法案 女装!
バブみ道日丿宮組
お題:女の何か 制限時間:15分
法案 女装!
何か不思議だと思ったときには、学校がおかしくなってた。
なんでも総理大臣がいじめをなくすために行った法案だというのだけど、
「なんで女装なのさ」
歩く人、テレビに映る人全て、女装。
もちろん、僕も女装。
いや、もともと女だから女装とは言わないけど、
「はぁ……」
クラスについて見渡すとため息しかでない。
なんで女の僕よりも可愛い男子生徒が多いのだろうか。
世の中何かがおかしい。
それだけ国が総出をあげて男を女に仕立て上げてるんだろうけど……僕たちには何もなし。男女平等とは一体なんだったのだろうか。
いや……女性問題が多少解決してるのは事実か。
「今日もため息ばかりだね?」
やぁと幼馴染がクラスからピンク色の声を浴びながら近づいてきた。
「あんたは人気者でいいわね。男なのに女子にモテて」
綺麗な宝石みたいな瞳に、流れるような長髪は小説なんかにでてくる美少女みたい。もちろん全部が地毛ということはないらしいが……ぐぬぬという感想しかでてこない。ファンクラブもできたらしいし、お前ら男だぞと色んな怖さを感じる。
軽い女装でこうなのだから、もう素の状態で負けてると宣告を受けたみたいにショックがでかい。
ーーかっこいいがなぜ可愛いになるのか、どんな技術なんだ……この国。
「モテるのはいいけど、可愛いって言われたり綺麗って言われるのは正直どうしたらいいのってなるよ」
「わからないわけじゃないけど、君たち男子が普段いってたことなんだから気持ちはわかるでしょ?」
幼馴染は頭を左右に振る。
「それはちょっと違うんじゃないかな。俺男だし、悲しいだけだぞ?」
「そっか、そうだよね……」
感覚は変わらない。
男は男、女は女。
「この法案、終わったら次男装になるんじゃないかな?」
幼馴染が嫌な想像を口にする。
「両方の大変さをわかれってこと?」
「うん、不便利便がわかれば差別というか見聞が広がるでしょ? そうしたら見えなかったものをどんどん直すこともできる」
「さすが生徒会長さんは華がありますな」
全校集会で答弁する姿は、女の人にしかほんと見えない。
外からきた人は間違いなく勘違いするだろう。
実際に文化祭で他校のから告白されたって話をこないだ聞いた。
メイド服が似合う生徒会長として有名にもなった。
「はは、それは君にあげておくよ」
「……何よ、それ」
ふんと登校してきた生徒に目を向け直す。
「……馴染んでくるって怖いわね」
「そうだね。俺も女装するのに手慣れてきてショックを最近受けてるよ」
「そのまま性転換手術でもしちゃえば? そうすれば、ファンがこぞって押し寄せてくるわ」
「怖いこというなよ……俺は男でいたいよ。この法案があってもなくても……」
耳元に幼馴染は近づくと、
「俺はお前が好きなのは変わらないから」
そんなことをつぶやいたものだから、
「はやや、ややや」
言葉が作れなかった。
文句をいってやろうと思ったら、ちょうどチャイムがなって担任がクラスへと足を踏み入れてきた。
法案 女装! バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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