第5話 故郷の味

 状況に流された状態で1日が過ぎた。


 体が痛てえな。ベッドはある程度固い方がいいけど、さすがにこれは固すぎたな。快適空間作るときは、大きなベッドもいいかな。寝返りし放題だし……いや、畳部屋ってのもありだな。さてと、DP確認っと。


 お? まじか! 4000DP超えてるじゃん。って、昨日気付かなかったけどマップのところに時間が表示されてるし、この様子だと24時間って感じでいいっぽい? それに、1時間単位のDPっぽい表記があるな……413DP/hだってさ。


 改めて見ると、昨日気付かなかったこともいっぱいあるな。これを目安にいろいろできそうだな。この街を制覇するためにどんどんエリアを掌握していくかな。


 操作を終えると、街の四分の一程の範囲が掌握できたような気がする。マップには簡単な街並みが表示されていた。時間の下には621DP/hと表記されていた。


 それにしても結構増えたな。この様子なら2日もあればこの街を全部掌握できそうだな。10日後には自分の家も夢じゃないかも?


 奴隷もいるみたいだから、そのうち買ってなんか商売やってみるのもいいかな? まぁ10日分は宿のお金を払ってるし、それまでに考えてみるか。


 これからの予定をざっくりと頭の中で立てていく。


 俺の仮の姿は冒険者って事にしたから、冒険者としての知識もきちんと高めておかないとな。


 昨日見た講習の内容を思い出し、1週間くらいで一通り受けられるみたいだからそれを受けながら、街の中を見学してみるのも悪くないかな。


 ゲームやパソコンがないから若干手持ち無沙汰ではあるが、思ってたような禁断症状的なものはなさそうだ。しばらくすれば、ゲームもできるようになるはずだし問題ないだろう。


 講習を受け、街を散策し一通り目についた見た目が美味しそうなものは食べてみた。当たり外れが激しかった。当たりの露店のおっちゃんには、少し金を落として調理の方法を聞いたりもした。


 おいしかった物の多くが、地球で使われていた技法やそれによく似た技法で調理されていることが分かった。特にお肉は、血抜きをされていないのも多く地球の食べ物に慣れている俺には辛いものがあった。


 こんな風にノンビリ過ごしていると6日が過ぎた。


 この街の掌握は、この世界に来て3日目に終わり、残りの4日間はDPが溜まる一方だった。ちなみに今のDPは14万を超えており時給は1524DPである。ウハウハ過ぎてよだれが出そうだ。


 家を買って快適空間を作る前に問題が発生した! 俺の事を知っている人は多くはないが、家を買ったお金がどこから来ているのかという話になった際にどうやって誤魔化すのがいいか思いつかないため、DPがあっても家が買えない状態である。


 できればある程度広い敷地がほしいと考えている。他には、衛生的な面で外縁部から離れた場所にある家がほしいと思っている。


 買うまでのいい方法が思いつかなかったので、体を動かすために戦闘訓練にでも行くことにした。講習も受けて一通りの知識はなんとなく覚えたので、戦闘訓練をしてクエストに出れる準備をしようかと考えた。


 戦闘訓練は、午後からの開始なので午前中は時間があることに気付く。


 ダンジョンのステータスを眺めて時間を潰そうと考えた。マップを眺め人口が何人なのか気になり検索をかけてみる。


 へぇ~、人口4万人ちょいいるのか。この街がこの国のどのくらいの規模なのかわからないが、多い気がするな。お? 検索者の総レベルは、153442なのか。なんで表記されてるんだ?


 なるほど、DP時給は総レベルの百分の一ってことか! でも倒したらDPどのくらいゲットできるんだろうな? 持続的に稼げるようになったから気にしなくてもいいっか。


 この街の平均レベルが4位なのに最高レベルが124で、役職が騎士団長となっていた。ってマップよ、詳細までわかるのか、かなり便利だなこれ。


 検索はできるけどレベル毎の色分けとかまではできないようだった。


 勇者も検索できるから、道や他の街までの範囲を掌握してしまえば、早めに見つけられるかもしれないな。道を掌握してもたいしてDPが増えるわけじゃないのである程度溜まったら考えるか。


 冒険者の平均レベルが20位なので、俺のレベルも15くらいまで上げてしまおう。消費DPは……合計で52500か、レベル1上がるごとに500ずつ必要DPが増えているようだ。


 モンスターを狩ってあげるのも大変なんじゃないかな。まぁ余裕があればちょこちょこ上げてけばいいかな。


 DPのアイテム召喚で出せるものを見ていると、スキル宝珠があった。剣・両手剣・斧・棍等々各種武器スキル、火・水・風・土等々の魔法系スキル、能力向上・魔力上昇・命中力上昇・標準等々の技能系と補助系スキル、他にも生産系や作成スキルなど幅広くあった。


 ちょっと中二病をこじらせた俺は、槍スキルと雷魔法、付与術、能力向上のスキルを習得し、スキルのLvを3にして鉄の槍の高品質を召喚した。


「これで俺も槍術士! 薙刀も槍に含まれるみたいだから持っていても不思議じゃないくらいの状況になったらゲットしますかな。夢が広がる! 三国志の有名武将に槍や薙刀に近い武器持ってる印象が強いから若干あこがれもあったんだよな」


 あまり広くない部屋で、槍を振り回してみる。今まで一度も振っていないのに、どうやって体を動かせばいいのか分かる。宝珠によって得た知識の塊なのだろうか、DPで魔法は地道に増やしていくのも悪くないだろうか? 楽しみが広がるな。


 スキルLv3でこの動きだと10まで行くとどのくらい動けるんだろ? 異世界物やバトルものの小説だと、知識があっても経験が上回ることが多々あるから過信はできないだろうけど、男に生まれたらには一度は強くなってみたいとか考えるよね。決して厨二病をこじらせたわけではないのだ!


 色々時間をかけたつもりだったがまだ11時だった。今日の昼ご飯を何にしようか迷って、久しぶりに地球の食べ物が食べたくなって色々探してみる。


 目につくのは、ファーストフード・ジャンクフード・弁当ばかりだ。まぁ完成している食事って言うとファーストフード・ジャンクフード・弁当以外ほとんどないんだけどね。


 お湯が準備できるならカップラーメンでもよかったんだけどね。やっぱりここは、モ○のリッチモ○バーガーは外せないな。それとマッ○のポテトにチキンナゲットとコ○・コーラで決まりだ!


 地球でもそんなに食べているわけではないので、かなり久しぶりに食べた気がする。やはり、ハンバーガーはモ○に限るな! サイドメニューはマッ○が好きなんだよな。


 地球にいたら贅沢でできない組み合わせだけど。DPに余裕のある今なら負けはない!


 久しぶりに食べた地球の食べ物はやはり美味かった。異世界のここでここまでの味をだすことはできないだろう。DPで調味料を呼び出さない限りは、あの味を再現できないのだ。


 だって調味料に塩と胡椒と砂糖と酢しかないのだ! 香辛料も多くなく地球がいかに食に対して貪欲だったかを思い知ることになった。


 DPで種を召喚して、ダンジョン農園でも作って魔物に育てさせることでもできないか検討の余地があると考えていた。

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