第33話 戦闘体験が終わった
娘たちの戦闘体験の風景を見て俺は落ち込んでいる。すごく落ち込んでいる。俺の初めての戦闘と比べると天地程の差があったからだ。ソロとパーティーという違いもあるが、それ以前の問題だと俺は思っている。
俺は覚悟をして狩りに行ったがゴブリンを殺す直前にしり込みして、死を前にしてやっと殺すことを受け入れて倒すことができたのに対して、娘たちは戦闘の始まる前から魔物を殺す覚悟ができており、それに対して何の躊躇もなかった。
覚悟の差は、敵を倒すという一点において特に大きな差になってくるようだ。
「お疲れ様。初めての戦闘とパーティー戦どうだったかな? 色々思うことがあると思うけど、今日は戦闘と役割の体験だ。普通は他の役割まで体験することはなかなかできないから、貴重な体験ができたと思ってくれ。
今日はこれで戦闘は終わりです。お昼になっていませんが、休憩してお昼を食べたら自由時間にしようと思います」
みんなの様子を見ながら、
「俺がぐちぐち言うよりは、自分たちで話し合ったほうがいい結果が出るんじゃないかと思って、自由時間を長く取ってるからね。分からないことがあったらカエデかレイリーに聞いてくれればいいから。
レイリーはみんなの見守りお願いな。カエデは、やっぱり鍛冶場だよな。ダンジョンは俺の付き添いないときは入っちゃだめだからな」
ダンジョンは俺が召喚しないと敵がいないから、誰も入らないようにしておかないとな。
娘たちは、俺の言った「自分たちで話し合ったほうがいい結果が出る」と言われたことに対して、期待されていると思いやる気をたぎらせていたが、俺は教わるより自分たちで考えた方が得る物が大きい、と思いこういった発言をしている。
娘たちは期待に応えなくては! と顔を見合ってうなずいていたいた。
「ご主人様、食事が終わったら食堂を借りてもいいですか?」
「ん? 別に借りるのに許可なんか必要ないぞ。みんなで使える空間として、食堂があるんだから自由に使うといい。食事の前にお風呂へ入っておいたほうがいいな。あがったらお昼になると思うし、俺もさっぱりしたいからな、解散!」
娘たちは、俺に言われた通りお風呂に入りに行くようだ。可愛い娘たちがいっぱいいるお風呂、ケモミミもいっぱいあって覗けたら眼福に違いない……おっと、ロリコンではないが息子が反応しそうになってしまった。あぶないあぶない。
この世界の娘たちは、地球より成長がはやいからか色々と困ってしまうのだ。この世界にはブラがないから、美人が近くにいると目のやり場に困ってしまう。DTの俺には早い世界なのではないだろうか?
お風呂場に向かうとさも当たり前な顔をしてついてくるカエデの頭をおさえる。水着以外にも湯あみ着を渡してあるから、着ないなら追い出せばいいだけだろう。カエデもお風呂は気に入った様子でのんびりと過ごしていた。
お風呂に入り終わり、全員が食堂に集まった。
「今日のお昼ご飯は、鳥の照り焼きにパン、葉野菜、フルーツジュースになります。他にもスープやサラダを用意しているので、食べたい人は声をかけてくださいね。シュリには別に用意してますので安心してください。ご主人からの命令なのでしっかり食べてくださいね」
「シュリは遠慮せずに食べるんだぞ。食べよっか。いただきます」
「「「「「いただきます」」」」」
自動翻訳があるため、なんて言っているかわからないが、普通にいただきます、ごちそうさま、が通じるので違和感なく挨拶できるのはいいことに思えた。
シュリは、命令通りもりもりと食事を食べている。ここに来て2日目だが、買ったときのような顔色の悪い、痩せたような姿ではなくなっている。さすがにまだ肉はついていないが、顔色はよくなっており何より元気が出てきたのはいいことだ。
英雄症候群が本当に筋肉密度とかの話であれば、しっかり食べてパフォーマンスを維持できればすごい戦力になるだろう。まだ本調子でない状態でも、コボルトを弾き飛ばすことのできるくらいの力はあるようだし、楽しみだ!
普通の人と同じ食事のタイミングでいいのだろうか? 片手で食べられて簡単に栄養もとれて、お腹にもたまる携帯食みたいなのがあるといいな、美味しければなおいいよね。
「ちょっとスカーレットいいかい?」
「なんでしょうか、ご主人様」
「相談なんだけど、俺の故郷のカロ○ーメ○トみたいな携帯食料作れないかな? 冒険に出るときにもっていけたらと思うんだ。それに、シュリの間食用にもあると便利かと思ってね。無理はしなくていいから、食べやすくて栄養がとれるようなものを作ってもらえたら嬉しいな」
「了解であります」
敬礼をきめて、ふよふよと残りのシルキーの待つ所へ戻っていく。そしたら、シルキーたちを前に気合の入った声で、
「ご主人様から特別ミッションを受けました。食べやすくて手軽に栄養がとれるものを作ってほしいとのおおせです。命令ではありませんが、優先順位は高いと思ってください。ご主人様の故郷によさそうなものがあるそうです。みんなで研究しましょう」
おぃおぃ、特別ミッションってなんだよ。シルキーたちのやる気にみなぎる顔を見てると突っ込みたくても突っ込めなくなってしまった。一応、娘たち11人にはばれない様に、隠語みたいにうまく言葉を使ってくれているのが救いだろうか?
そういえば、この世界では奴隷は1日1、2食らしい。かなり不遇な扱いを受けているようで、「昼ごはんも食べさせてもらえるんですか?」と可愛い娘たちに聞かれたときは、おっちゃんは泣きそうになってしまったよ。みんな、腹いっぱい食うんだぞ。
自分の事をおっちゃんと言ってみたが、年長組のみんなと1、2歳しか離れてねえんだよな。日本にいたらみんなモテるだろう容姿をしてるよな、特にケモミミ娘たちは色んな意味で引っ張りだこになりそうだ。
DTの俺は可愛い女の子たちを見れるだけで、お腹いっぱいだ。一番年下のシェリルや年少組は、妹みたいな感じで違う意味で可愛いけどな。
娘たちが味わって食べているのを眺めながら、そんなことを考えていた。
食事が終わり、完食した娘たちがシルキーたちに向かって「ごちそうさまでした」「ありがとうございました」「おいしかったです」「今度作り方教えてください」等、お礼の言葉をかけていた。
それを聞いたシルキーたちは、「これが私たちの仕事です」「喜んでもらえて何よりです」「夜も期待してていいよ」「私の指導はスパルタだから、弱音を吐く人には教えられないのですよ」と、一部怖い事を言っているシルキー、ミドリがいた。
「みんなはこの後、食堂を使って話し合いをするのかな?」
「はい、そうしようと思います」
「シルキーたち、飲み物の準備をしてあげて。紅茶あたりを出してほしいな、個人的に好きなものだけどみんなにも好きになってほしいからね。ミルクとはちみつを用意してあげて」
「了解であります!」
返事をしたスカーレットに向かって年長組の8人が何やら真剣な顔をして近付いて行っていた。
「スカーレットさん、紅茶って昨日飲ませていただいたお茶ですよね? ご主人様の好きな飲み物を淹れれるようになりたいので教えてください」
ピーチが代表してスカーレットにお願いをして、みんなで頭をそろえて下げている。
その様子を見ていたミドリが、不敵な笑みを浮かべて、
「ご主人様の好きなお飲み物の一つなのです。生半可な出来栄えでは許しませんですからね。やるからには最高級を目指しすのです。それでもついてこれるのですか?」
「「「「「「「「もちろんです!!!」」」」」」」」
声のそろった娘たちの返事を聞いて、
「いいでしょう、ならついてきなさい」
ミドリは年長組を連れてキッチンへつながる扉をくぐっていった。
「ミドリちゃんったら~ご主人様のためになるとはいえ~、張り切ってますね~。他の娘たちは、片付けをしますから~手伝ってくださいね~。片付けもできないような娘は~、メイドとして失格です~、この家にはいりませんよ~」
今度は、アマレロが物騒なことを言い始めてしまった。俺は見なかった聞かなかったことにして自分の部屋で休むことにした。
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