んでいる間は、ダンジョンの設計をしてるんだけどね。暇な時間があるようで全くない。一応ダンジョンのコンセプトとして、深い位置に行けば強い魔物が出るようにしている。強ければそれだけ美味しいドロップになるのだ、たまにははずれもいるけどね。


 肉ダンジョンと植物ダンジョンは、冒険者にかなり有利なダンジョンにしてある。ビルの非常階段みたいに各階層ごとに降りれるようになっている。最下層が五十階層であるが三十階までは初心者でも降りることができる。


 ただ中に入るまでにきちんとレクチャーを受けてもらう予定だ。無駄死にするような無謀な冒険者はいらないけどね。


 鉱山ダンジョンだけは、直通システムは使っていない。簡単にランクの高い素材が掘れるようになるのは地味におもしろくないから、鉱山ダンジョンに挑む人には頑張っていただきたい。浅い階で鉄は産出するようにする予定なのでこの街に必要な鉄は頑張って仕入れてほしい物だ。


 湖の方の進行状況をマップ先生で確認してみる。湖予定地は……二割ほど伐採が終わっているだろうか? こっちはまだまだ時間がかかりそうだが、ゴーレムで作業しているのでいくら時間がかかってもいいだろう。木の根に関しては、ダンマスのスキルで湖を作る予定なので除去の必要はない。


 お? そろそろ伐採が全部終わるか? にしても、ダンジョンの木材置き場スゲーことになってるな。あんなにみっちりおいてあったら、下のやつ乾くのか? 何本置いてあるんだろう。


 まぁ隙間開けてキャンプファイアーみたいな組み方してあるから大丈夫なのかな? そこらへんは、ノーマンがドリアードたちと相談しながらやってくれるか。


 地下も次の一回くらいで掘り終わるかな? よしよし、みんな頑張ってくれたな。今日は特別美味しい物を用意してもらおうか。俺も好きなプリンとかどうかな? こっち来てタマゴが少ないからこの類のお菓子とかデザートは、あまり進んでないんだよな。


 ご褒美に夕食後に出してもらえるように手配しよう。ということで、ついてきているニコにメモを持たせてシルキーたちの所へ走って行ってもらう? 走る? 滑る? どっちでもいいか


 みんなの作業も終わり、夕食の時間になった。


「みんな、伐採と城壁、地下の作成お疲れ様。今日は、美味しいデザートを準備してもらってるから、お腹を少し空けておくように。別腹とかは無しでお願いね。じゃぁ、いただきまーす」


「「「「「「いただきます」」」」」」


 プリンはどうやらみんなに気に入られたらしく全員がお代わりしていた。シュリは、多めに食べていいとはいっても、六個は食べすぎだと思う。どういう新陳代謝してんだか。一時期ちょっと肥えたけど、すぐにすらっとしてしまった。


 おそらく飢餓状態が続いたから、一時的に栄養を蓄えたのだろう。みんな健康的に生活できててなによりだ。


「じゃぁみんな、明日も頑張ろう。今日はゆっくり休んでね」

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