第115話 情報収集

 始めは魅了など無しで、ツィード君が改造してくれた奴隷の首輪の効果を見てみよう。


「じゃぁ、始めよっか。奴隷兵の所属不明君、とは言っても状況判断からして、国王もしくは国直属の人間だってことはハッキリしているので、それ以外の事を聞いていこうか。まぁ分かり切っていることだけど、俺の事を狙ったんだよな?」


「お前らにいうことなど……うぐっ……ない!」


「うん、しっかりと奴隷の首輪の効果は発揮されてるな。ツィード君よくやった! といってもこいつ話す気がないから、今の状態じゃどうにもならんね。ということで、ツィード君例のやつやっちゃってくれ」


「はぁ~い。よくわかんないおじちゃん、気を楽にして【チャーム】……うん、問題なさそうだね! ご主人様、質問しても大丈夫そうですよ」


 お? 魅了って良くゲームである魔法のチャームって事でいいのかな? ということは、いう事を聞いてくれるような状態って事でいいのかな?


「改めて質問しよう。俺の事を狙ったんだよな? 誰の命令だ?」


「国王よりフレデリクの街に現れたシュウという「お前何言ってる!『だまれ』うぐっ・・・」冒険者に接触し、可能なら私の前まで連れて来い。もし連れてこれないようなら、奴隷にするか殺せとの事でした」


「ん~やっぱりわかってた通り過ぎてつまらんな。ツィード君、たぶん向こうのやつらがまた騒ぎ出す可能性が高いから、あの2人にもチャームかけといてもらっていいかな?」


「は~~い、後でご褒美欲しいな! 甘い食べ物ほしい! 甘いの! ご主人様の知識にあるケーキとかいうのが食べたい!」


「もちろんいいよ、後でシルキーたちに作ってもらおう。ちょうどダンジョン牧場でとれる牛乳やバター、生クリームもあるから美味しいのができるぞきっと。でも、ガルド達は食事しないのにツィード君は食事するのかい?」


「え? 精霊は食事しなくても生きてけれるけど、嗜好としては食事できるから甘いものは好きだよ?」


「ん? そういえば、シルキーたちも食事というか、甘いものをよく作って食べてたっけ? ってことは、ガルド達も食べてるのか?」


「私やメイは、シルキーたちに甘いものをよく分けてもらっていますよ? ノーマンは自分で栽培した野菜をモリモリ食べてますし。でもガルドだけは食事は基本してないよね?」


「ん? 儂だってよく食べてるぞ? 個人的には鉄よりは金や銀の方が好きだが、カエデの精錬する鉄もなかなかに美味でな」


「「「「え?」」」」


「よりによって、金属食ってるのか……流石にそれはビビるわ。カエデは知ってたのか?」


「いや、私も知らなかったわよ。たまに鉄の在庫が減ってると思ったけど、少量だったし何かの間違いかなって思ってたよ」


「ガルド、せめて工房主に断ってから食ってくれ。嗜好としての食事なら他の金属も、DPで出せるから今度好み教えてくれ」


「すまない」


「プププッ! ガルドのおやじ怒られてやがんの! ご主人様には頭があg……ガルドさんそんな怖い顔で、近付いてきちゃダメだって。ぎゃーー!! ご主人様助けて~」


 アクアは「あらあら」「まぁまぁ」等と微笑ましい感じで見ており、メイは「少しは反省すればいいのよ」と笑っていて、ノーマンは「またか」等と言っている。うん、やっぱりツィード君はポンコツじゃないだろうか?


「はぃはぃ、みんな騒ぐのはここまで。話が進まないから静かにしてね。じゃぁ続いての質問ね。国王が動かせる戦力でお前たちの様な存在がどれくらいいる?」


「およそ、一〇〇人程だと聞いております」


「俺が確認できてないのが約七十人程いるのか。その中で、今回お前たちの中で一番強かったリーダーっぽいやつより強いのは何人いる?」


「同等以上であれば、おそらく二十一人だと思われます」


「多くねえか? お前たちにみたいにグループで動いているのか?」


「八人は私たちみたいにチームを組んだ者たちのリーダーをしています。残りの十三人の内三人は、あなた様が奴隷兵と呼んでいる全体のリーダー一人と副リーダー二人です。それとは別に戦闘能力上位十人の奴隷兵が特別チームとして編成されています」


 予想よりも厄介な状況だな。俺たちがこいつらを返り討ちにしたのはバレてるから、次にアクションをかけて来るなら、前回より多い人数が投入されるよな。


 最悪の場合なら特別チームとやらも来る可能性があるな。同数以上の敵に来られたら押し負ける可能性が高い、残ってる敵の半数がここに来ればおそらく負けるな。


「お前らの拠点は、王城の地下にあるダンジョンで間違いないか? 奴隷兵の予備軍みたいなのはいるか?」


「拠点は王城の地下にあるダンジョンで間違いありません。予備軍、訓練中の奴隷兵であればおそらく四〇〇人程ではないでしょうか?」


 全部で五〇〇人、王城のダンジョンは五〇〇人を賄うだけのリソースがあるのか? さすがあのチビ神共が作ったダンジョンって事か? できれば制御を奪い取りたいとこだが、わざわざ危険に飛び込む必要はないよな。でもこの国にいれば付け狙われるか……


 三大国の中心に大国と同じくらいの樹海があるって話だったな。中心にはAランク上位の魔物がかなりいるとかいないとか。安全が確保できるようなら、開拓しちゃうか? DPで街や畑に使うスペースは地面を底上げして、さらに塀でも作ればなんとでもなるだろう?


 水だってDPの機能とか精霊を使えば、何とかなるかもしれないしな。街はともかく隠れ家的なものが作りたいとこだな。本当ならフレデリクの家を、丸々持っていきたいところだけどな。


「どのくらい動いてくるかわからないけど危険だな。近いうちに攻めてくる可能性もあるし……俺の戦争時にゲットした権利を、ギルドマスターに委任できねえかな? 冒険者・商人・農業あたりに委任して貴族の監視をしてもらうとか……ってこの国からいなくなったら権利はく奪されるか?」


「ご主人様、国が関わっているなら、この国にいても権利ははく奪されると思いますよ」


「それもそっか、せっかくフレデリクとリーファスの街で色々始めたのにな。まぁこれだけ生活環境がよくなったなら、下手に戦争に負けることは無いよな。くそ貴族が馬鹿でもない限りは。リーファスの街の新人組をこっちに来させよう。最後にお前らが知っている範囲で、注意した方がいい相手はいるか?」


「そうですね、中央にいる騎士団の上位の人間には、気を付けた方がいいですね」


「後は国家反逆罪が適応されれば、シングル以上の冒険者も敵に回る可能性があります。いえ、私たちを退けた事を考えれば、どこかのタイミングで国家反逆罪にされると思われます」


「他には、奴隷兵の特別チームは、認識阻害系のアイテムらしきものを持っていると、聞いたことがありますね」


 国家反逆罪は可能性的にありえたからそこまで驚かなかったが、最後の認識阻害系のアイテムには正直驚いた。


「その認識阻害系のアイテムっていうのはどういった効果だ? 気配に対する物か? それとも姿を隠すタイプか?」


「よくわかりませんが、探知系のスキルに対する物だと聞いています」


 探知系か? マップ先生をごまかすアイテムとかじゃねえよな? 警戒するに越したことはないな。この国を脱出する前提で動こう。行先は娘達とも相談して決めよう。


「ツィード君、こいつらの魅了状態ってどのくらいの時間効果がある?」


「自分が見えなくなったら効果はきれちゃうかな」


「よし、そこらへんは後で考えよう。こいつらは牢屋にいれておいて、甘い物でも食べながら今後の相談でもしようか」


「「「「は~~~い♪」」」」


 ん? 四人の精霊たちの声がシンクロしたな。

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