第119話 襲撃者
ドンドンッ
俺の部屋の扉を叩く音がする。今日は趣味部屋ではなく、初めに作った自分の部屋で猫たちと寝ていた。その扉を強く叩く音に目を覚まして、扉を開けると
「ご主人様、結界を破ろうとしているモノがいます。相手の技量は高そうですが、今のところ突破される恐れはありません。いかがいたしましょう?」
メイから衝撃の告白があった。まじか、マップ先生で家の周辺を確認するが、襲撃者らしき人物の影がない。阻害系はマップ先生をごまかすタイプのアイテムだったみたいだ。それにしても予想より動くのが大分早いな。
しばらくは時間があると思ってたのにな。あれ? 街の外に十人程の集団が東西南北の門を出たとこに待機してる。しまったな、おそらくこいつら街道じゃなくて、雪の積もってる街道から外れたところを移動してきたんだな。
周辺を掌握しているけど、森やあまり街道から離れた位置までは掌握していないのだ。
「全員起こしてくれ、娘たちは一番防御力の高い戦闘メイド服を着るように伝えてくれ。後、武器は対魔物用を許可。レイリーには準備の前に、奴隷一家をここまで連れてくるように。農家の一家は地下道を通ってくるように言ってくれ。準備ができ次第、馬車にウォーホースをつけてくれ」
俺は従魔たちを起こして、戦闘準備をさせる。久々にリビングアーマー(アダマンタイト)君たちを活用しよう。戦闘技術が通用するかわからないが、こいつら六体はおそらく壊せないだろう。ただ、壊せないと倒せない、リビングアーマーにとっては別なんだけどな。
HPみたいなのが存在して、それが0になると動かなくなってしまい死んでしまうのだ。リビングアーマーは、鎧の素材とLvでHPの総量が決まることは判明しているので、アダマンタイト製のリビングアーマーは、殴って倒すにはとにかく時間がかかる。
シルキーたちの寝床へ行き、全員をたたき起こす。全員がまだ眠いと言いながら、俺がDPで出してあげた抱き枕にしがみついていた。
コバルトにいたっては、「もっとやさしくして~~」と色っぽい声を出しているが、見た目が小さいのでそれで色気は台無しだった。状況を説明すると、キリッとした表情になりテキパキと準備を始めた。
俺が指示をしてから約三十分後、全員の支度が終わりいつでも出発できる状況だった。
「夜中にごめんね、今家の外にケープマインで襲われた集団と同じ所属のやつらが、メイたちの結界を解除しようとしているみたいだ。当分突破されることは無いけど、昼間に馬車を走らせてあいつらと一戦交えるとなると、街や住人への被害も大きくなると思われます。今から正面突破して移動しようと思います」
そのまま、言葉を続ける。
「門から出たらおそらく、五十人程の相手をしないといけなくなるはず、ミリーさんと三家族は絶対に馬車から出ないでください。後新人組も戦闘に参加は危険だから、馬車を誘導してください。
今結界を突破しようとしている集団は、リビングアーマーに任せてその隙に門に向かいます。おそらく途中で気付かれるので、戦闘しながら門をでます」
説明していると、ミリーさんが手を上げたので発言を許可する。
「えっと、門が閉まってるけどどうなさるんですか? え? 私何か変なこと言いました?」
ミリーさんが俺に質問すると、娘たちは新人を含めて「何言ってるの?」という表情をしていたため、ミリーさんがあたふたした様子だった。
「門は、破壊して突破します。もう、国家反逆罪は決定事項だと思うので、邪魔するものは実力で排除していきます。ただ、相手も強いので手加減は無しで行きます。
襲撃者全員倒して何とか脱出します。今家の前に来ているやつら以外は、前回と同等と考えていい、でも家の前に来ているやつらは、どの程度かわからないけどかなり強いと思われるので、一対一では対峙しないように!」
結界は範囲内に結界維持者がいないと解除されてしまうため、今回連れて行く予定だった四大精霊のガルド・アクア・メイはここに残ってもらい結界の維持をしてもらうことになった。キャスリングするときに、この敷地内に人がいると困るので予定を変更して残ってもらうのだ。
できるなら俺たちが門を突破するまで、気が付かないでもらいたいところだ。
シルクとツィードは一緒に来てもらう予定だ。運よくリーダー格でも捕らえることができれば、情報を引き出してもいいかと思っている。
「気配的には畑や正面の方に集まってるから、裏から学校や商店のある方から見えない道を選んで門に向かいます。メイ、もし気付かれたらすぐに連絡をしてくれ。移動を開始する。リビングアーマーたち、正面の不届き者共の相手をしてやれ、可能なら倒してしまってもかまわないぞ」
フレデリクの街の家は、正面からしか出入りできない様に見えるが、南にある学校・商店・食堂のある南側へは馬車でも移動できるようにしている。周りの家より塀を高くしてあるので馬車の移動も目につかないはずだ。
西側へ行くと畑がありそこまで高い塀は、無いので馬車を移動させるのが見えてしまう。襲撃者から離れるためにも東側の通路を進んでいく。順調に進んでいくと、門までもう少しの所で違うトラブルが起きてしまった。
「おいお前たち、こんな時間になんで馬車を動かしている! 馬車を止めて顔を見せろ!」
こんな時に限って巡回兵がいい仕事してるよ。おそらくこいつらのせいで襲撃者たちにはばれるだろう。可能な限り挟み撃ちにはなりたくないから、できるだけ早く門を突破して一人でも多く減らしておきたい。
「シュウだ、用があって今から街の外に出る。邪魔をするな」
「シュウ様でしたか! ですが、いくらシュウ様の命令でも夜間に門を開けることはできません。どうかお屋敷にお戻りください」
「邪魔をするなと言った。お前たちは門を開ける必要はない、こっちで勝手に出ていくから気にするな。これ以上の問答をするつもりはない」
殺気を飛ばし、兵士たちを動けなくしてから
「家までは離れているが、おそらく感付かれたと思っていい。全力で門を突破し、まずは南門の外にいる10人を無力化する。シュリ、いけ。瓦礫をどかすのは、ライムがやってくれ。戦闘を担当する娘たちは全員降車、ライムが瓦礫を処理している間に続いて門の外へ」
俺の命令を聞くとシュリがフル装備で走り出す。
門番たちが慌てて止めようとするが、相手が俺たちだとわかり青い顔になっていた。次の瞬間……
ドゴォンッ
シュリのシールドチャージが炸裂する。前の世界で考えると装甲車でぶつかっても壊れるかわからないような扉を、馬車が通れるほどのサイズで壊した。相変わらず、この世界はステータスのせいで見た目と中身が本当にともわないな。
「ツィード君、夜目の魔法を全員に付与して、視認十、伏兵無し。そのまま戦闘開始」
俺の声に合わせて俺、娘たち二十二人、カエデ、レイリー、従魔の四匹が戦闘態勢に入る。
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