第25話
「はい、皆、注目! 今日は転入生がいます!」
学校に着いて、いつものように朝の準備をしていると担任がやって来て言った。
「自己紹介をお願いします」
「我は暗黒の国から来た、御崎フレアだ。つまらん平民ども、ひれ伏すが良い!」
真っ赤な長い髪をツインテールに結わえた、赤い目の少女はそう言うと、右手を大きく挙げてニヤリと笑った。
「え!? ……厨二病?」
誰かの声が静まりかえった教室に響いた。
「お前、フレアか!?」
「くくく、ユイ、我のことを覚えていたようだな」
「御崎さん、盛り上がってるみたいだけど落ち着いてね。それじゃ、あの席に着いて」
先生がフレアの肩に手を置き、空いている席に着くよう促した。
僕はユイに小声で聞いた。
「ユイ、フレアって呼んでたけど知り合いなの?」
「ああ、前の世界で奴は魔王だった」
僕は嫌な汗をかいた。
「御崎さん、よろしくね」
僕は、ユイの反対側に座った御崎フレアに声をかけてみた。
「我に気安く声をかけるでない」
「フレアはどこに住んでいるんだ?」
ユイが御崎さんに話しかけた。
「我は……どこに住んでいても良いだろう!? 貴様に教える必要は無い!!」
ユイは御崎さんの返事を聞いて、前を向いて言った。
「そうか、なら良い」
ユイと御崎さんは、前の世界の知り合いらしい。
「ユイ、御崎さんと友達なの?」
「いや、違うぞ。私がフレアの暗黒帝国を滅ぼしたのだから宿敵と言うところだろう」
ユイの言葉を聞いて僕は焦った。
「そんな相手と同じクラスなんて、騒ぎにならないかな?」
「私は喧嘩は売らない。売られた喧嘩は買うが」
ユイはそう言って目を閉じた。
「我を恐れているのか? ユイ」
「まさか」
二人の間に緊張が走る。
「そろそろ授業ですよ」
一時間目は国語だった。原先生が僕の目の前に立っている。
「御崎さん、教科書とかまだ買ってないでしょう? 隣の伊口君に見せて貰ってね」
「……了承した」
御崎さんは渋々と言った表情で、僕の机と自分の机をくっつけた。
「見せろ」
「いいですよ」
僕は御崎さんに教科書を見せた。
「ふん、つまらぬ話だ」
「はい、私語は慎んでね」
原先生は教団に戻っていった。
ユイは御崎さんのことは気にしていないようだったが、御崎さんはユイのことをじっと見つめていた。
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