第28話 自己紹介
「みんなに自己紹介をしてもらおうと思う。まずは俺から、一応この家の主のシュウだ。みんなを買った理由は、一緒に冒険をする仲間の候補として来てもらってる。
俺が槍術士の立ち位置なので中衛だな、優先したいのは前衛でタンクと物理アタッカー、中衛でヒーラー兼バッファー、後衛の弓兼デバッファー、魔法アタッカーの5名だな。多分専門用語が出てきて分からないと思うけど、それも勉強してもらうことになるからよろしくな」
一息ついて、
「スキルや魔法については今は考える必要はないので、自分でやってみたい立ち位置を考えてほしい。もちろん、今言った役割以外にも有用性があれば採用して行く事があるので日々研鑽に励んでほしい。
もし戦闘が駄目だと思ったら言ってくれれば、メイドや生産職でもいいし農園や牧場のメンバーになってもらってもかまわないからね、じゃぁ次はカエデな」
「はいよ。私はカエデ、立ち位置的には物理アタッカーだけど、シュウからは遊撃扱いだって言われてるね。本来戦闘よりは、鍛冶が得意で武器防具のメンテナンスを請け負うことになると思うかな? そんな感じだからよろしくね」
次は、唯一男性のドラゴニュートのお爺さん。
名前は、レイリー、歳は94と結構高齢だと思ったが、ドラゴニュートの寿命は200歳を超えるとのこと。得意なスタイルは、片手剣と盾を持っての前衛でサブタンクの立ち位置に思える。他にも、武器全般つかえるらしい。教師役になればと思ってついでに買ったお爺さんが、予想以上につかえる人物だった。
レイリーの孫娘である、ドラゴニュートのリリー、歳は13歳。やってみたいのは、お爺さんと同じ片手武器と盾でタンクに近い立ち位置。
目の見えない魔法使いの名前はライム、15歳。目が見えないので、戦闘に出れなくても回復魔法を覚えて、家の中でもいいからみんなの役に立ちたいとのこと。
英雄症候群の少女の名前はシュリ、15歳。食事を食べたら見た目も少しふっくらしたが一番の驚きは、身体能力、特に力が強い事だった。これを活かしてガチガチのタンクをしたいとのこと。
エルフの少女の名前はイリア、37歳。おいっ! っと思ったが人間に直すとまだ8、9歳くらいになるらしい。確かに身長はそこまで高くないな。魔法はまだ使えないが、エルフということもあり精霊魔法と弓を使った立ち位置を目指すらしい。
7歳の幼女の名前は、シェリル。何ができるかわからないけど
次に獣人たちが自己紹介を始めた。
シアンスロープの1人目は、アリス15歳。前衛は怖いので後衛の弓や魔法を覚えたいと思っているらしい。
2人目は、チェルシー13歳。体力はあるけど力がないとのことで手数で攻める双剣をしてみたいとのこと。
3人目は、キリエ12歳。獣人だけど体を動かすのが苦手らしい、ヒーラーか魔法アタッカーを希望している。
4人目は、エレノア10歳。体を動かすのが大好きで力もあるため、大型の武器を振り回してTUEEEってやりたいようだった。
次は、ライカンスロープの3人。
1人目は、マリー15歳。スピードに自信があるので手数で勝負する短剣の二刀流などをしてみたいらしい。獣人の中でも鼻が利く方だから斥候でも役に立ちたいと。
2人目は、シャルロット13歳。体が頑丈で力があるけどスピードが無いので、タンクを希望するみたいだ。
3人目は、サーシャ10歳。スピードと力があるようで、攻撃を受けるのではなくかわしたり逸らしたり弾いたりしたい! と大きな声で希望を話していた。避けタンクを希望するとは、一番度胸が必要になってくる立ち位置を無自覚で進もうとしている。
キャットピープルの1人目は、ライラ15歳。パーティー戦では活躍しにくい種族らしく、みんなの補助や斥候をできるようになりたいと考えているようだ。
2人目は、ソフィー10歳。やはり種族的にパーティー戦は難しいと考えているようだが、斥候や気配を消して不意打ちからの一撃必殺の遊撃をしてみたいらしい。
フォックスロープの1人目は、ジュリエット13歳。種族的に魔法が得意なのでそちらの方面で活躍したいようだ。
2人目は、レミー11歳。ジュリエットと同じく魔法を覚えて活躍したいとのこと。
残りは6人で人種の自己紹介になった。
1人目は、ピーチ15歳。争い事は苦手なのでヒーラーとして頑張ってみたいとのこと。
2人目は、メアリー15歳。目はいい方だということで後衛の弓を希望している。
3人目は、ケイティ14歳。魔物は怖いので後衛で遠くからなら大丈夫だと思うとのこと。
4人目は、マリア13歳。魔物は両親の仇なので、魔物を倒せるなら何でもするとのこと。
5人目は、クシュリナ12歳。立ち位置とかはよくわからない様子で、大きい武器をブンブンふれるようになりたいらしい。
6人目は、メルフィ10歳。争い事は苦手だけどみんなの事を守りたい、もう誰も失いたくないから私がみんなを守るタンクを希望している。
全員の自己紹介が終わり、思ったより役割がばらけたことにびっくりしている。直接切りあうのが怖くて、後衛やヒーラーのポジション希望が多いと思っていたがそうでもなかったようだ。
この世界では12歳からが大人というか、一人前扱いされるらしい。12歳未満だから冒険者になれないかというと、そういうわけではないが、色々と面倒くさい手続きが必要になるらしい。イリアを含めた12歳未満の7人はどうするか?
希望している職種でみると、タンク・避けタンク・魔法・斥候兼遊撃・物理アタッカーと、なんでもいいから役に立ちたいシェリル。ヒーラーになったら、バランスのいいパーティーになる気がするけどこの年の戦闘奴隷パーティーってまずくねえか……
何にしてもこの娘たちがどれくらいの適性があるかだよな、修行始める前に細かいステータスチェックしちまうか。
確認して気付いたことは、種族特性で得意なことや身体能力が高いわけではないことが分かった。おそらく、種族によってスキルの習得のしやすさが関わっているから種族特性と思われているのではないだろうか?
例に出せば、エルフの特性で精霊魔法がという話だったが、スキルの欄を見ると【精霊視(精霊と契約するために必要なスキルだよん!】と、久々に説明口調が出てきてイラッとしたが、この精霊視というスキルがあれば精霊と契約して精霊魔法が覚えれるようになるとのこと。
で、スキル宝珠に精霊視を覚えられるものがあったのだ。他にも、シアンスロープやライカンスロープは基本的に他の人種より鼻がいいとされているが、スキル欄に嗅覚上昇があるのだ。
鼻の良いといったマリーは、嗅覚上昇のスキルLvが5と圧倒的に高かった。もちろんこのスキルも宝珠で覚えることができる。
覚えた後、スキルLvが上がるのは種族によって違うのかわからないから、そのうちに検証をできればいいな。
スキルLvが上がれば知識が増えたり、感覚的にできることが増えたりする感じだったけど、逆に知識や感覚を養うとスキルLvが上がるのだろうか?
この世界はスキルLvで測れないものもあるから、そこにこだわり過ぎるのは危ないかもしれないな。
「ライム、ポーションの実験台になってくれないか? その目って生まれつきじゃなくて魔物にやられて、見えなくなったって話だったよね? 手に入れたポーションの効果実験と時間がたっても治るのか実験をしたいけど、飲んでもらえるかな? 嫌なら誰かが怪我した時に試すけど、どう?」
「私に貴重なポーションを使ってくださるのですか?」
「そういうことになるね。一応みんなに言っておくけど奴隷だからと言って無下に扱うつもりはないからね。怪我したら治すし、飯も同じものを食べるし、お風呂にもしっかり入ってもらうよ。他ではどうかわからないけど、ここではそれが当たり前だからね。で、ライム飲んでくれるのか?」
「ご主人様が望まれるのでしたら……」
「そういうのはいいから、自分の意志で決めてほしい。治っても治らなくても俺の所為にすればいいから自分で決めるんだ」
「はい……ここで私が実験すれば、後に誰かの役に立つかもしれないので、飲ませていただこうと思います」
「じゃぁ、このポーションを飲んでみて、手に入れたけどどの程度まで効くものか分からないから期待はしないでね。念のためにシルキーたち少し光をおとしてくれ。飲んだらゆっくり目をあけてみて」
「ご主人様の顔が見えます……もう一生見えるようにならないと思っていたのに……ありがとうございます」
泣きながら祈るように俺の手を握っている。十中八九は治ると思ってたのだが、ここまで即効性があるとは思っていなかった。
周りの奴隷の娘たちも俺を見る目が神様を見ているような、今にも拝みそうになっている娘までいた。神様扱いは辞めてもらいたいな……あのチビ神を思いだすからな。
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