第4話
創立祭の日から3日間、学院が休みだった。
その間、「ミルザム様をつけますな!」「学院から出て行け」といった文言の差出人不明の脅迫紛いの手紙が届いた。
パーティーから帰ってきた後、両親達に事情を正直に話したのもあって、その脅迫の手紙は私の目が届かないところに保管しているみたいだ。
何故、保管しているかというと犯人を捜索するため。証拠として焼かずに置いておきたいと、父は考えているみたいだ。
この世界では、指紋鑑定などの調査はできないからどうやって探すのかと思い、父に聞いてみると、「やりようはあるんだ。大丈夫。ステラは知らなくて良い」とはぐらかされてしまった。
父がどのようにして犯人探しをするのか聞き出したかったが、何度尋ねても一向に教えてくれないので、諦めることにした。
それよりも、明日から学院へ行かなければならない。
行きたくはないけど、憂鬱でしかたないのだけど、行くしかない。
私の学生生活がかかっているのですもの。
尋問した副会長は、話にもならなかったし期待はできないが、私は私のやり方で立ち向かわないといけない。
そう決意して、明日学院に行くのだが、よく分からない方向で期待を裏切られることになる。
▽
学院内の敷地へ入ると。
私が入った瞬間に、周囲との間が広まる。
「やっぱりか。」
聞こえない程度に呟くと。
何だか、学院の掲示板の方で人だまりができていた。
それに騒がしい。
なんだろうと思い、近くへ寄ってみると張り紙がしてあった。
それもただの貼り紙ではない。
生徒会長のエルライ殿下が直々に生徒に向けて声明を出していたのだ。
『創立祭で起きた騒ぎについて報告することが3点ある。
一、ミルザム・アーリアに起きた事件について嫌疑をかけられたステラ・ハーシェル嬢には、状況証拠があったため、犯人ではないということが、検察庁捜査一課により正式に認められた。
二、創立祭後、ステラ・ハーシェル宛に複数の脅迫文が送られた件について。ハーシェル卿の協力もあり、送った相手の特定は既に完了している。我が学院で、それらに生徒が存在することが判明した。処遇は追って報告する。
三、ミルザム令息の呪いの件については、依然として捜査中である。何か手がかりを知っている生徒は必ず生徒会役員まで申し出るように。
以上。
エルライ・アルノー・ド・アスガルド 』
えっ、一体どういうこと?
父様が、捜査に協力???
私は非常に混乱していた。
知らないうちに、私のアリバイが証明されていた。
証言以外、何にも証明できるものはなかったのに!
いったい全体何があったって言うの?
しばらく頭を抱えていると、声をかけられた。
振り返ってみると、エルライ殿下の美しい御姿とその後ろには、大きく隈を作り、この前よりさらに怖い顔をしたシェダルがいる。
「シェダルが君に話があるそうだ。
この後すぐに付き合ってくれるだろうか?」
殿下のお願いというものは、命令として受け取るしかないよね?
「喜んで。」
副会長とお話しなんて謹んでお断りしたかったのだけど、殿下から頼まれたのだからしょうがないよね。
今日の副会長をじっくり見てみると、先日よりも一段と機嫌が悪そうだ。
一体私に何の用なの?
私は嫌気がさして、少し睨みを効かせて彼を見てみたが、シェダルの表情は、ピクリとも動きはしなかった。
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