初めて後輩との喫茶店

「先輩何頼みます?私は普通にカフェオレにしようと思うんですけど」


そう言いながら俺の前の席に座ってる後輩は大きな黒いメニュー表を開いて見ている。俺もメニュー表を開くとおすすめのお洒落しゃれなケーキの写真がある。なんだこれすごい気になるんですけど……頼んじゃおうかしら


「このケーキとコーヒーにしようかな」


メニュー表を見せるようにしてケーキの写真を指で示す。この子即決してたけど何回も来たことあるのか?あ〜もしかして伊吹と来る予定で既に下見を済ませてるってことか!これはさすがに俺、名推理だわ


「じゃあ頼みましょうか、すいませ〜ん」


店員さんを呼ぶとは〜いと言って来たのは俺やこの子と同じくらいの年齢の女子高生が注文を聞きに来た。き恐らくバイトだろう、さすがに正職員だとしたら若すぎるし、白いシャツの上から黒いエプロンを着ている。清潔感があってこの喫茶店の雰囲気と非常にあっている。


「えっとコーヒー1つとカフェオレ1つとこのケーキお願いします」


注文を聞くと着ていたエプロンの胸ポケットに着けていたボールペンを外してポケットからはメモ帳を取り出して頼んだ物をメモ帳に書いていく。


「……かしこまりました、少々お待ちください」


書き終えると頭を下げて注文を伝えに行った。


後輩のこの子に連れられて着いたのはめちゃくちゃオシャレなこの喫茶店だった。内装も外装もお洒落でこんなとこ絶対に一人で来ることはないだろう。なんなら伊吹と一緒でも入らないぞこんなお洒落な場所!店内もなんかコーヒーのいい匂いがするし天井にはでかいプロペラみたいなのが回ってるしすこしオレンジ色の電球……電球までお洒落とかどうなってんだよ!なんか俺の場違い感が半端ない、この子はなんか座ってるだけで絵になるけど俺とか完全に異物混入レベルで浮いてそう……


てっきり俺はスターボックスとかそういうとこで話すとかと思ってたんだけど、まさかこんなちゃんとした喫茶店だったとは……


「あ、自己紹介まだでしたよね、すっかり忘れてました、私は1年の美海碧です。碧って呼び捨てにしてもらって構わないですよ」


自己紹介する前に店連れてくなんて変わってるとは思ってたけどただ忘れてただけかよ……もしかしてこの子少し変わってるんじゃないか?あれか?もしやこれが天然っ言うのでは?中学にいたあの天然って言われて可愛がられてた女子よりよっぽど……いや、やめとこ。


でも呼び捨てにしてって言われてもすごいやっぱりまだ抵抗がある、そもそも女の人と一緒に喫茶店に入るってだけでかなりメンタルに来てる。あの人達とは違うって分かってはいるんだけどやっぱりまだ慣れないな……でもこんな事で抵抗があるとか言ってたら絶対になんの手助けも出来ないよな、伊吹のためだしなんでもやるって決めたんだ、これくらいやらないとだよな!


「知ってると思うけど結島萩です、それでその協力するとは言ったけど具体的に俺は何すればいいの?」


「とりあえず趣味とか好きな食べ物とか、あとは好みのタイプとかですかね」


「多分全部分かると思うわ」


「まじですか、それは助かります。」


「いや〜先輩が許可してくれなきゃ必殺技を使うとこでしたよ」


「必殺技?そんなの用意されてたのか……ちなみに必殺技ってどんなの?」


「はい、まず先輩の腕を縛ってその後乾パンを食べさせてちんすこうとカロリーフレンドも口に詰め込んで食べさせる必殺水分飛ばしですね、もちろん飲み物なしです」


「……なんか、うん。シュールだな」


そんな必殺技だったのか……でもよく考えるとかなりきついのでは?乾パンって食べたことあるけどあんなに小さいのに1個食べるだけで口の中の水分全部持ってくんだよな〜ちんすこうも食べたことないけどあれって確かパッサパサだったよな、カロリーフレンドも水分持ってかれるし食べたあと絶対飲み物飲むもんな〜あれ。それを一気に飲み物なしで食べさせられるのか、もしかしてかなりの拷問なのかもしれない。


でもやる事がやっぱ変というか面白いんだよな、普通人を脅迫するのに口の中の水分を全部飛ばすとかいう発想に至らないもん。今までの人生でそんなの考えたこともなかったわ、碧も別にふざけて言ってるような感じでもなさそう……いや、これはふざけてるのか?表情じゃわかりそうにもないな、


「今もカバンにその3つがあるのでやっぱ辞めたって言って逃げようとしても無駄ですよ?」


「元々逃げる気はなかったけど今ので逃げれなくなったわ」


「でもいつもは乾パンだけなので安心してください」


「一番強力なの持ち歩いてるのね」


まさかあの3つで1番攻撃力を高いのを持ち歩いてるとは……いつも持ち歩いてるってことは学校にも持ってきてるってことか、確かにうちの学校進学校の割になんか校則ゆるいからな


「あれですね、いわゆる乾パン女子?乾パンJK?ってやつですかね?私の周りでは結構流行ってますよ?私のおかげで」


「今は乾パンの時代なのか……やっぱ昔から女子の流行りってよくわかんないわ、まぁまず関わらないからな〜」


ほんと昔から何はやってるかわかんないんだよな〜中学の頃はあれか、あの音に合わせて踊ったり口パクしたりするTikTak?ってやつが流行ってた気がするけどあれって今でも流行ってんのかな?それともほんとに乾パンの時代が来てる……いや、まさかな

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る