男の女子校
バブみ道日丿宮組
お題:プロのガールズ 制限時間:15分
男の女子校
潜入任務と聞かされて、やっと解放されるのかと思いきやまさか次が女子校とは考えの候補になかった。散歩に付き合う、食事会の警護、執事長の看病、どれも父の教育してきたことと反してる。
そう……いわばボクが執事のようになってる。
ボクはプロの何でも屋なのに……。
「案外似合ってるじゃない。可愛いよ」
女子校の制服を着せた(正確には無理やり着せてきた)少女はとても嬉しそうだ。そりゃそうだろう。自分の思い通りにことが進めば犯罪であろうと、正義であろうと、なんであろうと嬉しいに決まってる。
「……そう言われても困りますよ、ボクは男ですよ?」
思い出せばクライアントである少女が女装の仕事を要求してくることが多かった。そのことを考えてみれば、こうなるのも想像できたはずだ。父の女には気をつけろって言葉が胸にしみる。
「まさかやらないなんて言わないよね?」
髪留めまでして、姿見に写る自分を見るととてもじゃないけど、父に報告書を送りたくない。写真まで撮られて送られるのだから……もう気にしても時は既に遅し……だ。
「……やるに決まってますよ、お嬢様。既に契約はあなたでうまってしまってる」
常識のない額を振り込まれては動きようがない。
父がいい機会だからそのまま自分を売り込めといって、適当に受けたのが間違えだった。
「ふふふ、なら行きましょ。今日は私の発表会なの。あなたを紹介してあげる」
「……控えめにお願いしますよ」
はぁ……ほんとどこでボクの情報が漏れたのか。今でも不思議に思う。情報は武器になるから、痕跡は分かる人にしかわからないものしか残していない。
あとは父の仕事の手伝いをしてたに過ぎない。
「ダメよ。あなたは生徒会に入れるから、絶対勝たせるから頑張って」
「マジですか……」
変装には自信あったし、男子校にも潜り込んだ。盗み、恐喝犯の誘き出し、色々な依頼をこなしてきたつもり。それがこんなというのは失礼だけど情報をつかめなそうなお嬢様に捕まるなんて……。
「生徒会選挙で、私とあなたを戦わせてみるの。面白そうでしょ?」
「どこに面白さがあるのかボクにはさっぱりですよ」
お嬢様が手を差し伸ばすので、ボクはその手を取り部屋の外へと誘導する。
これからはこうやって仲良いガールズの姿を見せるんだとかっていう仕事。
そして、ボクはとても悲しいことなのか嬉しいことなのかそのままーーになってしまうのだった。
男の女子校 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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