第64話 新ダンジョン作成

 シングル冒険者たちが獣道の森へ行った次の日、俺は前日にみんなから集めたダンジョンの構想を元に、色々なアレンジができないかダンマスのステータスとにらめっこをしていた。


 ダンジョンを作るためには、DPを消費して部屋や階層を作りそこに召喚魔方陣を設置するか、直接召喚する方法がある。この二つの違いは、召喚魔方陣は初めに設定した魔物を部屋や階層に召喚し続ける。直接召喚はDPを消費して、個々にカスタムして召喚することができる。


 召喚魔方陣は召喚できるものの強さは設置した際の設定から固定だが、魔物の数が減れば無限にわいてくるメリットがある。ちなみにコストは、直接召喚と比べた場合、召喚魔方陣は一〇〇倍である。一〇一匹以上召喚させれば、もとをとることができるのだ。


 召喚魔方陣を掛け合わせて、ランダムに召喚できる方法がないかを探しているが、魔法陣自体をいじることはできなかった。今度は方向性を変えて、ダンジョンとしての制限を利用して召喚をコントロールできないかを検証し始める。


 部屋やフロアに対して召喚魔方陣からでてくる魔物は、ある程度制限がかかるのでそこを利用することを考えた。


 ダンマスの能力を使って部屋を作成する。どうやら部屋を作成する際にもDPを消費して配置可能な魔物の数と魔物の強さの総数の制限を設定できるようだった。


 最低クラスの魔物を三匹程召喚できる部屋を作り、そこに魔法陣を五つ設置する。部屋の中の魔物は、リビングアーマー(ミスリル)に退治してもらい、わく魔物の順番を確認してみた。倒された段階で五つの魔法陣のうちの魔法陣がランダムで起動して、召喚する流れになっていた。


 これによって、部屋毎にランクや強さなどをある程度決めてランダム召喚することが出来るようになった。現状ではBランクの下位までしか召喚することができないので、娘たちが希望している魔物の召喚はまだできなかった。


 できる限り自然に近い状況で戦えるダンジョンは、とにかく広いフィールドを作成して、色々な場面に合わせた障害物を設置していく。障害物といったが森のような場所であったり、市街地のような場所であったり平原や岩場、山などいろいろなものを設置しただけだ。


 ダンジョンの魔物の他の魔物と協力して侵入者を排除する習性を利用して、四匹ずつくらいの小集団を形成するようにフィールドを作った際に設定して、四・五匹の小集団になったらダンジョン内を徘徊するようにしてみた。


 今召喚できるCランクの魔物の召喚陣を六割程設置した。どうなるかはわからないが、試験的にでも運用していかなければ、問題点もわからないだろう。


 俺の案として出した効率よく経験値を稼ぐダンジョンは、至極簡単に作成することができた。いくつかのランクと魔物のタイプに合わせて部屋を作成し、効率よく敵を倒すようにするだけだ。他にも経験値だけではマンネリ化してしまうので、食料調達や素材調達のできる部屋も作成した。


 食料調達できる部屋は、オーク・スネーク系・魚介系の部屋だ。オークやスネーク系はそのままだが、魚介系の魔物は部屋に、ある程度の深さのある水や海水を用意しないと召喚すらできなかった。


 完全な魚タイプの魔物は部屋の七割以上が水や海水でないと召喚できなかった。水中での戦闘は非常に危険が高い為、今回は水陸どちらでも動けるタイプの魚介系の魔法陣をセットしてある。貝類や半魚人のような魔物だ。


 素材調達のできる部屋は、主に植物系の魔物たちか鉱石系をドロップする魔物が召喚されている。ポーション類の素材だったり、武器の素材だったりを調達できる部屋にしてみた。現在召喚できる魔物では、ランクの高い素材はまだとれないので、クラフト修行にでも使うことになるだろう。


 冒険者の仲間は手に入れたが、カエデの下で働いてもらうメンバーがまだいないので、そのうち奴隷を購入しようかとと考えている。他にも、生産の得意な精霊を召喚して生産部門を作ってもいいのではとも思っている。


 カエデの下につける奴隷たちだが、冒険者をしている娘たちの後輩になるので、上下関係はある程度つけるが、冒険者をしている娘たちと同様に奴隷として扱うつもりはない。今回もしっかりと見極めて購入し、育てていくつもりだ。


 ダンマスだという事もいずれ話さなければならなくなるが、ダンジョンが庭にあることは完全に信用ができるようになるまでは内緒にしよう。


 他にも生産部門で作った物を販売する商売部門も欲しいな。そうなると……管理できる人材がいないとだめか? 信用できる人材がいれば、ヘッドハンティングでもしたいところだが、この世界で知り合いなんて多くないしな。


 商隊、キャラバンを組んで他の町を渡り歩くのも悪くないな。キャラバンも護衛も自前なら安く上がるし、安全に他の町を観光できるしいい考えじゃないだろうか? DPで素材を召喚しても問題ないが、それでは面白みがないのでこういった趣向の遊びも悪くないな。


 ダンジョンを作成してただけなのに、色々な妄想が俺の頭の中を駆け巡っていた。屋敷と商館や工房を離したくないので、今度不動産を扱っているところに行って、ここの近くで空いている場所がないか確認してこよう。


 最悪金で解決できるなら、立ち退いてもらうことも視野に入れてもいいかもしれない。金ならあるんや! DPから出せる金だけどな。そこら辺の貴族なんかより、よっぽど金持ちなんだけどな! 下手したら王族より自由にできるお金は大きい可能性があるのだ。


 他の町の観光を考えて、移動時間の短縮のためにポータルや転移魔法、転移魔法陣などがないか探したが、遠隔地へ移動する魔法・スキル・トラップの類は一切なかった。異世界転生ものであれば、多くの小説で存在している転移系のものが一切なかった。


 この国の多くの街をエリア掌握したが、予想以上に広かった。転移系の物がなかったので、空を飛ぶことのできる魔道具や、魔法を探してみたがやはり見つからなかった。空を移動する方法といえば、グリフォン・ヒポグリフ・ペガサスや亜竜のワイバーン・飛竜種位だとのこと。


 一番ランクの低いワイバーンとやヒポグリフでさえ、Aランク上位の戦闘力を持っているとのこと。召喚できるようになれば、所有することもたやすいがさすがに目立ちすぎるだろう。この世界で知られているのは、ドワーフの国にワイバーンの竜騎士が100程しかいない。


 空の移動はあきらめてしばらくは、ウォーホースのように移動が早い魔物に馬車を引かせればいいかと考えた。それでもこの世界の基準とすればかなり早いのだから、その辺で妥協しておこう。

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